Opinion: F-35B Vertical Landings In Doubt For U.K.
Air show plans highlight F-35B runway issues
aviationweek.com May 26, 2014
Credit: Lockheed Martin
ファーンボロ航空ショーの来場者がAV-8ハリアーと同様の垂直着陸(VL)をF-35B共用打撃戦闘機が実演するのを期待すれば裏切られることになるかもしれない。
- 米海兵隊のマシュー・グレイビー准将 Brig. Gen. Matthew Glavy によると英国でF-35のVL実演予定はないという。滑走路を排熱から守るマットのテストが完了していないためだという。一見単純そうに聞こえるが、これにより二つの厄介な問題が浮上する。ひとつは同機開発の真相であり、VLの実用度である。
- 海軍施設技術本部Naval Facilities Engineering Command (Navfac) は2009年12月にJSF関連建設に仕様を公開している。エンジン排気は高温かつ高エネルギーのため、初回VLによりコンクリートが粉砕する確率が50%あるという。粉砕が発生するのはコンクリート内部の水分が沸騰し、表面を削り落とすためだ。
- これに対しロッキード・マーティンは否定的だ。仕様書は最悪の場合を想定しているばかりか、失効しており、2010年1月のテストでは「F-35BとAV-8Bの排気温に大きな差はなく、作戦運用上配慮すべき点はない」としている。
- Navfacはロッキード・マーティンを無視し、高温耐久性コンクリートのVL施設を4か所に建設した。パタクセント海軍航空テスト施設(メリーランド州)ではF-35BがVLをAM-2アルミニウムマット上で行っており、下のコンクリートを熱風から保護している。2010年1月のテストで仕様が変更にならなかった理由は何か。そのテスト実施方法は。海軍はこの質問をロッキード・マーティンに送っているが、いまだに回答はない。
- ロッキード・マーティンが根拠のない理由で非難の声を上げるのはこれが唯一の例ではない。ランド研究所Rand Corp. から昨年にJSFは三軍が独自に戦闘機を調達するよりも多額の費用になると報告があった際には、「無効データ」を使ったとランド研究所をロッキード・マーティンが非難したものの、報告書中にない数字への非難と判明している。
- 2011年度個別調達報告書でF-35Aの飛行一回当たりコストがF-16より40%も高いと指摘した際には、同社はペンタゴンの会計部門が数字を誤って解釈したと主張。報告書はその後二回刊行されているが、数字はほとんど変わっていない。
- もっと深刻なのはF-35B選定には二つの理由があrることだ。LHA/LHDクラスの揚陸艦艇に着艦できること、および即席の前進運用拠点forward operating location (FOL)から運用できることだ。後者は3,000-ft. 相当の滑走路を意味する。FOLがなければ上陸部隊が期待できるのはLHA一隻あたり6機の戦闘機に限定される。しかし滑走路も一回しか使えないのであれば意味がない。
- Navfacが「標準飛行場用コンクリート」と称するのは軍仕様で砂利とポートランドセメントを混ぜたもの。滑走路の多くはアスファルトとコンクリートで作ってあり、ビチューメン(瀝青)をつなぎとしているが、過熱すると軟化しさらに溶解する物質だ。
- そこで海兵隊はAM-2着陸パッドを使う。しかしAM-2だとF-35Bを迅速に展開することができない。空軍の検討によると「敷設に時間がかかり、修理が困難、空輸が困難な性質がる」としている。縦横100フィートのVLパッドの重量は30トン超で部材点数は400ほど、それぞれ二名がかりで組み立てていく。
- 回転しながら、あるいはゆっくりと垂直着陸すれば熱負荷を分散できる。しかし、コンクリート、アスファルト、AM-2をアスファルト上に配置したもののいずれでもテスト実績はない。では複数機が近接して着陸するとどうなるのか。熱で飛散したアスファルトがステルス性のある機体表面に粘着しないか。
- JSFの研究開発費用で最低でも210億ドルがF-35B向けであり、同型は機体単価で最高額となっている。設計変更でF-35Bの重量、抗力、機体単価はいずれもF-35Aや-Cよりも増えている。本当に同機が約束の運用性能を実現できるかをぜひ見せてもらいたいものである。■
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