スキップしてメイン コンテンツに移動

リビアから搬出された兵器がシリア、ヒズボラへ 心配な中東の軍事バランス

                             

Syria And Hezbollah Have Advanced Missiles

aviationweek.com Mar 9, 2012

リピアの兵器庫から行方がわからなくなった世界最先端の対空兵器が中東の内覧分子の手にわたっている恐ろしい可能性がある。
  1. 少なくとも480発の高性能SA-24グリンチ携帯ミサイルがリビア動乱中に消失していたが、イスラエル国境地帯に出現したとイスラエル情報筋は明らかにした。
  2. この高性能兵器はリビアからイランに移動し、そこから一部はシリアへ、またレバノンのヒズボラ勢力のも手に渡った。その他エジプトとガザ地帯のハマスにも引き渡されている。イスラエルはここまで動きを掴んでいるが、実数は把握していない。
  3. ロ シア製のSA-24は最新鋭、携帯型防空システム(Manpads)で高度11,000フィートまでを飛行する、航空機、ヘリコプター、無人機全部に脅威 となる。米国関係者もリビア所有の武器がヒズボラとガザに移動していることを確認。ただし、SA-24については不明とした。リビアの兵器庫では空の格納 容器が見つかっている。
  4. た だし同ミサイルの威力について意見がわかれている。脅威とする見方の一方、同ミサイルが戦場で使用された事例は少なく、リビアでも戦闘の行方を左右するこ とはなかった。電子戦専門家は同ミサイルの脅威を和らげる方法をすでに確立している。実際に英軍のWAH-64アパッチ攻撃ヘリがSA-24の発射を受け たが、被害を出していない。
  5. イ ラン、シリア、ヒズボラ、ハマスは長年にわたり情報監視偵察情報の共有ならびに兵器共用をしている。シリアのレーダー情報、通信、情報統制、指揮命令シス テムは最近ロシアにより性能を向上させており、西側航空機がイラン方面に接近する前に早期警戒情報を出すことが可能だ。イランは2006年のレバノン紛争 でヒズボラを支援するため通信情報収集活動をシリア国内で展開している。実際にはイスラエル通信内容が傍受されたり解読された形跡はないが、携帯電話の通 話状態を監視することでイスラエル軍の集結地点のヒントが得られ、通報していた可能性がある。
  6. 米 国情報機関筋はシリアのシステム性能向上は誇張気味であるとする。同様にイラン防空網を突破し、ミサイル施設核開発施設の破壊に必要な所要期間についても 流布している観測は現実的ではないとする。退役米空軍参謀総長のひとりが任務達成には3日あれば十分と発言している。これに対し、イラン防空網の制圧だけ でもそれより長くかかると反論がある。とくに交戦の最初の数日間のイランの行動次第でこの期間は変動するという。最近の紛争では敵勢力は一部施設を意図的 に使用せず、その後の攻撃に対し温存する傾向がある。
  7. イ スラエルの評価はシリア防空網の性能向上は低周波レーダーの導入が要因ではなく、SA-17グリズリーミサイルの配備によるものとしている。二ヶ月前にシ リアがSA-17を展示しており、無人機含むすべての航空機にとっては脅威だとする。同ミサイルの有効範囲は高度100フィートから82千フィートで射程 は2マイルから26マイル。
  8. ま た、米国とイスラエルはイランからの兵器搬入を追跡しており、レバノンのべカー渓谷に運ばれていることを探知した。当初はシリアのミサイルが貯蔵されてい ると思われたが、実際はリビアの兵器がヒズボラの手に渡っていた。SS-21を除くシリア所有のミサイル各種がヒズボラに譲渡されたとのイスラエル情報が ある。SS-21スカラブは120キロメートル有効射程の弾道ミサイルである。ハマスともにイスラエル攻撃用の長距離ミサイルを手に入れようとしており、 独自開発の8インチミサイルが試射されガザから地中海やシナイ砂漠に到達していることがレーダー追跡で判明している
  9. 更に憂慮されるのがリビアから持ち出された大量破壊兵器(WMD)となる化学製品が闇市場で取引されている可能性である。実際にシリアの化学兵器保有量は世界第四位規模で米国イスラエルともに注視している。ヒズボラ、。
  10. た だしヒズボラにWMDを使用する能力があるとは見られていない。西側にはシリアが相当量の化学兵器を貯蔵しているが、これが内乱分子の手に渡る可能性があ ると判断された場合にイスラエルが軍事行動の行使を迫られるのではとの観測がある。その際の行動の選択肢として強襲作戦で弾道部を除去するあるいは貯蔵兵 器を破壊することがあろう。.
  11. シ リア国内の騒乱でひとつ不明な要因に同国の体制変化でイランにどんな影響が出るかという点がある。結果次第でイランが直接対話を迫られることもありうる。 あるいは核兵器開発を一層加速することもありうる。明らかなのはシリアの体制次第でイランからヒズボラへの物資供給が遮断されうるということだ。
  12. シリア国内情勢の影響でイランはイラクに対する圧力を強める可能性もある。イラクにはシリアを失うとイランにとっては戦略的損失となり、逆にイラク国内での影響力拡大に乗り出すのではとの懸念がある。
       

