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数字ばかりが踊るF-35のコスト見積もりがさらに混迷化

SAR Underscores F-35 Sustainment Cost Confusion

By Amy Butler
Source: Aviation Week & Space Technology

June 03, 2013
Credit: Lockheed Martin
Amy Butler Washington

最新のF-35関連費用報告書を見るとペンタゴンは運用維持コストならびに50年供用で総額1兆ドルといわれる総費用の削減策の内容開示で消極的な姿勢が見えてくる。
  1. 今 回刊行されたF-35に関する個別調達報告書selected acquisition report (SAR)によるとF-35運用経費の見積もり額は一年前と同程度で、現行機種を運用した場合との差額が減っているだけだ。ペンタゴン内 の費用分析部隊は現行機で運用規模が最大のF-16C/Dの飛行時間あたりコストcost per flying hour (CPFH)を膨らませて、F-16とF-35の運用コスト比較をしている。
  2. 空軍参謀総長マーク・ウェルシュ大将がいみじくも言うように空軍には同一条件でコスト比較が必要だ。プログラム担当関係者ならびに米国各軍のユーザーは単に F-35のCPFHを下げるだけでなく、ライフサイクル費用全般の引き下げ方法を模索すべきである。CPFHは整備部門の技能水準や部品・燃料価格にも左右 される。
  3. 今 回のSARではF-16C/D型とF-35A間のCPFH比較で新しい切り口「補正」“normalizing” (現行機種運用コストを上方修正)を採用。費用分析に詳しい国防関係者によると「実際の数字を操作する」のはきわめて異例であるという。F-16 C/D部隊にはこれまで数十年のデータ蓄積があり信頼できる一方、F-35の飛行実績はわずか4年間だ。
  4. 「F- 16C/Dのコストは空軍コスト分析部門Air Force Cost Analysis Agencyと共同でF-35との比較のため補正した」とSARは記述。「よりよい比較のためF-16C/DのCPFH実績値を補正し燃料費および飛行時 間をF-35Aと同じ水準にした。F-16C/Dでも燃料経費、システムズエンジニアリングマネジメント、整備コスト、その他ソフトウェア開発、情報シス テムを加算し数字が大きくなっている」としている。さらにF-16C/DとF-35では設計年次、稼動時期それぞれが異なる。F-35は自律型情報ロジス ティックスシステムAutonomic Information Logistics System (ALIS)で機体診断データ、部品補給やミッション計画立案が広範囲に可能。F-16には装備されていないので、コスト試算では同一の条件での比較は不 正確さがつきまとう。
  5. そこで現在のF-16ではCPFHは$24,899(F-35の78%相当)で昨年の試算値$22,470(F-35の70%相当)から上昇。
  6. F- 35Aを50年間供用した場合のライフサイクル費用は1.1兆ドルのままでF-35計画管理室(PEO)長だったデイヴィッド・ヴェンレット海軍中将時代 の数字と変化がない。同中将によると「保守管理費用試算結果を見て各軍トップは一様に落胆していた」のが2011年のことである。
  7. 中でも米空軍は1,763機と最大規模の調達を予定しており、CPFHをことさら重要視している。ウェルシュ参謀総長は「比較検討上の数字を調節して F-16 C/Dでおおよそ$25,000、F-35で約$32,000となった。数字はこれからも微妙に変化するだろうし、検討要素も変わるが、おおよその方向性 は見えてきた」と発言。
  8. ただし今回のSARでもF-35が高価すぎるとの懸念を抑えることはできない。
  9. ク リストファー・ボグデン空軍中将Lt. Gen. Christopher Bogdanが率いるPEOが提示したCPFHは$24,000で今のところこれが最低金額だ。ボグデン中将はこの数字をオランダ議会関係者に3月に開示 しているが、この数字はSARもフランク・ケンドール国防次官(調達担当)Frank Kendallも裏づけていない。ケンドール次官は4月にF-35のCPFHは「今年中に下がる」と発言しており「ただしボグデン中将の数字まで は下がらないと思う」としている。
  10. だ がボグデン、ケンドールいずれの数字も正確ではない。ペンタゴンのコスト計算部門はF-35のCPFHを$31,923と算出しており、この数字は昨年議 会に報告した数字から変動していない。退任前最後の定期記者会見でマイケル・ドンレイ空軍長官は「引き続き同機のコストと性能の向上に努める。各部門とは 協議を継続中」と発言しているが、空軍は整備および訓練の双方で維持管理費用を削減する手段の方向性を示せずにいる。
  11. SAR は国防長官官房の費用分析・計画評価ost Analysis and Program Evaluation (CAPE)部門の作業結果が反映されている。F-35合同計画室も独自の数字としてSARの数字より低い額を、ケンドール次官に提出する予定だが、同 室はCAPEにこの数字の採択を希望しており、次回SAR(2014年春)に反映してもらいたいとしている。なお今回の試算ではF-35の開発、調達全体 の費用は米国(2,443機購入)だけで3,910 億ドル(約38兆円)で、これも一年前と大きく変動していない。ただし設計・調達に限ると前年比1.5%圧縮されており、おもに人件費単価が下がったこと が原因と、報告書はまとめている。■

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