スキップしてメイン コンテンツに移動

USAF 代替燃料の開発最新状況

USAF Progresses On Alternative Fuels
aviationweek.com 10月5日


米空軍はフィッシャー・トロプシュ法(F-T)による合成燃料の2011年使用開始に向けて準備中だが、同時並行で水素処理再生可能ジェット燃料(HRJ)用のバイオ燃料の型式証明の準備も開始した。また、セルロース系原料からの燃料にも関心を示している。「混合比50対50のHRJの型式証明の日程ができています」(ビル・ハリソン 空軍燃料部次長) 「F-T法を詳細に研究して迅速かつ円滑な型式証明を期待しています」

【有望な原料は】 ハリソンによると、航空用バイオ燃料の会議が9月上旬に開催され、米国の農業関係者に望ましい原料についてのガイダンスがあった。短期的には種子植物のカメリナが一番有望と見られるが、中長期的にはセルロース系原料(例 トウモロコシ茎葉)が期待されるという。「セルロースに大きな関心があり、事実大きな進展があります」とハリソンは語る。年間10億トンもの原料が利用できることを指摘している。

【各社の動き】 国防エネルギー支援センター(DESC)が各軍向けの燃料を調達しており、テストと型式証明用に合計600千ガロンの再生可能燃料の調達契約を発注した。DESCによるとこの発注量は前例がない規模だという。サステイナブル石油(Sustainable Oils)、ソラザイム(Solazyme)およびハネウェル子会社のUOPが空軍向けに400千ガロン、海軍向けに190千ガロンを供給する。このうち、サステイイナブル石油はカメリナ、ソラザイムは藻、UOPは動物脂肪をそれぞれ原料とする。各社とも処理方法にはUOPの技術を利用する。ジェネラルエレクトリックはアミリスバイオテクノジーズ(Amyris Biotechnologies)製のバイオ燃料(工業的に甘蔗糖を直接発酵させて酵母に工業的に炭水化物にする)のテストを実施中。同社はブラジルとカリフォルニアにバイオディーゼル燃料の試験工場を持ち、ジェット燃料への商業利用を早ければ2012年に開始する予定だ。

【合成燃料のグリーン化を目指す】 バイオ燃料への関心が高まる中、DESCは平行して石炭および天然ガスからF-T法により合成ジェット燃料JP-8の抽出の試験工程を実施中だ。一方、エネルギー省は予算700百万ドルでF-T法で生成された合成燃料から温暖化効果ガス排出量削減を炭素捕捉・隔離ならびにバイオマスの投入で実現できないかの研究を実施中で、実証実験を2012年に行い、実用化を2020年にめざしている。

コメント 代替燃料の模索は民間航空よりも軍事航空が一歩先を行っている観があります。今まで価値のなかった農作物の一部が大きな資源となる可能性があるわけで、やはり農業の価値が大きいことがわかりますね。一方で高温高圧力が必要でかつ環境にやさしくないF-T法の合成燃料のグリーン化はそれはそれで大切です。とくに石炭の莫大な埋蔵量を考えると無視できない技術分野です。農業も石炭も日本には不利な分野なので、高度な技術蓄積で貢献するしか方法がないのかなと思います

コメント

このブログの人気の投稿

漁船で大挙押し寄せる中国海上民兵は第三の海上武力組織で要注意

目的のため手段を択ばない中国の思考がここにもあらわれていますが、非常に厄介な存在になります。下手に武力行使をすれば民間人への攻撃と騒ぐでしょう。放置すれば乱暴狼藉の限りを尽くすので、手に負えません。国際法の遵守と程遠い中国の姿勢がよく表れています。尖閣諸島への上陸など不測の事態に海上保安庁も準備は万端であるとよいですね。 Pentagon reveals covert Chinese fleet disguised as fishing boats  漁船に偽装する中国軍事組織の存在をペンタゴンが暴露   By Ryan Pickrell Daily Caller News Foundation Jun. 7, 3:30 PM http://www.wearethemighty.com/articles/pentagon-reveals-covert-chinese-fleet-disguised-as-fishing-boats ペンタゴンはこのたび発表した報告書で中国が海洋支配を目指し戦力を増強中であることに警鐘を鳴らしている。 中国海上民兵(CMM)は準軍事組織だが漁民に偽装して侵攻を行う組織として長年にわたり活動中だ。人民解放軍海軍が「灰色」、中国海警が「白」の船体で知られるがCMMは「青」船体として中国の三番目の海上兵力の位置づけだ。 CMMが「低密度海上紛争での実力行使」に関与していると国防総省報告書は指摘する。 ペンタゴン報告書では中国が漁船に偽装した部隊で南シナ海の「灰色領域」で騒乱を起こすと指摘。(US Navy photo) 「中国は法執行機関艦船や海上民兵を使った高圧的な戦術をたびたび行使しており、自国の権益のため武力衝突に発展する前にとどめるという計算づくの方法を海上展開している」と同報告書は説明。例としてヘイグの国際仲裁法廷が中国の南シナ海領有主張を昨年7月に退けたが、北京はCMMを中国が支配を望む地帯に派遣している。 「中国は国家管理で漁船団を整備し海上民兵に南シナ海で使わせるつもりだ」(報告書) 中国はCMMはあくまでも民間漁船団と主張する。「誤解のないように、国家により組織し、整備し、管理する部隊であり軍事指揮命令系統の下で活動している」とアンドリュー・エリク...

