スキップしてメイン コンテンツに移動

イランとの秘密戦争が拡大中 日本ももっと関心を

From Sudan To Cyber, Secret War With Iran Heats Up

aviationweek.com November 06, 2012

イスラエルによるものと言われるスーダン空爆から湾岸地帯でのサイバー戦さらにイスラエル上空で撃墜された無人機まで、イランとその敵対国間の隠れた戦争は過熱し広がる様相を見せている。
  1. イスラエルによるイラン核施設攻撃のリスクは今のところは減ったとはいえ、戦闘は形を変えてあらわれている。
  2. 米国と欧州各国にとって中心となる手段は禁輸で、大きな損害をイラン経済に与えている。
  3. ただしオバマ政権とイスラエルは秘密工作に資源を投入しており、これに対してイランも反応を示している。
  4. イランのものと疑われるハッカー集団によりサウジの石油施設内のコンピュータが深刻な被害を受けたほか、ヒズボラ所属と見られる無人機がイスラエル上空で撃墜されており、以前は米国のみが使っていた戦術手段がいまや相手方も使っていることが明らかだ。
  5. シリア内戦で増え続ける死者数も進行中の代理戦争の結果の一部と見られる。
  6. 「代 理戦争なんて冷戦時代のようです。ただし当時と違うのは非対称戦技術が増えていることです。目に見えない場所で進行しているのがほとんどですが、現代にお いては秘密を長く保つのは難しくなっています」(ハヤット・アルヴィHayat Alvi海軍大学校、中東政治学講師)
  7. .秘密裏に対立することはなんら新しいことではない。海外の情報機関はこれまで何十年もイランほかの国家が核物質を入手するのをとめようと努力しており、イスラエル・イラン両国は代理戦場での対立をレバノンやパレスチナで繰り返している。
  8. 米 国・イスラエルはスタックスネット(コンピュータ・ウォーム)によりイランの核遠心分離機を狙ったと広く信じられている。一方で専門家の多くがイスラエル のモサド核科学者数名の暗殺に関与していると見ており、そのせいでイスラエル外交官がインド、グルジア、タイで爆弾テロの対象となり、ブルガリアではイス ラエル旅行者が襲撃された。
  9. 状況はエスカレートしているようだ。イランは報復を実施しようとしており、同国指導部は各施設が攻撃されればいっそう広範囲で破壊効果の高い手段も選択すると公言している。
  10. イスラエル領空を無人機が侵犯したが、同機は明らかにレバノンの戦闘集団ヒズボラが運用しており、イランと長年密接な関係のヒズボラだが、この無人機はイスラエルの核施設ディモナ近郊でイスラエル軍が撃墜した。
  11. イランは長年にわたり無人機開発を進めていると見られ、米国のセンティネル無人機の回収に成功したことから有益な情報も得ている可能性がある。今回のヒズボラの無人機は非武装だったが、複数の無人機に爆発物を搭載して一斉攻撃の場合の阻止は困難といわれる。
  12. イラン発と見られるサイバー攻撃の頻度が急増していることが米国をとくに憂慮させている。米系銀行数社への業務妨害攻撃が発生しており、米国による制裁と資金凍結への報復といわれてきたが、今回発生した湾岸の米同盟国への攻撃に比べれば単純な内容だった。
  13. 特 に憂慮されるのがアラムコとカタリのガス輸出施設への攻撃だった。レオン・パネッタ国防長官はサウジへの攻撃はこれまでのうちでもっとも巧妙なものと表現 している。両社あわせて数万台のコンピュータを破壊しており民間企業向けの攻撃では最大規模だった。同長官もイランを名指しで非難することだけは踏みとど まっているが。
  14. イランは関与を否定する一方で、時刻画サイバー攻撃を石油施設、通信ほかインフラ関連企業に受けており、被害がまだ続いていると主張。
  15. 「こういった秘密戦の手段方法論は公になっていないことが問題なのです。ただし今回の応用範囲は巨大です。もしイランがサウジの石油生産全体を止めてしまったらわがほうで何ができるでしょうか」(元CIA関係者で現在はブルキングス研究所主任研究員)
  16. 直接の外交交渉が実現されない間にこのようなアクションが外交手段になっていくのか。
  17. 「サ イバー攻撃とヒズボラ無人機はイラン側によるエスカレーションの象徴です。ただし今発生しているのはお互いにメッセージを送っているのです」(アリエル・ ラトナーAriel Ratner、オバマ政権で政治任命され国務省勤務、現トルーマン国家安全保障財団 Truman National Security Foundation の研究員)
  18. こ れでイスラエルの仕業といわれる10月23日のハルツーム公害の空襲の理由が説明がつく。同空襲でヤルモクYarmouk兵器工廠が火災炎上している。こ れはイスラエルがイランと米国に対して自国防衛のためには軍事力行使もためらわないとのメッセージを送ったとする見方がある。
  19. スーダンからイスラエル軍航空機4機で攻撃を実行したとの発表があったがイスラエルは論評を拒否。情報機関多くがイランが武器をエリトリアおよびスーダンに密輸しエジプト経由でガザにいるハマスへ供給しているとずっと疑ってきた。
  20. 先週はイラン軍艦二隻がスーダンに寄港しており、武器工場襲撃の数日後だったためはからずも二国間の団結を世界に示す形になった。イスラエルが南スーダン支援を強めると見る向きもある。
  21. だがもっとはっきりとした代理戦争がある。イスラエルはシリア紛争では及び腰の様相があり、同国関係者は反アサド派への支援は逆効果だといっている。だが、イランのライバルたるアラブ諸国はそう思っていない。
  22. 米国の優先事項はまず流血を止めるあるいは減らすことであり、イランの影響に対抗することはその次だ。
  23. これがサウジアラビアとカタールの観点では反乱分子に武器を供給し、シーア派のバシャール・アサド現政権を多数派スンニ派政権に取替えイランのつながりを排除することが目的となる。
  24. .シリアが隣国レバノンの安定を脅かしており、イラク国内の犠牲者数がじわじわと増えているのはスンニ派とイランが支援するシーア派の対立が暴力に傾いているためだ。
  25. .湾岸諸国の指導部はほとんどがスンニ派でこれまでもイランがシーア派住民を通じ国内かく乱を狙っていると疑惑の目を向けていたが、西側外交筋はそこまでいうのは誇張だと受け止めてきた。
  26. イランはさらに地域不安定化をたくらむ可能性があり、米国政府はイランの武装反対勢力MEKをテロリストグループリストからはずし、秘密行動を共同で実施する可能性に道を開いた。ただし、実行に移せばイラン国内で暴力の連鎖を生む可能性がある。
  27. 米国はサウジ大使暗殺をはかるイランの陰謀を未然に防いだと昨年発表している。ワシントンDCのレストランで爆弾テロを計画していた。ある危機管理専門家はイランが相当のリスクを覚悟しているとみ他一方、この件を荒唐無稽ととらえたものもあった。■


