Avic Promotes J-31 As An Export Fighter
By Bradley Perrett, Robert Hewson, Reuben Johnson, Bill Sweetman
aviationweek.com November 19, 2012
.中国国営航空宇宙産業が投入している経営資源にはとかく国外も目を奪われがちだが、中にステルス戦闘機を独自製作している企業があるとは気が付きにくかっただろう。
- 瀋陽航空機Shenyang Aircraftがその企業だ。ただ驚くべきは中国空軍が同社の努力成果を軽く鼻であしらっていることだ。登場時にはまったく非の打ち所のないステルス戦闘機と思われた同機だが、中国の次期中型戦闘航空機としては役不足のようだ。
- 既に実機が姿を現しているが、中国航空工業集団Avicは珠海航空ショーに同機の模型、非公式でにJ-31と呼称され瀋陽製といわれる戦闘機を展示した。Avicの説明では「同機は国際防衛市場むけに開発した」ことになっている。
- 展示模型には戦闘機コンセプトとの表示があったが、6月にトラックで輸送中の姿が目撃され、9月に飛行場近くに配備され、10月31日に初飛行した機体とさしたる違いなく、「31001」の番号までつけていた機体が、いまやコンセプト段階へ格下げである。
- .同機の設計思想は高性能ステルス性能を低価格で実現し、重武装かつ戦闘半径を大きくするというのがAvicの説明だ。離陸重量17.5トン、全長16.9 メートル、全高4.8メートル、翼幅11.5メートルだという。
- 初 飛行した機体はクリモフRD-93エンジン双発だったが開発陣は出力が不足だと判断していいる。瀋陽のライバル成都航空機Chengdu Aircraft,のJF-17(別名称FC-1)輸出用戦闘機にも搭載されているRD-93は推力19,000 lbだが、瀋陽は中国製エンジンを求めており、これはロシアがJ-31の海外販売に待ったをかけるのを防ぐ意味もある。試作機の写真を見る限りで同機のナ セルはもっと大型エンジン搭載も考慮されているようで、MiG-29のRD-33エンジンも候補だろう。そのほかにはAvicのエンジン部門貴州 Guizhou工場製のWS-13泰山Taishanエンジンも候補になるのかもしれない。
- Avicの説明ではJ-31の戦闘行動半径は内部タンクのみで1,250 km (780 mi.) 、外部タンクもつかって2,000 kmで、最大速度マッハ1.8、離陸必要長は400メートル、着陸時は600メートルが最低必要だという。
- 「運用上果は現行各機種または改修ずみ第四世代機を上回り、第五世代機とほぼ同程度」と言うのがAvic説明だ。ここでいう第五世代機はロッキード・マーティンF-22およびF-35をさしている。
- .J-31が瀋陽製だという根拠は同社が同様の形状をした飛行可能モデルを昨年に展示しており、F-60の名称をつけていたこと、実機と思われるものが6月にトラック輸送され、瀋陽から西安まで運搬されていることからだ。西安は中国のフライトテストセンターでもある。
- だ がJ-31の呼称自体が実は正しくないのかもしれない。同じようにJ-20の名称が成都製の大型機体につけられているが、これも確認されたものではない。 瀋陽製の同機はJ-21とも呼ばれているが、これも確かなものではない。J-20の存在は2010年末に明らかになり、2011年1月に初飛行している。 この機体は珠海ショーには出展されていない。
- まさにそこにこそJ-31の存在を裏付けるものがある。J-20が珠海に出展されていないのは、同機は海外に販売する意図がないことにくわえ、中国が同機の詳細を公開する意図がないためだ。これが中国空軍の考えだろう。
- 逆に言えば、珠海でJ-31のの展示があったことにより同機は輸出用に想定されているのか、あるいは中国空軍に同機への関心がないのだろう。中国では初期生産機体は空軍用に確保するのが常であり、現在の中型戦闘機である成都J-10でもこれが適用されている。
- すると瀋陽はなぜ同機開発に踏み切ったのか。可能性は絞られる。ひとつは軍が資金を出しての技術実証機材と言う可能性で、同社幹部は将来の本格開発で実用機になる可能性がると考えているのだろう。
- も うひとつは社内自己資金による開発でもっぱら輸出市場を狙うものではないか、同社も西側戦闘機が入手できない国があることを知っている。J-31はロシア 製各機と商談で勝負できるだろうし、瀋陽航空機も米国や欧州の西側装備メーカーが今後10年20年で生産を終了すれば調達先を広げる動きが出てくると皮算 用しているかもしれない。重要なのは中国製戦闘機は安価であることで、一応ステルス技術がついていてこれば訴求力が出る。
- 瀋 陽はこれとは別に中国海軍用の艦載戦闘機開発にも乗り出しており、J-31も一時は空母遼寧および後継艦向けに想定されていたのではないか。も思想だった としても現在はその可能性がないことになる。なぜなら海軍も空軍と同様にこれから運用する機材を一般展示することは望まないためだ。
- .J-20とJ-31の機体寸法の差は要求内容の差を意味している。さらにAvicはJ-31の国内使用に言及していない。
- 中国の内部事情に詳しい国外の航空宇宙産業幹部はJ-31の存在理由をこう説明する。「これは社内にエンジニアがたくさんいて、必要でない仕事をしてしまった会社の作品だ」
- 技 術実証機は初飛行したが、肝心の疑問は低視認性の開発はどこまで進んでいるのか、ステルス性を維持できるのか、重量増は発生しないのか、これらが不明のま まだ。さらに大きな課題が瀋陽および参加の部品メーカーにある。センサー類からのインプットをパイロットに伝え状況把握を可能とする電子装備を機体に収容 することだ。Avicは同機が最新鋭米国製機体と同等の性能を持つと公言しているので、この方向で作業しているのだろう。
- た だし簡単にこれは実現しないだろう。外観上は戦闘機に見える機体を飛ばすのと、実戦に耐える機体を作るのでは話がまったく違う。F-35が稼動開始するの はほぼ20年がX-35技術実証機が初飛行してから経過した後だ。同様に瀋陽には海外顧客が開発を支援したくなるような機体がないのが現状だ。
- J- 31を輸出専用機と想定する背景にはエイビオニクス技術の未発達と言う理由があるのだろう。中国空軍が運用するJ-10後継機としてちょうどよい機体外寸 であり、J-20より安価に大量生産できるはずだが。中国空軍もJ-10の改良発展に注力してからその成果をJ-20に活かすことに決めているのかもしれ ない。もうひとつの可能性は瀋陽あるいは成都が実はJ-31以上に高度な機体を開発中かもしれないという点だ。いずれにせよ現時点では答えはないのだが、 そもそも中国軍がJ-31を不要と考える理由は何か。
- J- 31の機体構成を見るとステルス性と通常型戦闘機の性能を両立させる設計であるとわかり、アフターバーナーなしでの超音速飛行はねらっていない。さらに機 体後部の構成で水平尾翼、垂直尾翼が2枚ずつになっており、設計の狙いは低レーダー反射と高迎え角の両立で戦闘時の操縦性を高めようとしているのがわか る。
- またこの機体後部の構成によりハードポイントを機体重心近くに設定でき、兵装搭載が容易になるので兵装組み合わせも増えるだろう。地上での同機写真では機体腹部に大型の兵装格納庫の開閉部が確認できる。
- .J-31模型の主翼前縁の角度は中程度になっている。レーダー反射を最小限にするためエンジンの空気取り入れ口につぎめのない分流板となっている。機首の寸法は大きくないので、格納できるレーダーアンテナも中程度の物に限られる。■
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