コメント

このブログの人気の投稿

漁船で大挙押し寄せる中国海上民兵は第三の海上武力組織で要注意

目的のため手段を択ばない中国の思考がここにもあらわれていますが、非常に厄介な存在になります。下手に武力行使をすれば民間人への攻撃と騒ぐでしょう。放置すれば乱暴狼藉の限りを尽くすので、手に負えません。国際法の遵守と程遠い中国の姿勢がよく表れています。尖閣諸島への上陸など不測の事態に海上保安庁も準備は万端であるとよいですね。 Pentagon reveals covert Chinese fleet disguised as fishing boats  漁船に偽装する中国軍事組織の存在をペンタゴンが暴露   By Ryan Pickrell Daily Caller News Foundation Jun. 7, 3:30 PM http://www.wearethemighty.com/articles/pentagon-reveals-covert-chinese-fleet-disguised-as-fishing-boats ペンタゴンはこのたび発表した報告書で中国が海洋支配を目指し戦力を増強中であることに警鐘を鳴らしている。 中国海上民兵(CMM)は準軍事組織だが漁民に偽装して侵攻を行う組織として長年にわたり活動中だ。人民解放軍海軍が「灰色」、中国海警が「白」の船体で知られるがCMMは「青」船体として中国の三番目の海上兵力の位置づけだ。 CMMが「低密度海上紛争での実力行使」に関与していると国防総省報告書は指摘する。 ペンタゴン報告書では中国が漁船に偽装した部隊で南シナ海の「灰色領域」で騒乱を起こすと指摘。(US Navy photo) 「中国は法執行機関艦船や海上民兵を使った高圧的な戦術をたびたび行使しており、自国の権益のため武力衝突に発展する前にとどめるという計算づくの方法を海上展開している」と同報告書は説明。例としてヘイグの国際仲裁法廷が中国の南シナ海領有主張を昨年7月に退けたが、北京はCMMを中国が支配を望む地帯に派遣している。 「中国は国家管理で漁船団を整備し海上民兵に南シナ海で使わせるつもりだ」(報告書) 中国はCMMはあくまでも民間漁船団と主張する。「誤解のないように、国家により組織し、整備し、管理する部隊であり軍事指揮命令系統の下で活動している」とアンドリュー・エリク...

