Japan Plans More Aggressive Defense
US Naval Institute, May. 26, 2013 - 10:50AM
Japan's ruling party guidance calls for boosting the amphibious capabilities of the Army's Western Infantry Regiment, here training alongside US Marines in California in February. (Capt. Esteban Vickers/US Marine Corps)
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年近く限定的な防衛能力の維持にとどめてきた日本が揚陸作戦能力、先制攻撃能力の整備に乗り出すべきであり、弾道ミサイル防衛能力も拡充すべきだというの
が政権与党による政策提言の骨子だ。同提言は一般公表前にDefense
Newsが入手したもので、宇宙配備の早期警戒システムの増強も求めている。同提言をとりまとめたのは石破茂、中谷元の防衛相経験者なので相当の重みのあ
る内容だと政策研究院大学の道下徳成准教授は言う。
- 提言内容が政策に反映されると今後5年間の中期防衛計画の調達支出で高い優先順位を与えられることになる。防衛省は同計画を12月までに公表する予定だ。
- 時あたかも安倍政権が憲法第9条を改正し「国家主権の手段としての戦争」のための「戦力の維持」を禁じるというくだりを削除し総理大臣を最高指揮官とした「国防軍」を保有できるよう求めている。
- 自民党による政策提言では個別具体的な兵器名称を表現しておらず、2009年にまとめられた前回の提言内容から具体性を下げている。「当時は自民党は政権の座になかったので表現も直截的にできたのでしょう」と道下准教授は解説する。
- 前回の提言ではボーイングKC-46空中給油機の導入をもとに北朝鮮のサイルを発射前に攻撃することを堂々と主張していた。また最終段階高高度地域防衛 (THAAD)の配備も求めていた。
- それから4年たち自民党は昨年12月の総選挙で政権与党に返り咲いた。今回は言葉使いも一層慎重だ。
- 日本にとっての懸念材料である中国と北朝鮮を直接言及することを避けつつ同提言は防衛能力の整備をどこまで目指すべきかでは堂々と述べており、防衛当局は同提言に沿った防衛能力増強オプションを検討中と、消息筋は言う。
- 特 に関心を呼びそうで問題にもなりそうなのが先制攻撃に関する提言内容で、それによると日本は共用直接攻撃兵器Joint Direct Attack Munitions (JDAMs)、長距離空中給油能力をF-35向けに装備すること、海上部隊向けにF-35Bを導入すべきとしている。
- 今回の提言ではKC-46Aの言及はないが、航空自衛隊はF-2多用途戦闘機にJDAMの装備を進めており、19,500トンの22DDH計画ヘリコプター護衛艦はF-35B用に改装可能だ。
- 日 本がイージスSM-3ミサイル及びペイトリオット性能改修型-3(PAC-3)弾道ミサイル防衛システムを配備したのは2003年のことで石破防衛相(当 時)は日本から北朝鮮のミサイル基地攻撃も一定の条件のもとで実施が可能との見解を示している。ミサイルに燃料が注入され日本が標的ととの証拠が見つかれ ば日本としては防衛手段がないと道下准教授は指摘する。
- ただ日本は弾道ミサイル防衛を着々と整備中であり、北朝鮮の長距離ミサイル銀河Unhaおよび移動式中距離弾道ミサイルムスダンMusudanの迎撃を目指す中で、先制攻撃の実施は違憲判断となる可能性があるとも同准教授は指摘。
- ブ ラッド・グロサマンBrad Glosserman(戦略国際研究センターCenter for Strategic and International Studies (CSIS)の太平洋フォーラムを統括)は先制攻撃論が日本で高まることに懸念を示している。「CSISは先制攻撃問題を6年に渡り検討しており、この 数ヶ月で先制攻撃能力の整備を求める声が再び高まっていることに気づきました。先制攻撃能力が拡散すると安定性を損なう効果が生まれるので懸念を示さざる をえません」
- 日本が海兵隊を別個に整備することはおそらくないだろうが、水陸両用作戦能力の拡充の可能性は十分あり、陸上自衛隊の西部方面普通科連隊が米海兵隊と合同演習をしていると指摘する向きがある。
- Global Strategies & Transformationのコンサルタントであるポール・ジアラPaul Giarraは今回の政策提言により陸上自衛隊の一個ないし二個連隊に高性能水陸両用車両を今後5年以内に導入する可能性が出てきたと見ており、現在想定 しているAAV-7A1Sより高性能のモデルとなる、またベルーボーイングV-22オスプレイも想定されるという。
- 「自 衛隊に高性能装備を導入すべきと言うのが提言内容だと読み取りました。それ自体が大きな進展ですが、自民党は海兵隊創設までは求めていないようですね」と 解説したのはクリストファー・ヒューズ(英ウォーウィック大教授、国際政治・日本研究論)だ。日本が検討中のBMD能力増強策には現状ではこんごう級護衛 艦4隻、やや大型のあたご級2隻とPAC-3部隊が中心だが2009年版提言ではTHAAD他「高性能」版のPAC-3導入を主張していたが、今回の提言 書では陸上配備BMDの性能向上を推奨し、THAADあるいはイージス陸上型、またはPAC-3ミサイルセグメント性能向上型 (MSE)を国土防衛の最終手段として選ぶことがふさわしいとしている。
- ジアラによればPAC-3 MSEはイージス陸上型を代替できるという。日本はMSEに関心を示しているが、THAADは能力的に重複するほか過大な調達になる可能性があると指摘している。
- 日 本の防衛当局が脅威とみなしているのは巡航ミサイル一般なかんずく中国のDF-21D対艦弾道ミサイルだ。このため性能向上策のトップがSM-3ブロック IIAイージスシステムが利用可能となり次第導入することで、さらに有効射程が長いRIM-174対空ミサイルの導入も検討している。
- ヒュー ズ教授は政策提言は各方面からの批判に加え自民党内部のハト派の抵抗が予想されるという。また防衛省の審議会が来年1月に予定されているが優先順位が変わ る可能性があるという。さらに財務省が防衛予算増額に難色を示すと見る。「だが安倍政権が抵抗を封じ込めれば急展開するだろう」
- こういった日本の動きは中国が強硬に領土主張を展開する地域の各国が歓迎するだろう。
- 「日 本とフィリピンにはギクシャクした過去がありましたが、フィリピンは日本を強く支持しています。なぜなら日本はフィリピン沿岸警備隊の訓練をしていますし ね」とジアラは解説する。「韓国は日本への依存度は低いのですが、関係の緊張化は深くなっており、日本の動きに賛同する可能性は低いでしょう」
- 緊張をさらにあおったのが大阪の市長が日本占領下で慰安婦を強いられたのは軍事上の必要悪であったと発言したことで、これに対し韓国新聞各紙は原爆投下は日本の残虐行為に対する「神の復讐」だったと応酬している。
- アジア各国及び米国には日本の右派政治家は戦時中の日本軍には非がなかったと思っているのではないかと憂慮している。
- 「日本の行動がこのまま変わらくても日本への支持は静かに続くでしょう。ただし、戦時中の行いに何ら反省すべき点がないと思い謝罪も不要とする誘惑に日本側が打ち勝てるかが問題です」(ジアラ)
- 「戦 時中の行いで不当な非難を浴びていると日本では感じていますが、韓国、フィリピン、インドネシア等の感情は反対です。ドイツは過去を処理し、現在も向き 合っていますが、日本では問題を封殺してきたので今日では圧力が高くなっていますが、はけ口ができれば防衛力整備に対する各国の見方も変わるでしょう」 ■
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