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インド、ロシア軍事協力の最新状況




Russia And India Discuss Decade Of Defense Ties

aviationweek.com Oct 16, 2009


 ロシア・インド間軍事協力協議が開催され、両国間の防衛協力の円滑化が中心議題の通常の会議に見えるが、 ロシアから見るとインドは通常の軍備装備市場の域を脱している。
 米、独、仏、英各国がインドの国防支出の中から自国装備購入のシェアを高めようと必死であり、その例として調達機数126機の中型多用途戦闘航空機(MMRCA)があり、その他にもロシアも競争に加わるべき計画が目白押しだ。
 今回の協議ではロシア国防相アナトリ・セルジューコフとインド国防相A.K.アンソニーが議長となり、特に二つの議題が最重要課題となった。ひとつがロシアで改装中の空母ヴィクラマディティヤ(旧名称アドミラル・ゴルシコフ)の引渡し価格であり、もうひとつは今後の両国の防衛産業協力の枠組みの合意だ。
 その他にはロシアのT-90S戦車の国内生産が計画から遅れていること、さらに重要な新規開発計画として第五世代戦闘機(FGFA)の共同設計・開発問題のほか、多用途輸送機(ATA)の共同開発がある。
 インド海軍向けのMiG-29K艦載機の引渡しが来月開始の予定で、同機の艦上運用試験がロシア海軍の空母アドミラル・クズネトフで最近実施されている。空母ゴルシコフの改装は日程から遅れており、予算も超過しているが、インド国内の政治的関心も高まっている。これがこじれないことがロシアの利益にもなるのは、乗員の訓練他で国防産業協力が拡大する可能性が出るためだ。
 2011年から2020年の期間にインドはロシアの第五世代戦闘機スホイPAK FAの取得をめざし、同時に現有のSu-30MKI の性能向上も実施する。多用途輸送機開発はインド首相のロシア訪問(2007年)に合意したものだが両国で開発状況を再検討しており、このために合弁企業を設立し、両国軍の要望にこたえる15トンから20トンの機体の設計、開発、生産を行う。このため両国はまもなく協定書に調印する見込み。
 誘導ミサイル関連ではSu-30MKI用の空対地ミサイルとして3M-55 ヤコント (SS-N-26) の派生型ブラーモスの導入が協議内容に含まれており、加えてブラーモスから超音速性能の兵器開発が検討されている。ブラーモスはラムジェット動力で速度はマッハ2.0から2.5の範囲で、仮称ブラーモスIIは更なる高速でマッハ6をめざし動力はスクラムジェットとなろう。
 インドを重要な顧客と見るロシアの姿勢はKh-38 空対地ミサイルをMMRCA候補機としてのMiG-35 商談に抱き合わせで提供することにあらわれている。同ミサイルはロシア空軍にも配備がはじまったばかり。同じくMiG-29Kの商談にもこのミサイルがセットになっている。
 インド国内ではブラーモスIIミサイルの共同開発はすでに合意済みとの報道があり、その推移に多大の関心が寄せられている。ただし、この報道には確証がない。
 今回の両国 政府間協議は第9回目で各年持ち回りで開催されている。■

(写真左から インド海軍のMiG-29K、ロシアとインドが共同開発しているブラーモスミサイル)

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