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米比防衛協定の中身と対中国戦略の枠組みの現状

中国は相手国の実力、姿勢で対応をそれぞれ使い分けており、フィリピンは完全になめられているとしか思えません。経済が上向きとはいえ、まだまだ余裕のないフィリピンが米国や日本に期待するものが大きいのは当然です。しかし国内憲法の縛りがある中、今回の合意内容はなかなかうまくできているようです。そんなフィリピンの姿勢を西側諸国が支援していけば、中国はいっそう頑なに包囲されていると感じ、予想外の行動に出るかもしれませんね。フィリピンの対応は隣国のベトナムやマレーシアも注視しているはずです。


New Defense Agreement Between The Philippines and U.S.

USNI News By: Armando J. Heredia
Published: April 29, 2014 2:43 PM
Updated: April 29, 2014 4:06 PM
U.S. Navy and Philippine military officials during the humanitarian aid and disaster relief operation in Tacloban in 2013. US Navy Photo
U.S. Navy and Philippine military officials during the humanitarian aid and disaster relief operation in Tacloban in 2013. US Navy Photo


フィリピン国防相ヴォルテール・ガズミン Defense Secretary Voltaire Gazmin と駐比米国大使フィリップ・ゴールドバーグ Philip Goldberg が4月28日に歴史的文書に署名し、米軍が同国に復帰することになった。

防衛協力強化合意書Enhanced Defense Cooperation Agreement (EDCA)は米軍によるフィリピン国内の基地施設利用に道を開く枠組みであり、戦闘だけでなく人道援助・自然災害援助 humanitarian assistance and disaster relief (HADR) 任務用資材の事前集積も可能となる。

1991年に基地使用料の値上げ更新を求める声が高い中50年の基地利用協定が失効して米軍部隊は撤退している。そこに輪をかけるようにルソン島ピナツボ火山が噴火し、基地施設が火山灰や泥流に覆われた。天然の良港であるスービック海軍基地と修理施設を保持したいという声もあったが、冷戦は終結に向かい、ジョージ・H・W・ブッシュ政権は同国残留に経済価値を見いだせなかった。

一転して現在は中国が海上領有権を巡り東南アジア各国と紛糾するなか、米国の政策目標は地域内安定の維持をめざし、太平洋地区に軸足を移すというものだが、かつてとは地域内の力の均衡が変化している。

中国が狙っているのは派遣拡張をねらう九段線Nine-Dash Line 構想でフィリピンを最初の事例とすることだ。少しずつフィリピンの排他的経済水域に中国海上警察と人民解放軍海軍(PLAN)が進出しており、一部は実力占拠されている。

一方フィリピンは長年にわたり対テロ作戦など国内治安維持活動に忙殺されており、通常戦力は削減してきたため、軍事対立は避けてきたのが現状だ。ベニグノ・アキノ政権は強力に軍と沿岸警備隊の装備近代化を図ろうとしているがまだ効果が出ていない。このため従来からの同盟各国都の連携を求めている。

協定書では目標を米・比共同軍事作戦の強化としており、相互運用、フィリピン国軍の近代化を目指した人材育成、周辺部におけるフィリピン国軍の強化、海洋安全保障と海洋領土の保全を掲げている。

EDCAにより米比両国は共同演習バリカタン(協力)の定期的実施、台風被害でのHADR業務、米特殊作戦部隊による助言が可能となる。

ECDAと1991年時点の協定との重要な相違点はフィリピン憲法を尊重する精神が盛り込まれたことで、フィリピンは米国による活動全般ならびに米軍の定期的移動に同意している。フィリピンは国内の各基地を完全に掌握し、米国以外の同盟国にも提供できる。

今回の協定で中国の立場は大きく制約される。対象施設はすべてフィリピン国軍の基地としたのは同国憲法の制約を配慮したもの。

今後発生する新規施設建設作業は米国あるいはフィリピンが実施するが、米国が資金・建設工法などの負担をする。さらに戦闘用あるいはHADR用資材の事前集積はフィリピン国軍も利用可能とされる。(弾薬、特殊作戦装備、大規模作戦用兵装等)

EDCAはフィリピンの外国軍駐留協定の精神と合致しており、部隊は定期的に異動するので常駐ではないとされる。さらに相互防衛委員会Mutual Defense Board (MDB)で軍事面を、さらに安全保障委員会 Security Engagement Board (SEB) でそのほかすべての案件を取り扱うことになる。

協定書では基地名称を明記していないが、米軍がこれまで利用していた地点に戻る可能性が高く、スービック湾、旧海軍航空基地クビポイント、旧クラーク空軍基地になるだろう。新規設備により米軍の立場が強化されるが、さらにパラワン諸島ではオイスターベイにパトロール基地を設置しその近郊のブルックスポイントに海兵隊を駐留させる案が出ている。後者の二施設が利用可能となると紛糾の現場であるスラウェシ海やスプラトリー諸島へ直接アクセスが可能となる。

ECDA関連でフィリピン国軍は旧米沿岸警備隊のハミルトン級カッターの三隻目を取得したい意向で、フィリピン西部の海域の長期間パトロールに投入したいとする

同協定の非排他内容としてフィリピンは同国内施設をASEANやアジア域内の各国に提供する意向が出ている。すでに韓国から軽量攻撃ジェット機を調達しており、日本は老朽化した沿岸警備隊艦船を新造40メートル長の哨戒艇に更新する資金を長期低利で提供する。

フィリピンは国際法廷の場で自国の排他的経済水域の認知を求めている。4千ページ近くの文書が国連仲裁裁判所に3月31日に提出されている。国際海洋裁判所(ITLOS、在ハンブルグ)が提訴を精査中で次の段階に進むべきかを決定する。一方で、中国はかたくなに仲裁手続きを拒否しており、提訴で二国間関係が危機に陥っていると逆に非難している。■


コメント

moneyfreedom さんの投稿…
すみません、読者のみなさんを不安にさせる誤記はまずいですね。このところ注意力散漫になっておりました。ご指摘の点は早速修正させていただきました。本ブログの役目は日本では報道されていなかったり、報道されても表面的な内容を掘り下げてお伝えすることにあります。あわせて翻訳の練習にも使うという欲張ったものですが、今後もよろしくお願いいたします。

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