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米陸軍が進める共用ヘリ開発に業界の関心が集まっています

U.S. Army Rotorcraft Initiative Draws Praise

aviationweek.com Oct 8, 2010

米陸軍は発達型回転翼の技術実証を準備中で、2025年頃に新型ヘリとして生産に入る可能性がある。
  1. 陸軍は他の軍組織と共用多目的ヘリ(JMR)技術実証を進めており、このコンセプトは共用打撃戦闘機(JSF)F-35として実現に至った共用高性能戦闘機開発の例を参考としている。
  2. 今回の開発は回転翼機業界から新規開発計画を求める悲痛な声に応える意味もある。ただし、陸軍がJMR技術実証実験を新型機の開発、生産にそのままつなげる意図があるかは明らかではない。
  3. 業 界ではJMR実証を歓迎したものの、予算規模があきらかでなく、最近組織化された垂直輸送コンソーシアムの役割も明確にされていないことに不安を感じてい る。同コンソーシアムは国防総省の求めで回転翼機の技術革新を進めるべく、大手・中小メーカーと学界を連携させようとするもの。
  4. 「二 種類の機体をゼロから作り、それぞれの仕様は似たものになるか、全く違うものになるかは不明です」とネッド・チェイス陸軍航空ミサイル研究所の開発・エン ジニアリングセンター(Amrdec)の機体技術部長は語る。高性能ヘリ、混合ヘリあるいはティルトローターの採用が検討されている。
  5. 陸軍はNASA、DARPA(国防高等研究プロジェクト庁)が他軍とともに予算を確保することを期待している。「予算があれば3機になるかもしれません」(Armdecの航空開発部長ジム・スナイダー)
  6. JMR が狙うのは米陸軍が運用中の既存ヘリ全機種の後継機となる以外に米海軍、海兵隊、空軍が運用する小型機の後継機に なる機体へ向けての技術実証だ。狙いは中型機と分類されるAH-64アパッチとUH-60ブラックホークの後継機の開発におかれている。一方で、機体を小 型化しOH-58Dカイオワ・ウォリアー武装偵察ヘリの後継や逆に大型化してCH-47チヌーク大型輸送ヘリの後継機も意図している。
  7. 実 はJMR実証機の狙いは共用高性能回転翼機技術(JART)として1998年に提案があったものに類似している。JARTは結局各軍から高価過ぎるとして 支持を得られなかった経緯があるが、今回は保有機の経年変化が進む中で陸軍も他に選択肢がなくなっているとの認識であるといわれる。
  8. 陸 軍は今も新造機を購入しているが、その基本設計は60年代、70年代であり、イラク・アフガニスタンでの作戦運用では性能限界、信頼性、生存性にもに限界 があることが浮き彫りになった。JMRではペイロード、航続距離、速度、耐久性、生存性、価格のすべてで現在の水準以上のものを求める。
  9. 目 標は最低170ノット、空中給油なしで半径474キロメートルの飛行を高度6,000フィートで実現し、貨物輸送ミッションで30分、攻撃・偵察ミッショ ンで120分を目的地で使える性能だ。仕様を研究してみたところ、まず機体の大型化が必要と判明したとスナイダーは語り、陸軍は有人・無人仕様の編成で予 算内で購入が容易になるよう期待しているとのこと。
  10. 陸 軍はすでに初期段階の検討を完了しており、第二段階の性能諸元の検討に移っている。Amrdecは2011年度はじめまでに業界向けに研究開発の公募を発 表する予定。ただし、チェイスによると他軍との共同開発の交渉のため、この予定は本来より遅れている。開発契約の交付は今のところ2011年中頃になると 見られる。
  11. 計 画では2011年から2013年にかけて機体構成を研究し、飛行実証実験がその後実施され、2020年をめどにJMR技術を応用した回転翼機の最初のモデ ルの開発を5カ年で実施する決定をする。機体の運用開始は2026年ごろになり、F-22やF-35の例に近い開発期間とし、V-22オスプレイは RAH-66コマンチよりは短くできるとしている。
  12. では現有ヘリのどの機種と最初に交代することになるのかは陸軍の決断でARH-70の開発中止で武装偵察任務の要求水準をどうするか次第だとスナイダーはいう。JMR技術が実用化するまではOH-58Dを改良するか、別の機種をつなぎで購入する選択肢もありうるという。
  13. 飛行実証実験は二段階となる。第一段階でJMRの中核となる性能を実証する。初飛行は2017年度中頃の予定。第二段階では機体に任務用装備を搭載し、各軍別に開発するエイビオニクスのアーキテクチャの有効性を実証する。
  14. エ イビオニクスはオープンアーキテクチャでプラグアンドプレイ方式のもので開発はすでに開始されており、コックピットの改善、生存用装備、有人・無人混合運 用を想定している。アーキテクチャ共用化でハードウェアも共用でき、機体の大きさに応じた調整も可能とし運用コスト低下を狙う。
  15. 一 方、垂直輸送コンソーシアム(VLC)のメンバー各社の上層部が先週会合を持ち、現在未定のJMR性能諸元研究への対応を検討したが、陸軍は同コンソーシ アムへの支援を打ち切る兆しをみせている。もともと同コンソーシアムは回転翼機の開発と配備をスピードアップし、既存主契約会社が新興かつ革新的な技術を 持つ部品メカーと共同作業を進めることを目的に結成されたのだが。
  16. フィ ル・ダンフォード(ボーイングの回転翼機部門の最高業務責任者)はJMR技術実証は米国の回転翼機メーカーにとって共同作業の機会と語る。「以前と同じ方 法で動けば、今までと同じ成果にしかなりません。各社が一緒になり、協力すべきところと競争すべきところを区別して第二段階を迎えるべきです」
  17. 一 方でスナイダーはJMRで技術事象から開発段階、生産段階へ移行する際の課題をこう表現している。「JMRを成功させるには投資効果を証明するのが一番の近道で す。現有機種をこれから30年間も延長して運用することは不可能だと示す必要があります。」このため陸軍は機種別に飛行時間あたりの費用を計算中。「その 結果をJMRに応用します」

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