Advent, Invent Address F-35 Needs And Look Ahead
aviatonweek.com November 05, 2012
次世代の米国製戦術航空機が2030年ごろの実戦配備が期待どおりに実現する保証はどこにもない。逆にエンジンおよびシステムで適応技術 adaptive engine and system technology の開発が進行中であり、その最初の適用例としてロッキード・マーティンF-35が対象になる可能性がある。同機は2020年代を通じ生産される唯一の米国製戦闘機になるはずだ。
- . 米空軍と海軍が注目しているのが高性能多用途エンジン技術 Advanced Versatile Engine Technology (Advent) および統合機体エネルギー技術 Integrated Vehicle Energy Technology (Invent) という相互関連した二つの計画で空軍研究所(AFRL)の主導のもとF-35性能向上策が生まれるように構想されている。
- F-35では適応技術の実用化が遅かれ早かれ必要となるとされることを前提にペンタゴンは次世代戦闘機の試作型製作を立ち上げようとしており、最新の自動化設計ツール、モデル化、シミュレーションを応用して開発工程の効率化を追求する予定だ。
- 10 月初めに空軍と海軍宛にフランク・ケンドール国防次官(調達担当) Frank Kendall, undersecretary of defense for acquisition から書簡が送付され次世代航空優勢機体コンセプトの探求を開始が示されている。5年以内に試作機完成に持っていく構想だ。18ヶ月でコンセプトを完成させ るため国防高等研究プロジェクト庁 Defense Advanced Research Projects Agency (Darpa) 予算を使うと同書簡に記してあるとブルームバーグが報道している。
- 「い つの日かF-35に取って代わる次世代機の性能要求水準の検討を今から始めても時期尚早とはいえない。「さらにF-35は高性能機とはいえ未だ開発が10 年ほどかかっても完了していない機体.....最先端機を設計するわが国の技術能力が衰えていると憂慮している」(同書簡)
- 今回の動きは設計チームにとっては適応技術、モデルを使ったツールを前提に開発中のAdvent、InventならびにDarpaによる適応型機体製作Adaptive Vehicle Makeを実行に移す好機となる。AFRLはすでにジェネラルエレクトリックおよびプラットアンドホイットニー 二社をバイパス可変型適応ファン装着のエンジンvariable-bypass, adaptive-fan engines 実証事業者として選定済みだ。このエンジンは適応型エンジン技術開発Adaptive Engine Technology Development (AETD) としてAdventの後に続くものだ。
- GE とプラットはファン、コア、ノズルリグの運転を2016年に実施し、エンジンの完全テストを2017年に行う道を開く。AETDエンジンは次世代ステルス 超音速巡航飛行可能な戦闘機用に想定されているが、F-35にも装着可能とすべきで、現在のエンジンとの比較で推力で5から10%増加しつつ燃料消費は 25%削減できる。
- .一方でInventの地上実証も2016年に終了予定で、Invent Spiral 1改修がF-35向けに開発されるのとほぼ同時期となる。nventの核心部分であるダイナミックモデルを利用する試みの上ではF-35の熱力学上の残余能力の把握が重要な要素だ。
- リ アルタイムでの熱余裕アルゴリズムにより「パイロットはリアルタイムで燃料が加熱しているのか冷却しているのか理解できるので、ミッションが台無しになる ことを防げます」と話すのはサム・セプテンバー(海軍将来装備研究開発部門の上級アナリスト)だ。加熱が限度を超えるとパイロットは高度を上げて燃料を冷 却させる。この機能は三から四年で機体に導入されるという。
- そ もそもこのアルゴリズムはF-35の熱制御システムのモデルから生まれたもので、環境やミッション条件の変化に対応することを目指し開発された。運用では まず飛行前のミッション計画システムに組み入れる。その後、機体の燃料タンク内に計器を入れて、コックピット上に加熱あるいは冷却の必要を表示し、パイ ロットが自ら熱制御に関与できるようにする。
- F- 35への応用とは別に第六世代戦闘機の開発を念頭に作業が続いており、高出力ながら熱制約がないエンジンの開発が今後の航空業界の産業力維持に鍵となる。 「先端的な設計、建造、試験をする好機」が利用できないと、ケンドール書簡によれば米国は高性能航空機を作る能力を「維持できなくなり、わが国の技術優位 性は持続できなくなる」という。■
marauderさんのコメント
10:14 AM on 11/12/2012- なかなか洞察力に富んだ記事ですね。
- あえて要約させてもらうとF-35は今後登場するはずの敵側の能力向上で挑戦に直面する一方で、これから登場する技術革新の恩恵も受けられるということですか。
- 彼我双方が同時に技術進歩をめざしていく中でF-35の実力と生存可能性はつとめてF-35自体の性能にかかってくるわけで、同時に同機を支援するシステム全体(給油機、C4Iやロジスティクス)の一部でもあるわけですね。.
- この意味でF-35もこれまでの歴史で傑作機と言われた機体と同じではあるものの、大きく違うのはF-35自体は成長変化できるように設計されていることですね。ただし、F-35Bの機体重量問題という微妙な話題もありますが。
筆者のコメント
Darpa の考える革新的な機体開発技術については別個ご紹介します。先日ご紹介した日本のF-3と米空軍のF-X、あるいは米海軍のF/A-Xが共通の機体あるい は技術となる可能性もあるのですが、米側が考えている開発技法は相当革新的なようです。それに対して日本側はどうでしょうか。こと開発になると安全な従来 どおりの考え方が踏襲されるのでしょうね。米側の焦りというのはF-35で苦い思いをしたことが念頭にあるのでしょう。その意味でF-35の「思わぬ貢 献」が今後の航空機開発で出てくるかもしれません。それにしてもF-22はどこにも話題が出ていませんね。
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