予算環境がきびしいので練習機として一定の数(350機)を調達しながら、拡張性もあらかじめ確保して練習機以外の用途も想定(仮想敵国部隊用機材とか軽攻撃任務?)したいのが米空軍の虫の良い考え方ですが、はたして都合の良い機材が選定できるのか。また採用後に大幅にコストが上がる要因がそもそも包含されていないのかとても心配です。裏には予算強制削減の影響で単一任務しかこなせない機材は非効率という強迫観念があるのではないかと思われます。なお、スコーピオンが採用になる可能性は低いですが、注目されてしかるべきだと思います。
USAF Issues T-X Requirements
By Aaron Mehta12:09 p.m. EDT March 20, 2015
WASHINGTON — 米空軍が次世代練習機T-Xの要求性能を公表した。
- 連邦政府ウェブサイトに3月18日掲載された内容から参入を計画中の5社は現行のT-38の後継機種となる高等練習機350機及び関連システムの採用を目指してしのぎをけずることになる。空軍への締め切りは5月10日。
- 本事業は「コスト曲線を曲げる」"Bending the Cost Curve" 構想をはじめて現実に移す第一弾となる。これは空軍長官デボラ・リー・ジェイムズDeborah Lee Jamesが進める調達改革の一環で大きな一歩となる。
- 文書には要求項目が100点以上あるが、空軍報道内容では重点は3つに絞られる。高G状態の保持、シミュレータ視覚効果の正確度・精度、機体の長期間稼働だ。
- その他として空中給油、T-38比較で10%の燃料消費率削減、最小離陸距離として8千フィート、高高度基地からの離陸の場合は追い風10ノットで7,400フィートとされる。
- 注目すべきはアグレッサー部隊用の「赤軍」要求はないことだ。空軍関係者は今後の検討課題だという。
- とは言え空軍がT-Xの性能拡張を想定していないわけではない。中でも「現設計でどこまで将来の性能改修に対応できるか」等の設問項目が関心を呼んでおり、主翼パイロン、レーダー、データリンク、機体防御で「現設計案で将来のシステム改修の妨げになるものがないか」との質問も関心を集めている。
- さる2月には空軍教育訓練軍団司令官のロビン・ランド大将Gen. Robin Randが次期練習機に性能拡張の余地があるかに関心ありと発言していた。「後悔するような買い物は避けたい。要求性能どおりなら新型機はあれこれ他の仕事もこなせるはず。将来の性能拡大の余地も残し、安価に実施すべきだ」
- 現行のT-38に代わる新型機をめぐり5社が競争する構図だが、うち2社は完全新型機でボーイング・「Saabチームおよびノースロップ・グラマン主導でBAEシステムズとL-3が参加する。
- これに対抗するのが既存機種をベースにした陣営で、ロッキード・マーティンは韓国航空宇宙工業のT-50を、ジェネラル・ダイナミクスとアレニア・アエルマッキはM-346を原型にした案で参画する。
- 読めないのがテキストロン・エアランドのスコーピオンだ。ISRと軽攻撃ミッション用の新型機の同機から、練習機型を派生型として作成するという。
- 空軍は研究開発費用として2016年度に11.4百万ドルを準備しているが、これは17年度は12.2百万ドル、さらに18年度には107.2百万ドルに跳ね上がり、19年度は262.8百万ドル、20年度は275.9百万ドルになる。
- 正式な契約交付は2017年秋の予定。■
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