Pelican Demonstrator Aimed At Airlift

. 飛行船の歴史に革命をもたらすかもしれない試作機が組み立て・儀装の最終段階に入りタスティン(カリフォーニア州)の第二次大戦時代の飛行船格納庫内で作業が進行中 だ。開発したのはエアロス・コーポレーションAeros Corp http://www.aeroscraft.com/と言う新規企業で国防総省が資金を出し、長距離空輸手段としての可能性が注目されている。
aviationweek.com October 15, 2012
. 飛行船の歴史に革命をもたらすかもしれない試作機が組み立て・儀装の最終段階に入りタスティン(カリフォーニア州)の第二次大戦時代の飛行船格納庫内で作業が進行中 だ。開発したのはエアロス・コーポレーションAeros Corp http://www.aeroscraft.com/と言う新規企業で国防総省が資金を出し、長距離空輸手段としての可能性が注目されている。
- この飛行船ペリカンは浮力と空力学上の揚力を組み合わせるが、これまでの
- 通常型飛行船やハイブリッド飛行船にはなかった方法を採用して、効率性を追求し、柔軟かつ平易に地上で取り扱いができる設計だ。開発設計ではC-17クラスの積載量と飛行距離を垂直離着陸(VTOL)性能もつけて実現する方向へ今後早い段階で進化することを目指している。
- . エアロスは当初は同機の概念設計を国防高等研究プロジェクト庁Defense Advanced Research Projects AgencyにウォーラスWalrus (ペイロード500トン)飛行船として提案していた。だがウォーラスに資金が集まらないことが明白になった2006年に同社は核となる重要技術の開発を継 続、再び提出した提案書がペンタゴンの迅速能力開発室Rapid Reaction Technology Officeに2010年に採択されたのだ。
- . エアロスではペリカン飛行船を「硬式エアロシェル浮力可変式」“rigid-aeroshell, variable-buoyancy” (RAVB) と呼称している。以下の二つの特徴がある。浮力制御にはヘリウムガスを船内の上昇用ガス室と加圧ファイバー複合材製セルの間をポンプで移動させて行う。も うひとつが機体構造が硬式になっていることで1930年代のツェッペリン飛行船以来の採用だ。これはガスを圧力セルにポンプで送ることから軟式船体では形 状を一定に保てなくなるためだ。
- .RAVB 技術ではこれまでの飛行船につき物だった問題に取り組もうとしている。空気より軽いガスを一定量で船体高度を制御することだ。これには飛行中に消費する燃 料分の補正があり、ペイロードの違い、貨物搭載・取り出し中の変化への対応を意味する。これまでの飛行船には水バラストの搭載があったが、大型機では何ト ンもの水が目的地で利用できるのを前提としてきた。これに対してハイブリッド飛行船のノースロップ・グラマンLEM-Vのような機体では空力特性および浮 力を利用した揚力を常時利用しているが、このため離着陸には地上走行が必要となる。
- RAVBでは巡航飛行中の浮力は中立で燃料消費量に左右されず、垂直に離着陸できる。地上でペイロードを降ろすと空気より重い状態となり、ロープや支柱は不要であり悪天候での船体破損を避けられる。
- ペ リカンの全長は230フィート(約70メートル)、船体の容積は600千立方フィート(約17千立方メートル)。船体の基本構造は三角形のカーボンファイ バー製トラスで自動車用ディーゼルエンジンで推進方向可変式プロペラを稼動させる。操縦蛇およびコックピットもトラスに接続する。カーブをつけた二次フ レームが外殻を支える。
- 浮 力制御システムおよび基本構造の地上テストが今月末に開始となり、来年早々に「簡単な飛行テスト」を実施するとエアロス創業者にしてCEOのイゴール・パ スターナックIgor Pasternakは言う。とりあえずの目標はこの機体が可変式浮力と揚力、推進方向可変式、操縦翼面を組み合わせる方式で飛行できるのを示すことだ。
- 次 の目標はペリカンの二倍の寸法で容積は8倍、搭載貨物66トンで3,000海里(約5,500キロメートル)を一回の給油で飛行できる機体をディーゼルエ ンジンとターボプロップで実現することだ。同時にヘリウムガスを加熱させて離陸し、離陸後はヘリウムを冷却し、空力特性と浮力による揚力を巡航飛行に使 う。速度は80から100ノット(180キロメートル時)、上限高度は10千フィート(3,000メートル)となる。エアロスはエンジン排気からの水回収 技術も実験しており、燃料消費分をこれで補う。「設計から製造までのサイクルタイムは28から30ヶ月」と本誌に語った。
- ペリカン実証機のコックピットは格納式で、VTOL時には全方位で状況を確認することが可能で、その後部分的に格納して巡航飛行に移り、着陸時には完全に船体内に入っていることだ。これにより地上では船体の底面は全部地面に接触し、強風でも安定して船体を保持できる。
- .この構造は貨物取り扱いの考慮のためである。設計の狙いは「機体を貨物から離すのであり、貨物を機体から放すのではない」のだという。つまり同飛行船が着陸すると貨物はコンテナーかパレットで機体から切り離されて、その後浮力が増えて機体は貨物から浮揚する。
- 将来には大型機の製作も可能だが、パスターナックは「まずテスト機でためしてから100トン、200トン規模の機体に進みたいと強く感じています。」というが、66トン機の予算はまだ確保されていないのも事実だ。■
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