海自の次期イージス艦ASEVはここがちがう。中国の055型大型駆逐艦とともに巡洋艦の域に近づく。イージス・アショア導入を阻止した住民の意思がこの新型艦になった。

  Japanese Ministry of Defense 日本が巡洋艦に近いミサイル防衛任務に特化したマルチロール艦を建造する  弾 道ミサイル防衛(BMD)艦2隻を新たに建造する日本の防衛装備整備計画が新たな展開を見せ、関係者はマルチロール指向の巡洋艦に近い設計に焦点を当てている。実現すれば、は第二次世界大戦後で最大の日本の水上戦闘艦となる。 この種の艦船が大型になる傾向は分かっていたが、日本は柔軟性のない、専用BMD艦をこれまで建造しており、今回は船体形状から、揚陸強襲艦とも共通点が多いように見える。 この開示は、本日発表された2024年度最新防衛予算概算要求に含まれている。これはまた、日本の過去最大の529億ドルであり、ライバル、特に中国と歩調を合わせる緊急性を反映している。 防衛予算要求で優先される支出は、イージスシステム搭載艦 ( Aegis system equipped vessel, ASEV) 2隻で、それぞれ26億ドルかかると予想されている。 コンピューター画像では、「まや」級(日本の最新型イージス護衛艦)と全体構成が似ているものの、新型艦はかなり大きくなる。また、レーダーは艦橋上部に格納され、喫水線よりはるか上空に設置されるため、水平線を長く見渡せるようになる。日本は、「まや」、「あたご」、「こんごう」各級のレーダーアレイをできるだけ高い位置に取り付けることを優先してきた。しかし、今回はさらに前進させる大きな特徴となる。 防衛省によると、新型ASEVは全長約620フィート、ビーム82フィート、標準排水量12,000トンになる。これに対し、「まや」クラスの設計は、全長557フィート強、ビーム約73フィート、標準排水量約8,200トンだ。一方、米海軍のタイコンデロガ級巡洋艦は、全長567フィート、ビーム55フィート、標準排水量約9,600トン。 サイズは、タイコンデロガ級が新しいASEV設計に近いが、それでもかなり小さい。Naval News報道によると、新型艦は米海軍アーレイ・バーク級フライトIII駆逐艦の1.7倍の大きさになると指摘している。 武装に関して言えば、新型ASEVは以前の検討よりはるかに幅広い能力を持つように計画されている。 同艦の兵器システムの中心は、さまざまな脅威に対する防空・弾道ミサイル防衛用のSM-3ブロックII...

次期高性能駆逐艦13DDXの概要が明らかになった 今年度に設計開始し、2030年代初頭の就役をめざす

最新の海上安全保障情報が海外メディアを通じて日本国内に入ってくることにイライラしています。今回は新型艦13DDXについての海外会議でのプレゼン内容をNaval Newsが伝えてくれましたが、防衛省防衛装備庁は定期的にブリーフィングを報道機関に開催すべきではないでしょうか。もっとも記事となるかは各社の判断なのですが、普段から防衛問題へのインテリジェンスを上げていく行為が必要でしょう。あわせてこれまでの習慣を捨てて、Destroyerは駆逐艦と呼ぶようにしていったらどうでしょうか。(本ブログでは護衛艦などという間際らしい用語は使っていません) Early rendering of the 13DDX destroyer for the JMSDF. ATLA image. 新型防空駆逐艦13DDXの構想 日本は、2024年度に新型のハイエンド防空駆逐艦13DDXの設計作業を開始する 日 本の防衛省(MoD)高官が最近の会議で語った内容によれば、2030年代初頭に就役開始予定のこの新型艦は、就役中の駆逐艦やフリゲート艦の設計を活用し、変化する脅威に対し重層的な防空を提供するため、異なるコンセプトと能力を統合する予定である。  防衛装備庁(ATLA)の今吉真一海将(海軍システム部長)は、13DDX先進駆逐艦のコンセプトは、「あさひ」/25DD級駆逐艦と「もがみ」/30FFM級フリゲート艦の設計を参考にすると、5月下旬に英国で開催された海軍指導者会議(CNE24)で語った。  この2つの艦級は、それぞれ2018年と2022年に就役を始めている。  13DDX型は、海上自衛隊(JMSDF)が、今吉の言う「新しい戦争方法」を含む、戦略的環境の重大かつ地球規模の変化に対抗できるようにするために必要とされる。防衛省と海上自衛隊は、この戦略的環境を2つの作戦文脈で捉えている。  第一に、中国、北朝鮮、ロシアが、極超音速システムを含むミサイル技術、電子戦(EW)を含むA2/AD能力の強化など、広範な軍事能力を急速に開発している。第二に、ウクライナにおけるロシアの戦争は、弾道ミサイルや巡航ミサイルの大規模な使用、EWやサイバー戦に基づく非対称攻撃、情報空間を含むハイブリッド戦争作戦、無人システムの使用など、新たな作戦実態を露呈したと説明した。  新型駆逐艦は、敵の対接近・領域拒否(A2/A...