海兵隊航空部隊にとってF-35Bは現有ハリヤーの後継機種として、F/A-18の後継機種としても必要不可欠な存在でなんとしても実用化しようと懸命な様子ですが、一方でしわよせもあらわれてきたようです。ペンタゴン筋に強いバトラー記者の報告を見てみましょう。F-35は不要な存在で、同機開発への資金投入により西側陣営の国防能力に大きなひずみが生まれるというのが本ブログの一貫した主張です。
USMC Guarding Existing Aviation Programs
aviationweek.com Oct 14, 2011 By Amy ButlerWashington
- ワシントン政界が国防予算削減を当初の4500億ドルから1兆ドル規模に拡大する案を検討する中、米海兵隊は新規航空機プロジェクト開始ができない状態にあり、既存の事業の開発、生産を守るのが精一杯という様相だ。
- これに対し空軍が共用垂直翼輸送支援プログラム(CVLSP) としてヒューイ継機種を、陸軍も武装空中偵察(AAS)ヘリコプターを向かい風を承知で予算を確保しようと懸命に努力しているのとは対照的だ。
- メーカー側は軍高官にカイオワ後継機となるAASの技術実証の推進を強く求めている一端資金が支出されれば計画そのものを消滅させるのは困難というのが常識とされてきた。
- またCVLSPでも業界は熱い期待があるが、空軍高官は競争開発を無期延期し、予算の動向を見守っている。これは将来に禍根を残す決断になるかもしれない。
- これに対し海兵隊の航空部門の計画はF-35を戦術攻撃機の中核とし、V-22ティルトローターに輸送を受け持たせるというものだ.
- 大きな疑問が生じているのはF-35B開発の遅れで不確実性がましていることだ。F-35BはUSSワスプ艦上でテスト中。
- 海 兵隊航空部門トップのテリー・ロブリング中将 Lt. Gen. Terry RoblingによるとF-35Bの初期作戦能力(IOC)を2015年に実現したいという。IOCは2012年だったものが2014年に先送りになって いた。海兵隊航空戦力整備計画によると10機のF-35BにブロックIIBソフトウェアを搭載し、6機に艦載運用をさせる、またIOC宣言には7gおよび 迎え角50度の運用を実証することが条件だ。
- 短 距離離陸垂直着陸(Stovl)のテストは時間がかかっており、艦隊配備が遅れているためゲイツ前長官はStovlに二年間の「執行猶予」を設定したほど だ。B型が問題を解決し、軌道に戻らなければ「開発取り消しだ」とゲイツは今年1月に発言している。ゲイツは長官の座を去ったが、B型の開発中止の話題は 消えつつある。「執行猶予という用語が使われたのは残念で、否定的な語感があります。しかし問題を解決出来る自信があります」(ロブリング中将)
- 確 かにゲイツが去ったあとで執行猶予についての言及は業界でも出ていない。国防長官官房も同機の合否の具体的な基準内容を一度も明らかにしていない。そこで 最大の課題はF-35Bを残すことよりも同機各型に対する各国発注機数をなるべく多く保持することにある。各国が経済問題に直面していることがこの裏にあ る。
- ロ ブリング中将はペンタゴンは「1.5増加案」を考えているという。これは年比較で50%増のF-35を各国から受注・納入していくというもの。海兵隊のハ リヤー部隊は2024年が耐用限界と見られるが、海兵隊は英国と交渉中で、AV-8Fの部品用に英軍機材を購入しF-35の運用開始まで繋ぎたい考えだ。 ロブリング中将の懸念はハリヤーの部品老朽化特にエイビオニクスとミッションコンピュータにある。
- 海 兵隊はF/A-15A-D各型50機の耐用年数を延長し、F-35配備までのギャップを埋める考えもあるとロブリング中将はいう。.海軍と海兵隊あわせて 戦闘機150機が不足し、2018年にはピークを迎えホーネット65機が足りなくなると海兵隊は説明する。ロブリング中将もA-D各型の飛行時間を1万時 間程度に引き上げる必要を認める。
- F-35への移行計画をなんとしても進めたい海兵隊だが、回転翼機では進展があることを認めている。ベルボーイングか らV-22を122機販売する複数年度提案があるが、これを実施すれば標準価格より10%の節約となる。この契約は成立すれば、取り消しは非常に困難にな る。つまり今後の予算削減の対象から外れることを意味する。ロブリング中将も24機程度の削減はやむなしと考えているものの、最終的な必要機数は360機 と変更はない。
- 同中将はベルよりH-1購入の大規模複数年度契約を検討中といい、海軍もAH-1Z攻撃ヘリとUH-1Y輸送支援ヘリを購入中だ。長期間大規模購入により安定かつ費用節減になる。複数年度契約は来年3月から交渉を開始する。
コメント
コメントを投稿
コメントをどうぞ。