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米空軍次期戦略爆撃機の開発構想の最新状況

USAF targets long-range strike bomber

Flightglobal 15 Oct 2012


米 空軍が開発中の新型ステルス爆撃機のねらいは増大するA2/AD アクセス否定接近拒絶の世界的な広がりに対抗することにある。ただし、同機開発計画には 国防予算の縮小という大きな難題が立ちふさがっている。長距離打撃爆撃機(LRS-B)はいわゆる「システムファミリー」のひとつとして地球上いか なる地点であれ、空中より攻撃にリスクの伴う場合でも制圧を可能とする米軍の構想。そのファミリーの中でも爆撃機型はペンタゴンの中で重要になってきた 「エア シーバトル」の構築に中心的な役割を果たす。
  1. 去 る2月17日にレオン・パネッタ国防長官はバークスデイル空軍基地(ルイジアナ州)で米空軍の爆撃機部隊の運用を続けることは「きわめて重要」であり、 「新型爆撃機へ予算を投入することもしかりであり、われわれはこの両方を実施したい」と発言している。「わが国は現有の爆撃機部隊を維持する。運用可能な 状態に保つ。前方展開に爆撃機部隊が必要だ。太平洋における前方展開に必要だ。中東でも必要だ」と続けている。
  2. LRS-B新型爆撃機開発は今後の米国の軍事戦略を太平洋西部、中東で実現するための重要な要素と見られ、ペンタゴン予算が今後10年で合計4,870億ドル削減するとはいえ、同開発計画は継続して進められている。
  3. 「こ れまでの戦略抑止力整備ではいずれの場合も財政状態を考慮しt投資決定をするべきだった」と国防副長官アシュトン・カーターが空軍協会の年次総会で9月に 発言している。「コストと効果を計りにかけるべきだった。現在の投資は将来の性能の実現のためだ。その例がステルス爆撃機だ」 しかしながら、ペンタゴン 上層部の強力な支援がありながら、LRS計画が「強制執行」による予算削減から無事生き残るかは不明で、この措置は1月2日に実施される公算が大だ。もし 議会、大統領双方で解決策を見出せないと、さらに5,000億ドルの削減が今後10年間の国防予算から実施となる。これが実施されると、「万事休す」だと マーク・ガンジンガーMark Gunzinger(戦略予算評価センターのアナリストでもとボーイングB-52パイロット)は言う。
  4. LRS には2012年度予算で197百万ドルが計上されている。2013年度予算ではこれが300百万ドルになっている。ペンタゴンの5ヵ年予算案(2017年 度まで)ではLRSに63億ドルを計上することになっている。ただし新型爆撃機の実戦配備にはこれだけでは不足で、とくに米空軍が定めた実戦配備目標が 2025年であることを念頭におく必要がある。
  5. 「5ヵ 年案は予算手当ての加速ではすばらしいが、2017年までの開発費用必要額の10%程度に過ぎません」(Tealグループのアナリスト、リチャード・アブ ラフィアRichard Aboulafia, an analyst at the Teal Group)「いいかたをかえれば、もしIOC初期作戦能力の実現を2025年とするのなら、2010年度後半は毎年50億60億ドルを計上する必要があ ります」
  6. ロッキード・マーティンのF-22ラプターおよびF-35共用打撃戦闘機の経験から、新型爆撃機の開発費用は600億ドル規模になる。「予算状況を見ると、大変難易度が高い金額です』とアブラフィアは認める。「一番可能性があるのは予算調達を薄く長く伸ばすことで、IOCは2030年ごろになるでしょう」
  7. 米空軍の主張はLRS-Bには「成熟済み技術」を使い、開発費用を圧縮するというもの。「新型爆撃機が採用するサブシステム(エンジン、レーダー、エイビオニクス等)の技術は実証済みのものばかりである」とペンタゴン作成の予算根拠文書は説明している。
  8. さ らに新型爆撃機には既存機種から再生部品を流用する。たとえばノースロップ・グラマンB-2から着陸装置他在庫部品を使うが、同じ手法はロッキードF- 117ナイトホークでも使われている。それ以外に米空軍は別の調達方法も使う。同機開発は空軍内部の迅速能力開発室Rapid Capabilities Officeが統括している。ガンジンガーの見方は国防総省による予算見積もり550百万ドルは控えめすぎるとするもの。購入可能な単価にするためには機 体の要求水準を厳しく制限することだという。「要求性能を初期の段階で決定すれば、産業界はその範囲で全力を尽くしますよ。それこそ性能要求水準を定義す る方法なのです」
  9. 注 意が必要な前例もある。もし米空軍が要求運性能を変更したりもっと高度な内容を付け加えると以前のB-2やもっと悲運の次世代爆撃機(NGB)のように LRS-Bも同じ運命をたどることになりかねない。NGBは2009年に計画中止になった。統制をしっかり取らないと空軍がコースを見失う危険があると ローレン・トンプソンLoren Thompson(れきしんとん研究所)は警告する。トンプソンによれば米空軍はLRS-Bをオプションで有人機にしようとしているという。「敵の領空内 に10億ドルの値札がついた機体をパイロットなしで本当に送り込みたいですか」
