



Iraqi Air Force to Expand Capability
aviationweek.com 10月5日
イラク空軍(IQAF)再建が米国主導で開始された際、米国側はゼロからのスタートであり、飛行運用の開始は2016年と見ていた。だが、米-イラク協定により米軍撤退期限の2011年12月が迫り、いまや26ヶ月しか残されていない。
「この現状の中で、短時間で多数の種類の能力を運用可能にしようとしています」(イラク軍事訓練顧問団団長米空軍少将ロバート・ケイン)だが、同少将も残る時間内で任務を完了するのは「とても高い課題」と認める。事態をややこしくするのは、最近の原油価格の低下だ。これまでもイラク空軍再建の努力は予算の不足で台無しになっている。
現在のIQAFの能力の水準は大きくばらついている。空輸は2005年から運行され合計3機のC-130Eが中心。ここでの顧問団の役割は若干の保守点検を除けば事実上終了している。イラクはさらにC-130J導入予定。
情報収集活動で同空軍が運用しているのはC-208キャラバン、ホーカー・ビーチクラフトのキングエア350とSAMA CH2000で、これも着実に進展した。その結果、顧問団はセンサーで得られる情報の活用に指導の中心を移している。
対地上攻撃はIQAFが対ゲリラ戦を展開するために必須と見られ、ここでも目立った効果が出てきた。これまでは少数のMi-17攻撃ヘリで非誘導型ロケット弾を発射するだけだったが、3機のコンバット・キャラバンがここに加わり、今月にはレーザー誘導ヘルファイアミサイルの発射が実現する。
短期的な解決方法としてMi-17ヘリの改修で2.75インチ口径のダガロケット弾にレーザー信号追尾装置を装着する。さらにウェストカムMX-15 FLIRを装着し、正確に目標を識別させる。また新造のMi-17を合計22機購入する。
装甲つきの偵察ヘリとしてベル407を2011年導入の予定。学習効果を高めるため、通常型のベル407を先行導入しパイロットの習熟を進めている。したがって、装甲偵察型が導入で、顧問団は任務遂行の訓練に中心を移す。
対地上攻撃能力を向上すべく、地上航空管制官(陸上部隊に派遣され航空作戦を調整する)の技能向上を検討中。目標捕捉能力の向上は今のところIQAFの空対地攻撃能力が不足していることから優先度は低くされている。
固定翼機では発注済の8機のホーカー・ビーチクラフトT-6A練習機の一号機を12月に受領する予定で、チクリットに配備される。同地はイラクの空軍士官学校の伝統的な所在地。
大きな課題も残る。イラクは固定翼戦闘機の取得に関心を示しており、2015年の実現を目指している。しかし、同国所属だったMiG戦闘機がセルビアで見つかってもIQAF指導層の関心を呼んでいないようだ。今後の課題は導入中の複雑な機構の機体を長期間にわたり維持していくこと。
明るい材料はパイロット訓練で本年末にイラク単独で固定翼パイロット教程をキルクークで開始する。さらなる成果として回転翼パイロットの一期生が先月卒業している。
写真 セスナAC-208キャラバン、Mi-17ヘリ、SAMA CH2000、 T-6AテキサンII練習機
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