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オーストラリアがMQ-4Cトライトン導入へ リアルな対中海上交通遮断作戦


Australia to Buy Seven MQ-4C TritonsMQ-4Cs


オーストラリア国防大臣デイビッド・ジョンストンからMQ-4CトライトンUAS計7機の導入を提言するとの発表があった。総額30億ドル相当。
  1. 【MQ-4Cトライトンとは】翼幅は39.8メートルでボーイング757に匹敵する。高度18,000メートル、時速575キロメートルで30時間まで飛行が可能で、航続距離は16,000KMになる。主目的は広大な地域の探索でインド洋や太平洋が適している。米海軍はトライトン一機で7百万平方キロメートルを一度に監視できると説明している。
  2. 1月には米海軍が同機のテスト飛行に成功したと伝えられた。米海軍は68機をノースロップ・グラマンに発注しており、米海軍での稼働は2017年開始予定。オーストラリアの調達機材は2019年までに稼働に入る見込み。オーストラリアは海洋国家として対応範囲の広さを重視。
  3. ただしトライトン導入はオーストラリア軍部が一度反対した経緯がある。そのときの論拠は同機が武器搭載を想定していないためで、ずっと安価なプレデター改造のマリナーではトライトンに匹敵する飛行性能はないが、ミサイルを搭載しており、艦船攻撃が可能だ。
  4. 【インド洋・太平洋でのオーストラリアの懸念】武装の有無が問題になった背景にはオーストラリアが実感しているアジア域内の地政学的緊張の高まりがあるのと、米国のアジアへの回帰(オーストラリアもこれを支持)がある。特にインド洋でのシーレーン確保が念頭にあり、中国、インド、米国の各海軍間の競合状態だろう。.
  5. 米国とアジア太平洋地区での主要同盟国である日本、オーストラリアが中国との軍事衝突に備えていることが知られるようになってきた。
  6. 【中国との軍事衝突想定】 中国との軍事衝突を想定した軍事戦略では海軍による交通路封鎖で中国の海運を太平洋とインド洋で遮断することが想定され、とくにカギとなるのがマラッカ、ロンボク、スンダの各海峡だ。オーストラリア領も海軍空軍基地として重要な存在になる。そのねらいは中国の求める食料、燃料、原材料輸送を止めて輸出依存の経済体制を崩壊させることにある。米軍のエアシーバトル構想でも中国国内の指揮命令施設への空爆、ミサイル攻撃を防空施設とあわせて実施する想定だ。また封鎖突破を試みる中国海軍も攻撃対象になる。
  7. 【オーストラリアの監視体制】 米海軍はオーストラリアと中東アフリカからインド洋を通過する民間商船の往来の最新状況を把握する必要があり、中国海軍艦艇の動きも当然監視対象だ。
  8. オーストラリアはP-3Cオライオン有人機とジンダリー・レーダーネットワーク(JORN) でオーストラリア大陸の南北を3,000キロメートル範囲で監視している。トライトンを西部のリアモンスあるいは北部のダーウィンから運用した場合は監視対象地域が大幅に広がる。さらにインド洋のオーストラリア領ココス諸島に無人機航空基地を建設すればもっと広い地域が常時監視可能になる。
  9. 【ココス諸島が注目集める?】 2013年にリークされた内容によれば米軍はココス諸島からマリナー無人機を運用することに関心を持っているがまず同地の滑走路を改良する必要がある。
  10. 中国はスンダ、ロンボク各海峡を通過して海軍艦艇三隻をインド洋に入れて演習を行っているが、この事例がオーストラリアに長距離監視が可能なUAS調達を後押ししていると指摘する向きもある。■


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