海自の次期イージス艦ASEVはここがちがう。中国の055型大型駆逐艦とともに巡洋艦の域に近づく。イージス・アショア導入を阻止した住民の意思がこの新型艦になった。

  Japanese Ministry of Defense 日本が巡洋艦に近いミサイル防衛任務に特化したマルチロール艦を建造する  弾 道ミサイル防衛(BMD)艦2隻を新たに建造する日本の防衛装備整備計画が新たな展開を見せ、関係者はマルチロール指向の巡洋艦に近い設計に焦点を当てている。実現すれば、は第二次世界大戦後で最大の日本の水上戦闘艦となる。 この種の艦船が大型になる傾向は分かっていたが、日本は柔軟性のない、専用BMD艦をこれまで建造しており、今回は船体形状から、揚陸強襲艦とも共通点が多いように見える。 この開示は、本日発表された2024年度最新防衛予算概算要求に含まれている。これはまた、日本の過去最大の529億ドルであり、ライバル、特に中国と歩調を合わせる緊急性を反映している。 防衛予算要求で優先される支出は、イージスシステム搭載艦 ( Aegis system equipped vessel, ASEV) 2隻で、それぞれ26億ドルかかると予想されている。 コンピューター画像では、「まや」級(日本の最新型イージス護衛艦)と全体構成が似ているものの、新型艦はかなり大きくなる。また、レーダーは艦橋上部に格納され、喫水線よりはるか上空に設置されるため、水平線を長く見渡せるようになる。日本は、「まや」、「あたご」、「こんごう」各級のレーダーアレイをできるだけ高い位置に取り付けることを優先してきた。しかし、今回はさらに前進させる大きな特徴となる。 防衛省によると、新型ASEVは全長約620フィート、ビーム82フィート、標準排水量12,000トンになる。これに対し、「まや」クラスの設計は、全長557フィート強、ビーム約73フィート、標準排水量約8,200トンだ。一方、米海軍のタイコンデロガ級巡洋艦は、全長567フィート、ビーム55フィート、標準排水量約9,600トン。 サイズは、タイコンデロガ級が新しいASEV設計に近いが、それでもかなり小さい。Naval News報道によると、新型艦は米海軍アーレイ・バーク級フライトIII駆逐艦の1.7倍の大きさになると指摘している。 武装に関して言えば、新型ASEVは以前の検討よりはるかに幅広い能力を持つように計画されている。 同艦の兵器システムの中心は、さまざまな脅威に対する防空・弾道ミサイル防衛用のSM-3ブロックII...

次期高性能駆逐艦13DDXの概要が明らかになった 今年度に設計開始し、2030年代初頭の就役をめざす

最新の海上安全保障情報が海外メディアを通じて日本国内に入ってくることにイライラしています。今回は新型艦13DDXについての海外会議でのプレゼン内容をNaval Newsが伝えてくれましたが、防衛省防衛装備庁は定期的にブリーフィングを報道機関に開催すべきではないでしょうか。もっとも記事となるかは各社の判断なのですが、普段から防衛問題へのインテリジェンスを上げていく行為が必要でしょう。あわせてこれまでの習慣を捨てて、Destroyerは駆逐艦と呼ぶようにしていったらどうでしょうか。(本ブログでは護衛艦などという間際らしい用語は使っていません) Early rendering of the 13DDX destroyer for the JMSDF. ATLA image. 新型防空駆逐艦13DDXの構想 日本は、2024年度に新型のハイエンド防空駆逐艦13DDXの設計作業を開始する 日 本の防衛省(MoD)高官が最近の会議で語った内容によれば、2030年代初頭に就役開始予定のこの新型艦は、就役中の駆逐艦やフリゲート艦の設計を活用し、変化する脅威に対し重層的な防空を提供するため、異なるコンセプトと能力を統合する予定である。  防衛装備庁(ATLA)の今吉真一海将(海軍システム部長)は、13DDX先進駆逐艦のコンセプトは、「あさひ」/25DD級駆逐艦と「もがみ」/30FFM級フリゲート艦の設計を参考にすると、5月下旬に英国で開催された海軍指導者会議(CNE24)で語った。  この2つの艦級は、それぞれ2018年と2022年に就役を始めている。  13DDX型は、海上自衛隊(JMSDF)が、今吉の言う「新しい戦争方法」を含む、戦略的環境の重大かつ地球規模の変化に対抗できるようにするために必要とされる。防衛省と海上自衛隊は、この戦略的環境を2つの作戦文脈で捉えている。  第一に、中国、北朝鮮、ロシアが、極超音速システムを含むミサイル技術、電子戦(EW)を含むA2/AD能力の強化など、広範な軍事能力を急速に開発している。第二に、ウクライナにおけるロシアの戦争は、弾道ミサイルや巡航ミサイルの大規模な使用、EWやサイバー戦に基づく非対称攻撃、情報空間を含むハイブリッド戦争作戦、無人システムの使用など、新たな作戦実態を露呈したと説明した。  新型駆逐艦は、敵の対接近・領域拒否(A2/A...