
今年最初のニュースはブログ1と同じくヨーロッパからの記事です。
Typhoon Remains In Demand
aviationweek.com Jan 4, 2010
1. トランシェ3でユーロファイター・タイフーンの生産継続が2016年まで決まったが、調達数は当初の合意規模の半分を下回る。
2. イギリスも調達を分散させるものの、予算制約のためトランシェ3以降の追加購入の可能性はない。
3. ユーロファイターは四カ国(独、伊、西、英)共同開発による高性能・多用途戦闘機でこれまで200機が引き渡されている。最初に運用を開始したのがドイツ空軍で、英空軍ではフォークランド諸島の防空任務を本機でトーネードF3から引き継いでいる。
4. 一方で輸出はサウジアラビア向け72機、オーストリア向け15機以外にも増える可能性がある。このうちサウジ向け機体の納入が進行中。
5. インドの求める中型多用途戦闘航空機計画の候補でもある。また、スイス向けにも少数編成導入の商談が継続中。今年第一四半期に日本から50機程度導入の提案要請が来ると期待されている。サウジアラビアは引き続き追加購入を検討中で、オマーンも導入候補国だ。
6. 同機を導入する各国はトランシェ3Aの決定事項でエイビオニクス支援コストの段階的削減として50%(2009-14年)、70%(2015年以降)となる恩恵を受けるはず。このトランシェ3機体の納入は2013年からとなる。
7. これから開始となる日本向け新型機の競争でタイフーンにはロッキード・マーティンF-35が最大のライバルとなりそうだ。加えてボーイングF/A-18E/FあるいはF-15も競合する可能性がある。
8. 予算にゆとりがあればF-35とタイフーンは競合機ではなく補完しあう機体となる、というのがタイフーン側の主張。
9. 両機種を導入した場合にはタイフーンの主要任務はアクティブ電子スキャンレーダー(AESA)を搭載し、メテオー(ロケット・ラムジェット動力のアクティブレーダー誘導空対空ミサイル)を装備することで制空任務になる他、空対地任務も想定される。反対にF-35は低視認性を生かした攻撃任務が想定されるが、空対空戦闘も可能だ。
10. この考え方を検討しているのが、英国、イタリー、スペイン。この線で英国が日本にも購入を勧める。
11. AESA・メテオーの組み合わせでレイセオンAIM-120Dを上回る性能になるとしているとし、日本等の輸出候補国にはこの組み合わせを推すことになる。
12. ただし、未解決なのはAESAの設計・統合問題だ。四カ国で共通戦略の合意を見ようとしているが、英国は斜め板方式でアレイアンテナに角度をつけることで固定アレイの成約を解消する技術解決策を主張する。AESAが同機に実際に搭載されるかが日本・インドにとって重大な関心事項だjavascript:void(0)。
コメント F-XではF-35で決定と見る向きが多いと思いますので、この記事には意外に思われるのではないでしょうか。もちろんユーロファイターによる情報操作でもあるのですが、F-35に不安を感じる向きには有望な選択肢となりうるでしょうが、両機種をそろえるだけの贅沢は事業仕切りの発想では許されそうもありませんね。でもなかなかタイフーンは魅力的です。もちろん法外な開発費用等の負担を求めてくるF-35への対抗としてタイフーンを押す作戦もありますが、どちらにせよF-35より美しい機体であるのは確かに思えます。
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