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F-22、F-35の配備遅れで予定変更を迫られる米空軍、各国空軍: 西側戦闘機の実戦力維持は大丈夫か

Air Forces React To JSF Delays


aviationweek.com November 26, 2012

「第 五世代戦闘機」F-22およびF-35がともに予定の配備時期とコストで当初計画とのズレが生じていることから米国および同盟各国の戦闘機装備に連鎖影響 が生じており、米空軍ではF-22パイロット訓練を根本的に見直しているし、F-16の耐用年数延長と性能改修を急ぐことになる。
  1. .F- 22訓練は「劇的な変更」(第9空軍司令官ラリー・ウェルズ少将Maj. Gen. Larry Wells, commander of the U.S. Ninth Air Force)を受けている。ウェルズ少将はF-22部隊のほとんどを統括しており、10月にはティンダル空軍基地(フロリダ州)に配備中のF-22が空軍 教育訓練司令部から第9空軍に移管されてばかりだ。
  2. 大きな変化はF-15やF-16といった非ステルス機との合同演習の開始だ。これはF-35の引渡しが遅れる中で、F-22機数が少ないことで空軍としてもステルス機主体の機材運営が実現するのは2030年以降になってしまうという現実を直視した結果だ。
  3. .F-22パイロットは 「センサー編隊」として10ないし15 nmの距離をとって飛行し、ボーイングF-15C/Dの「クォーターバック」役をする訓練を受けている。
  4. 課 題のひとつが「F-22のひとりごと」だとウェルズ少将は言う。同機の搭載する飛行データリンクは別のF-22としか交信しないので「相互運用が完全にで きるまで相当の時間がかかる」という。また、F-22にリンク16戦術データの受信能力が2014年に搭載されるという。これは性能改修3.2アップグ レードの際に実施され、リンク16のデータ送信(位置情報、識別や追跡)は2015年予定。それまではF-22からは音声無線交信で他機材に連絡するしか 手段がない。
  5. 訓練ではそのほかにジャミングやそのほかの妨害手段に直面する想定のシミュレーションをパイロットが受けているという。「今まではいつも完全装備で飛んでいたが、今ではその逆に何かが使えない状況が生じており、日によって通信装備だったり、GPSだったりする」
  6. よ い面もある。ウェルズ少将によるとF-22の性能は向上しつつあり、それに呼応して訓練標準も改定されているという。「これまではF-22をF-15のよ うに飛ばしていました」という。同時にF-22に早く習熟できる対策も取られている。T-38訓練を終えた新人パイロットはF-16で「高性能導入」 “high-performance lead-in” 訓練8回を終了しないとラプターは飛ばせない。その理由は「T-38からそのままF-22に来たパイロットが成果を出していないことが判明した」ためだと いう。「F-35を導入しようとする各国でも配慮が必要な事象だ」ともいう。
  7. 空 軍はT-38をF-22の仮想敵機として配備している。「ステルス機同士の勝負では一番発生しやすいシナリオを再現できない」とウェルズ少将は指摘する。 F-22操縦の新人パイロットはそれまでにT-38を一年近く飛ばすことがある。「これもF-35導入国が考える必要がある点で、全機材がステルスになる としたら、訓練用の敵機役はどの機材にするべきでしょうか」
  8. F- 22は現在南西アジアに配備されていると同少将は言う。「F-22を戦闘に投入するには三つの必要事項があります。戦闘部隊司令官が同機投入を必要と判断 すること、利用可能な機材を集めること、そして国防長官が承認することです。ただしこれは今まで実行されていません」
  9. F- 35の初期作戦能力initial operational capability (IOC)獲得期日が依然として未定の中、米空軍は戦闘用エイビオニクス・プログラム延長パッケージCombat Avionics Programmed Extension Suite (Capes) 開発をF-16向けに開始しており、ロッキード・マーティンが唯一の入札者で主契約を交付されている。Capes構想は350機のF-16を2030年まで稼動可能とするもので、逆にF-35の調達機数が同時期に減ること意味する。
  10. Capes には海外からも関心が示されており、ポーランドもその一国だ。「JSFが遅れることが逆に好機になるのは各国が米国にF-16の本格改修実施の圧力をかけ ているため」とポーランドは見ている。同国には後期型ブロック52のF-16が48機あり、AESA(電子アクティブスキャン方式アレイ)レーダーや操縦 席ディスプレイで改良を加えるCapesをうまく取り入れたいと考えている。
  11. Capesには重要な変更を最近受けている。空軍が重要決定をロッキード・マーティンにゆだねたのだ。レイセオン製の高性能戦闘用レーダーAdvanced Combat Radar かノースロップ・グラマンの拡張機動性ビームレーダーScalable Agile Beam Radarかの選択だ。
  12. レ イセオンにとっては不愉快な選択になる。F-16全機、F-22、F-35搭載のレーダーはノースロップ・グラマン製で、空軍が何を考えているか見えてこ ない。ただし内部事情筋によれば「外部批判かわし」がねらいではないかという。対象レーダーは1,000基以上となり、これだけの規模の調達はこれが最後 かもしれず、政府内部にこのような選択の経験がある人材がいないというのが現実だ。
  13. ただし、韓国の国防調達計画庁Defense Acquisition Program AdministrationがBAEによる自国F-16の改修実施を7月に決めている。AESAレーダーの換装もその一部であるが、韓国には米国の動向が決まるまで決定を先延ばしにする圧力がかかっているという。
  14. .BAEシステムズが韓国案件を落札した背景にはロッキード・マーティンよりも価格で有利だったはずで、現在同社はCapes参加をもちかけられた複数国と商談中だ。ポーランド以外に関心を持つのは、シンガポール、ポルトガル、ギリシャだ。
  15. た だし米空軍予算でCapes計画に初期開発段階以降の予算手当てができているか不明だ。構想では各国とコンソーシアムを組み、費用分担を求めることになっ ていた。さらにCapesが各国共通で万能の解決策となるのか、現地事情にどれだけうまく適合するのか不明だ。たとえば、F-16の一部では電子戦システ ムの運用が必要とされているが、Capesではこの想定がないし、また電子戦を想定していない運用国もある。■


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