
Marines Are Satisfied With MV-22
aviationweek.com 9月8日
米海兵隊はベル-ボーイングMV-22オスプレイ・ティルトローター機の運用で先行している。一方米空軍特殊作戦軍団(Afsoc)もCV-22の運用実績を着実に増やしている。
【外部からの疑問】 海兵隊は同機の費用対効果で批判を受けている。会計検査院(GAO)の報告書では「同機の運行効率と適正度の問題が解決されておらず」としている。しかし、海兵隊は同報告書に反論。「GAOにはすべてを公開してきたが、それでもこの報告書には肝心の点が漏れていると思います」(ジョージ・トラウトマン海兵隊中将、海兵隊航空部隊副司令)同報告書はこれまで20年間以上に及ぶ同機の開発を総括しながら、同中将によれば、海兵隊により解決ずみか取り組んでいる課題も問題の一部として挙げている。
【議会の動き】 議会では同機への支援は依然高い。ジョン・マーサ議員(民主、ペンシルバニア州)は下院歳出委員会国防小委員会の委員長としてキャンプ・レジューン(ノースキャロナイナ州)へ飛び、MV-22の「真実」を求めようとした。「海兵隊はMV-22の運用に非常に満足しています」(マーサ議員)
【稼働率】 海兵隊がMV-22の戦闘運行稼働率をイラクで62%から引き上げようと奮闘している一方で、Afsoc関係者は昨年の実績で74.2%と報告している。Afsocの数字は93ソーティで延べ314飛行時間をフリントロック演習がアフリカで展開された際のもの。MV-22はイラクへの三回の展開で合計55,000時間を飛行している。同機の信頼性と整備性は「期待水準に到達していない」とトラウトマン中将は語る。
【運行コストが高い】もうひとつの問題はMV-22の飛行時間あたりコストが急上昇していること。2009年度は一時間5,362ドルの予測だったが、実際は119%高い11,748ドルだと、下院軍事委員会海上戦力・派遣部隊関係小委員会向けの書簡が示している。この原因のひとつが同機の修理費用。
【ほかにも問題あり】 そのほかの問題の例を挙げると、MV-22のピッチコントロール用のベアリングで、機体寿命と同期間使えるよう設計がすでに磨耗が見つかっているとマット・マルハーン大佐(前MV-22計画主査)は語る。また、エンジンの空気・粒子分離機(EAPS)の不調から現在の油圧式から電気式に交換できないか関係者が検討している。EAPSの不調とエンジンの磨耗・損傷に相関があることが判明している。短期的には空気取り入れ口にある羽根でEAPSへの空気の流れを整流することが期待されている。
また関係者はエンジンナセル内の合計85箇所の配線束の改修に取り組んでいる。水蒸気に含まれるほこりが配線表面上から配線内部に摩擦を生じていることが判明した。
【電子戦ほか兵装】AfsocはCV-22の訓練・運用で実地経験をつんできた。装備の中には無線周波妨害装置(Sirgc)があり、複雑な機体防御装置でその開発の難易度からかねてから注目されていたもの。ただし、デイル・リナフェルター少佐(Afsoc所属)によると同装置は順調に作動し、各種の電子戦を想定したテストに使用中。フリントロック演でCV-22にM240銃も搭載された。Afsocでは50口径銃をCV-22で使う訓練も行っており、機体側面からの射程距離は両方の装備で優れている。
【救難ミッションへの投入】海兵隊MV-22がはじめて艦から陸上に医療搬送するミッションを実施した。6月29日、海兵隊はMV-22Bを2機投入し、USSバターンで負傷した水兵を救助した。同機は着艦し、患者・医療関係者を37分で147海里を飛行し、飛行場に着陸して患者が病院に搬送された。もともとオスプレイは海兵隊員を安全・迅速に戦闘区域に運ぶべく配備されているが、今回の救難ミッションで戦闘捜索救難(CSAR)ミッションへの投入が注目される。ティルトローター機は空軍のCSAR-X候補で最も有望と見られていた。(CSAR-Xは現在のところ開発中止)だが、ティルトローターはあまりにも高価なため最終的に選定から外れた。国防総省がCSARミッション全体の見直しを命じており、V-22が再度候補となる可能性がある。
【アフガニスタン】 オスプレイのアフガニスタンへの投入に関心が集まっている。柔軟性に富む機体で高温下の高地で作戦を展開するニーズが高まっており、ヘリコプターのほとんどがこの要求を満たせない。海兵隊はMV-22がこのミッションを実施できると考えている。「南部で兵力が分散している南アフガニスタンはオスプレイにうってつけの場所です。ほかの機体では不可能な役目をオスプレイが実施するのを目撃できるでしょう」(トラウトマン中将)
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