  10. 無 人機は平時でさえ有人機より事故率が高い。A2/AD環境では通信の確保はおおきな課題になろう。データリンクや衛星リンクが攻撃を受ければ事態は深刻 だ。さらに無人機では通信の遅れで反応時間がさらに犠牲になる。「人間の頭脳をシステムの運用場所から遠くに置けばおくほど、システムの脆弱性が増えま す」(デイビッド・デプチューラ空軍中将(退役)retired Lt Gen David Deptula、前情報本部長)
  11. 戦略爆撃機ほどの機体サイズでは最初から有人機にしても、オプションで有人機にしてもコストでは大差がない。ガンジンガーも大型戦闘用軍用機では大きな要素ではないという。
  12. . レベッカ・グラントRebecca Grant (IRIS Independent Researchのアナリスト)によれば主契約社になる可能性のあるボーイング、ロッキード、ノースロップの各社にはLRS-Bの基本要求性能の内容が伝 えられる可能性があるという。その中にはレーダー断面積ほか低視認性性能要求にくわえ、ペイロード、航続距離、上昇高度が含まれる。多くの数字は前身の NGBから流用とはいえ、詳細は極秘だ。ミッションの性格上でLRS-Bは全世界を活動範囲に収めるだろうとガンジンガーは予測する。そうなると機体は大 型のステルス機で大ペイロード搭載機になろう。
  13. 航続距離とペイロードではNGBが中型機体で戦闘飛行半径を2,000-2,500nm (3,700-4,620km)で想定していたものが4,000-5,000nmと二倍になるのは必至だろう。
  14. 超 音速ダッシュができれば生存性にはプラスだが費用と技術的複雑度が増して、ほかの性能を犠牲にすることになるとガンジンガーは見る。今年初めにノートン・ シュワーツ空軍参謀総長(当時)から超音速飛行性能は不要との発言があった。その真意は同機は「一連のシステム」により支援を期待でき、海軍のトマホーク 巡航ミサイル(レイセオン製)、ボーイングEA-18Gグラウラー、無人空母運用空中警戒・攻撃機、F-22およびF-35、超小型空中発射おとり装置、 各種衛星、サイバー戦装備の活用を想定している。
  15. た だしLRS-Bが単独で敵領空深くで作戦を展開する必要もあり、とくに敵側が通信妨害を展開する事態を想定するべきとガンジンガーは言う。そうなると機体 に目標の探知、捕捉、攻撃用センサー類を搭載して自機単独で行動する必要がある。LRS-Bには自機の攻撃効果の測定能力も必要だ。その結果、機 体は各種センサーを搭載することになり、デプチューラによればセンサー類の能力が強力であれば従来の情報収集・監視・偵察専用に運用している機体と同じ運 用ができるという。
  16. 新 型爆撃機には投下式からスタンドオフまで幅広い兵装を搭載できることになりそうだ。通常兵器に加え核兵器も運用できるだろうが、米空軍上層部はLRS-B が核ミッションに投入されるのは旧式爆撃機部隊が第一線を離れはじめて以降となると発言している。ただし、デプチューラは強力な防空網を完備した空域でス タンドオフ兵器のみを使用するのは高価かつ持続できない作戦だと論評している。
  17. .B- 52が50年以上運用されていることから新型爆撃機も技術の進化や脅威内容の変化に対応可能にすべきだとガンジンガーは言う。ただし、システムの中にもセ ンサーやステルス表面塗装膜のように急速に変化していくものもあれば、エンジンのように変わっては困るものもある。空軍は80機ないし100機のLRS- Bがほしいと言っているが、デプチューラは最低155機を調達すれば各12機編成で飛行隊計10個を編成できるという。グラントは200機でB-52、 B-2、B-1を全機更新する必要ありと見る。「中国が投入してくる機材を念頭に置けば、そう簡単に排除できない部隊がほしくなるはずです」
  18. 米 空軍には新型爆撃機調達しか方法が残されていない。B-52の老朽化が進むだけでなく、同機では敵の防空網を突破できない。B-1Bは高性能だが60機の 残存規模では厳重な防空体制に対抗できない。さらに同機は核運用が無能化されている。そうなると総数20機のB-2Aスピリットのみが敵防空体制内に投入 できる機材となるが、同機でさえ状況は厳しくなっている。
  19. シュ ワーツ参謀総長(当時)は2月28日に「現実はB-2も防衛体制が整っている環境では生存の可能性が減っていきます。探知されにくく設計されていますが、 その技術は80年代のものです。」 米空軍は2030年代までに爆撃機部隊の再編成を希望しているのだとアブラフィアは語る。「B-2だけが2040年代 まで残ります。予算の課題とは別にこれが現実です」
  20. 米空軍はLRS-Bについてコメントを拒否しており、同機の開発は極秘の「ブラックプログラム」扱いだ。また空軍は情報の保全に留意して、担当室がすでにできているのか、また同機開発が競作になるのかについても何ら言及していない。■


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