スキップしてメイン コンテンツに移動

エアシーバトルに対抗する中国のサイバー作戦に有効な対抗手段はあるのか

New U.S. Doctine Said To Worry Beijing
 aviationweek.com Mar 20, 2012                                                         

オバマ政権は米国の安全保障の焦点をアジアに再び合わせると強調しており、中国の伸び続ける軍事力を特に意識しているが、エアシーバトル構想Air-Sea Battleがここで重要な存在になる。
  1. 米国による再検討は地域内同盟国の枠拡大およびインドを戦略パートナーとして整備することが主な内容。そうなるとエアシーバトル構想が中国情報機関の最大関心事になってくると米国は見ている。
  2. 同構想は対テロ作戦に重点を置いていた戦略を戦力投射power projectionにもどすもので、この裏にはイラク、アフガニスタンの作戦展開経験から荒廃した国の復興を米国だけでは実現できないという事実がある。
  3. エ アシーバトルは米国及びその同盟国による包囲陣への恐怖心を中国に復活させるとシンシア・ワトソン Cynthia Watson(戦略論教授・米海軍大学校)は語る。「中国は米国によるベトナム派兵を見てきましたが、これは想定外だったのです。中国軍の近代化は中国を 大国にするための手段であり、軍事近代化は中国は正しい選択と見ており、一方当方はこれを目の前で進展している脅威と見ます。完全に意見が対立する構造な のです」
  4. 一 方、中国の民間通信企業が軍事・情報戦活動に組み入れられる懸念が広がっている。中国の電子製品三大メーカー華為Huawei、 中興Zhongxing、大塘Datangは政府から研究開発資金を受けて、サイバー作戦、通信情報収集用の機器開発をすすめていると米中経済安全保障検 討委員会U.S.-China Economic and Security Review Commissionは見ている。その他の中国企業もコンピュータネットワークの情報提供でハッカー集団と極めて近い存在にあるといわれる。
  5. このため米国の国防組織、政府組織、民間企業の電子製品サプライチェーンが侵入され「システムに壊滅的な被害を与え、国防・民生両面の重要インフラの維持が困難になる」可能性を同上委員会が指摘している。
  6. こ こまでサイバー安全保障上の脅威となったためかつて国家安全保障庁および中央情報庁長官を務めた米空軍大将(退役)マイケル・ヘイデンMichael Haydenは米国はサイバー上の弱点cyber-vulnerabilityをわざわざ大金を出して創りだしているが、サイバー攻撃の想定対応には逆に 予算が少なすぎると批判している。「サイバー攻撃の遮断は不可能。今こそ攻撃が有効に行われた際を想定して自己修復型・被害最小化self-heal and self-limit damagesネットワークの構築の開発に取り組むべきだ」と主張する。
  7. 情報収集・監視・偵察(ISR)の専門家の間ではこの解決策は宇宙空間とサイバー作戦の融合だというのが常識になっている。
  8. 「接 近阻止・領域拒否anti-access, area-denial 環境での作戦には各領域の統合が不可欠」とラリー・ジェイムズ空軍中将Lt. Gen. Larry James(空軍ISR作戦副本部長、かつて国家偵察局で通信情報収集に従事)は言う。「従来の技術知識tradecraft はサイバー空間では何のの役にも立たない。状況把握の上にサイバー上で情報を収集整理するため、各方面の統合が必要だ」
  9. こ れに対しランド研究所のマーティン・リビッキMartin Libicki主任研究員は想像を超えた範囲と規模のサイバー問題を提起する。「部隊を全く移動することなく世界のあらゆる場所からの攻撃は実施可能で す。サイバー防衛に多くの予算を投入しており、総額600億ドルという推定がありますが、根本解決はまだありません」
  10. そ の最初に核時代の「もし当方を核攻撃すれば、当方も核で反撃する」方針を手直ししすることだと同研究員は言う。「アルカイダがもし米国の送電網を破壊した ら、アルカイダの電力網をダウンさせるぞと脅かしても意味がありません。もし北朝鮮がニューヨーク証券取引所をまひさせても、報復対象になる証券取引所は 平壌にはありません。サイバー諜報活動は武力での報復対象にならないのです」
  11. た だしもう少し前向きな可能性のある選択肢もある。米国がアジア太平洋地域を重視する戦略を採用してサイバー戦略にも変化が生じるのだろうか。「個別具体的 な弱点があるシステムには個別対応が必要でしょう。したがってある地域でのシステムが他の地域で必要なシステムとは違いが出てくるのは当然です」(リビッ キ主任研究員)

コメント

このブログの人気の投稿

フィリピンのFA-50がF-22を「撃墜」した最近の米比演習での真実はこうだ......