コメント

このブログの人気の投稿

漁船で大挙押し寄せる中国海上民兵は第三の海上武力組織で要注意

目的のため手段を択ばない中国の思考がここにもあらわれていますが、非常に厄介な存在になります。下手に武力行使をすれば民間人への攻撃と騒ぐでしょう。放置すれば乱暴狼藉の限りを尽くすので、手に負えません。国際法の遵守と程遠い中国の姿勢がよく表れています。尖閣諸島への上陸など不測の事態に海上保安庁も準備は万端であるとよいですね。 Pentagon reveals covert Chinese fleet disguised as fishing boats  漁船に偽装する中国軍事組織の存在をペンタゴンが暴露   By Ryan Pickrell Daily Caller News Foundation Jun. 7, 3:30 PM http://www.wearethemighty.com/articles/pentagon-reveals-covert-chinese-fleet-disguised-as-fishing-boats ペンタゴンはこのたび発表した報告書で中国が海洋支配を目指し戦力を増強中であることに警鐘を鳴らしている。 中国海上民兵(CMM)は準軍事組織だが漁民に偽装して侵攻を行う組織として長年にわたり活動中だ。人民解放軍海軍が「灰色」、中国海警が「白」の船体で知られるがCMMは「青」船体として中国の三番目の海上兵力の位置づけだ。 CMMが「低密度海上紛争での実力行使」に関与していると国防総省報告書は指摘する。 ペンタゴン報告書では中国が漁船に偽装した部隊で南シナ海の「灰色領域」で騒乱を起こすと指摘。(US Navy photo) 「中国は法執行機関艦船や海上民兵を使った高圧的な戦術をたびたび行使しており、自国の権益のため武力衝突に発展する前にとどめるという計算づくの方法を海上展開している」と同報告書は説明。例としてヘイグの国際仲裁法廷が中国の南シナ海領有主張を昨年7月に退けたが、北京はCMMを中国が支配を望む地帯に派遣している。 「中国は国家管理で漁船団を整備し海上民兵に南シナ海で使わせるつもりだ」(報告書) 中国はCMMはあくまでも民間漁船団と主張する。「誤解のないように、国家により組織し、整備し、管理する部隊であり軍事指揮命令系統の下で活動している」とアンドリュー・エリク...

