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ロシア製高性能ミサイルS-300がシリアに引き渡されたらどうなるか

 なかなか見えてこないシリア情勢ですが、関係各国の動きのなかでもロシアには要注意です。今回取り上げる高性能対空ミサイルは単体では機能せず、システムで考えるべきものですが、意外に大きな影響を同地域に与えそうです。その中でも現実を厳しく見つめるイスラエルの考え方には日本ももう少し注意して追いかけていく必要があるのではないでしょうか。


Potential S-300 Sale To Syria Catches Israel’s Attention

By David Eshel, Jen DiMascio
Source: Aviation Week & Space Technology

June 03, 2013
Credit: ITAR-TASS/Landov File Photo
David Eshel Tel Aviv and Jen DiMascio Washington

国際社会がシリア内戦に介入すべきかを議論する中、イスラエルはシリアがロシア製S-300ミサイルを導入し防空網を強化していることに懸念を増大させている。
  1. イスラエルにとって.シリアの防空能力増強は潜在敵国と突如開戦になった場合に危険度が上がる意味があるとイスラエル空軍アミル・エシェル少将Maj. Gen. Amir Eshelは解説する。
  2. 「アサド政権は多額の予算で防空体制を整備しています」としSA-17、SA-22、SA-24の購入に加え、以前のイスラエル空爆の教訓から状況認識能力の向上を図っているという。
  3. 先 週になりロシアの外務副大臣セルゲイ・リャブコフ Sergei Ryabkovがモスクワの記者団にロシアはS-300引渡しを決定し、外国によるシリア干渉への対抗を支援すると発言している。この声明は欧州連合が武 器禁輸を緩和し、英仏両国が武装抵抗勢力への武器供与を検討中とする中で出てきたもの。もし、S-300が導入されれば地域紛争の危険性が増大するとエ シェル少将は見ている。
  4. そもそもS-300は100 km 超の範囲で弾道ミサイルや航空機の迎撃を想定し、S-300PMU2 ファヴォリFavorit だと6発同時発射で高高度と低高度の双方で同時に目標12個と交戦が可能。このS-300PMU2には対抗できる戦闘機は存在しない。
  5. 「ロ シアがS-300をシリアに販売すると勢力図が塗り替えられるでしょうね」と見るのは戦略国際研究所Center for Strategic and International Studiesのアンソニー・コーズマンAnthony Cordesmanだ。「引渡しが実現すれば米ロ交渉は無意味になし、同じような取引がイラン向けに起こることへの警戒感を呼び、イスラエルはシリア内戦 に引きずり込まれ、米国および同盟国の航空優勢能力を下げることになるでしょう」
  6. 一見するとS-300はS-200から大きく変化ないように見えるとコーズマンは語るが、実際はS-300は低空能力を大幅に改善し、ジャミングに強く探知が困難という。
  7. ただしS-300をシステムでみると未知数が多いという。レーダーとの組み合わせはどうなのか、発信所の機能水準でも不明な点があり、シリアの防空体制全般の向上にどこまで貢献するか見えてこないという。.
  8. ま たS-300がシリア防空網に統合化するには時間がかかるのではとの見方もイスラエルにある。ロシアが現地で技術支援しないと実用化できないとする見方 だ。統合化にはシステムを熟知し使いこなすための長期間の投資として、運用のみならず整備のための施設作り、運用部隊の訓練が必要だ。シリア軍の現状から 見てそれだけの人員と予算をこのために確保できるか疑問だというのだ。さらに国内武装反乱勢力から機材を守れるかも疑わしい。
  9. 低い確率とはいえ、バシャル・アル・アサド大統領Bashar al Assad が同システムをレバノンのヒズボラ勢力に引き渡す可能性もあり、イスラエルの視点ではこれが実現したら極度に深刻な事態となり報復攻撃は必至だという。
  10. 地 政学の観点でイスラエルに直接影響が出てくる。シリアが「もし明日崩壊したら、大量の兵器が分散し、各方向から自分たちに銃口が向けられる」とエシェル少 将は見ている。「奇襲攻撃の方法は多様化しています。ひとつの事件がエスカレートして数時間で対応を準備せざるを得ない対応が想定されます。つまり、イス ラエル空軍のもつ力を総動員することになります」
  11. シリアがロケットやミサイル数千発のをイスラエルに発射する事態をイスラエルは想定している、という。
  12. 高性能兵器がヒズボラのような敵性勢力に引き渡される、あるいは化学兵器の移転はわが国にとってまったく受入れられません」
  13. シ リア軍がヒズボラと共同でシリア北西の都市アルカサイルAl-Qusayrを強襲したとの報道をイスラエル空軍は注視している。同市はシリアからレバノン への交通の要所で占拠はシリア・レバノン間の移動路を確保する戦略的勝利。高性能の防空体制があれば兵器移送の阻止攻撃は高リスクになる。
  14. イ スラエル国防軍司令官ベニー・ガンツ中将Lt. Gen. Benny Gantz は「多方面で同時に戦闘状態が発生する可能性はかなりあります」と記者会見で発言しており、「地域不安定度を考慮すれば、わが軍は多方面対応の可能性に直 面しており、国防作戦の様相を書き直すような新しい現実の中におかれています」と発言している。■

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