  Wikimedia Commons フィリピン空軍のかわいい軽戦闘機FA-50が米空軍の獰猛なF-22を演習で仕留めたとの報道が出ていますが、真相は....The Nationa lnterest記事からのご紹介です。 フ ィリピン空軍(PAF)は、7月に行われた空戦演習で、FA-50軽攻撃機の1機が、アメリカの制空権チャンピオンF-22ラプターを想定外のキルに成功したと発表した。この発表は、FA-50のガンカメラが捉えた画像とともに発表されたもので、パイロットが赤外線誘導(ヒートシーキング)ミサイルでステルス機をロックオンした際、フィリピンの戦闘機の照準にラプターが映っていた。  「この事件は、軍事史に重大な展開をもたらした。フィリピンの主力戦闘機は、ルソン島上空でコープ・サンダー演習の一環として行われた模擬空戦で、第5世代戦闘機に勝利した」とPAFの声明には書かれている。  しかし、この快挙は確かにフィリピン空軍にとって祝福に値するが、画像をよく見ると、3800万ドルの練習機から攻撃機になった航空機が、なぜ3億5000万ドル以上のラプターに勝つことができたのか、多くの価値あるヒントが得られる。  そして、ここでネタバレがある: この種の演習ではよくあることだが、F-22は片翼を後ろ手に縛って飛んでいるように見える。  フィリピンとアメリカの戦闘機の模擬交戦は、7月2日から21日にかけてフィリピンで行われた一連の二国間戦闘機訓練と専門家交流であるコープ・サンダー23-2で行われた。米空軍は、F-16とF-22を中心とする15機の航空機と500人以上の航空兵を派遣し、地上攻撃型のFA-50、A-29、AS-211を運用する同数のフィリピン空軍要員とともに訓練に参加した。  しかし、約3週間にわたって何十機もの航空機が何十回もの出撃をしたにもかかわらず、この訓練で世界の注目を集めたのは、空軍のパイロットが無線で「フォックス2!右旋回でラプターを1機撃墜!」と伝え得てきたときだった。 戦闘訓練はフェアな戦いではない コープサンダー23-2のような戦闘演習は、それを報道するメディアによってしばしば誤解される(誤解は報道機関の偏った姿勢に起因することもある)。たとえば、航空機同士の交戦は、あたかも2機のジェット機が単に空中で無差別級ケージマッチを行ったかのように、脈絡な

主張:台湾の軍事力、防衛体制、情報収集能力にはこれだけの欠陥がある。近代化が遅れている台湾軍が共同運営能力を獲得するまで危険な状態が続く。

iStock illustration 台 湾の防衛力強化は、米国にとり急務だ。台湾軍の訓練教官として台湾に配備した人員を、現状の 30 人から 4 倍の 100 人から 200 人にする計画が伝えられている。 議会は 12 月に 2023 年国防権限法を可決し、台湾の兵器調達のために、 5 年間で 100 億ドルの融資と助成を予算化した。 さらに、下院中国特別委員会の委員長であるマイク・ギャラガー議員(ウィスコンシン州選出)は最近、中国の侵略を抑止するため「台湾を徹底的に武装させる」と宣言している。マクマスター前国家安全保障顧問は、台湾への武器供与の加速を推進している。ワシントンでは、台湾の自衛を支援することが急務であることが明らかである。 台湾軍の近代化は大幅に遅れている こうした約束にもかかわらず、台湾は近代的な戦闘力への転換を図るため必要な軍事改革に難色を示したままである。外部からの支援が効果的であるためには、プロ意識、敗北主義、中国のナショナリズムという 3 つの無形でどこにでもある問題に取り組まなければならない。 サミュエル・ P ・ハンチントンは著書『兵士と国家』で、軍のプロフェッショナリズムの定義として、専門性、責任、企業性という 3 つを挙げている。責任感は、 " 暴力の管理はするが、暴力行為そのものはしない " という「特異な技能」と関連する。 台湾の軍事的プロフェッショナリズムを専門知識と技能で低評価になる。例えば、国防部は武器調達の前にシステム分析と運用要件を要求しているが、そのプロセスは決定後の場当たり的なチェックマークにすぎない。その結果、参謀本部は実務の本質を理解し、技術を習得することができない。 国防部には、政策と訓練カリキュラムの更新が切実に必要だ。蔡英文総統の国防大臣数名が、時代遅れの銃剣突撃訓練の復活を提唱した。この技術は 200 年前のフランスで生まれたもので、スタンドオフ精密弾の時代には、効果はごくわずかでしかないだろう。一方、台湾が新たに入手した武器の多くは武器庫や倉庫に保管されたままで、兵士の訓練用具がほとんどない。 かろうじて徴兵期間を 4 カ月から 1 年に延長することは、適切と思われるが、同省は、兵士に直立歩行訓練を義務付けるというわけのわからない計画を立てている。直立歩行は 18 世紀にプロ