海自の次期イージス艦ASEVはここがちがう。中国の055型大型駆逐艦とともに巡洋艦の域に近づく。イージス・アショア導入を阻止した住民の意思がこの新型艦になった。

  Japanese Ministry of Defense 日本が巡洋艦に近いミサイル防衛任務に特化したマルチロール艦を建造する  弾 道ミサイル防衛(BMD)艦2隻を新たに建造する日本の防衛装備整備計画が新たな展開を見せ、関係者はマルチロール指向の巡洋艦に近い設計に焦点を当てている。実現すれば、は第二次世界大戦後で最大の日本の水上戦闘艦となる。 この種の艦船が大型になる傾向は分かっていたが、日本は柔軟性のない、専用BMD艦をこれまで建造しており、今回は船体形状から、揚陸強襲艦とも共通点が多いように見える。 この開示は、本日発表された2024年度最新防衛予算概算要求に含まれている。これはまた、日本の過去最大の529億ドルであり、ライバル、特に中国と歩調を合わせる緊急性を反映している。 防衛予算要求で優先される支出は、イージスシステム搭載艦 ( Aegis system equipped vessel, ASEV) 2隻で、それぞれ26億ドルかかると予想されている。 コンピューター画像では、「まや」級(日本の最新型イージス護衛艦)と全体構成が似ているものの、新型艦はかなり大きくなる。また、レーダーは艦橋上部に格納され、喫水線よりはるか上空に設置されるため、水平線を長く見渡せるようになる。日本は、「まや」、「あたご」、「こんごう」各級のレーダーアレイをできるだけ高い位置に取り付けることを優先してきた。しかし、今回はさらに前進させる大きな特徴となる。 防衛省によると、新型ASEVは全長約620フィート、ビーム82フィート、標準排水量12,000トンになる。これに対し、「まや」クラスの設計は、全長557フィート強、ビーム約73フィート、標準排水量約8,200トンだ。一方、米海軍のタイコンデロガ級巡洋艦は、全長567フィート、ビーム55フィート、標準排水量約9,600トン。 サイズは、タイコンデロガ級が新しいASEV設計に近いが、それでもかなり小さい。Naval News報道によると、新型艦は米海軍アーレイ・バーク級フライトIII駆逐艦の1.7倍の大きさになると指摘している。 武装に関して言えば、新型ASEVは以前の検討よりはるかに幅広い能力を持つように計画されている。 同艦の兵器システムの中心は、さまざまな脅威に対する防空・弾道ミサイル防衛用のSM-3ブロックII...

次期高性能駆逐艦13DDXの概要が明らかになった 今年度に設計開始し、2030年代初頭の就役をめざす

最新の海上安全保障情報が海外メディアを通じて日本国内に入ってくることにイライラしています。今回は新型艦13DDXについての海外会議でのプレゼン内容をNaval Newsが伝えてくれましたが、防衛省防衛装備庁は定期的にブリーフィングを報道機関に開催すべきではないでしょうか。もっとも記事となるかは各社の判断なのですが、普段から防衛問題へのインテリジェンスを上げていく行為が必要でしょう。あわせてこれまでの習慣を捨てて、Destroyerは駆逐艦と呼ぶようにしていったらどうでしょうか。(本ブログでは護衛艦などという間際らしい用語は使っていません) Early rendering of the 13DDX destroyer for the JMSDF. ATLA image. 新型防空駆逐艦13DDXの構想 日本は、2024年度に新型のハイエンド防空駆逐艦13DDXの設計作業を開始する 日 本の防衛省(MoD)高官が最近の会議で語った内容によれば、2030年代初頭に就役開始予定のこの新型艦は、就役中の駆逐艦やフリゲート艦の設計を活用し、変化する脅威に対し重層的な防空を提供するため、異なるコンセプトと能力を統合する予定である。  防衛装備庁(ATLA)の今吉真一海将(海軍システム部長)は、13DDX先進駆逐艦のコンセプトは、「あさひ」/25DD級駆逐艦と「もがみ」/30FFM級フリゲート艦の設計を参考にすると、5月下旬に英国で開催された海軍指導者会議(CNE24)で語った。  この2つの艦級は、それぞれ2018年と2022年に就役を始めている。  13DDX型は、海上自衛隊(JMSDF)が、今吉の言う「新しい戦争方法」を含む、戦略的環境の重大かつ地球規模の変化に対抗できるようにするために必要とされる。防衛省と海上自衛隊は、この戦略的環境を2つの作戦文脈で捉えている。  第一に、中国、北朝鮮、ロシアが、極超音速システムを含むミサイル技術、電子戦(EW)を含むA2/AD能力の強化など、広範な軍事能力を急速に開発している。第二に、ウクライナにおけるロシアの戦争は、弾道ミサイルや巡航ミサイルの大規模な使用、EWやサイバー戦に基づく非対称攻撃、情報空間を含むハイブリッド戦争作戦、無人システムの使用など、新たな作戦実態を露呈したと説明した。  新型駆逐艦は、敵の対接近・領域拒否(A2/A...