最後の発言が救いで経済振興ができれば過激主義に走る必要も減るのはだれでも理解できます。問題はどうやって世界全体が繁栄できるのかであり、暴力の連鎖を止めることなのですが、残念ながら暴力が最高の解決手段であることにかわりなく、対ISIS(今やアルカイダも的とみなし撲滅を誓っている)作戦は今後10年単位の期間がかかるだろうというのがブログ主の悲観的な見方です。
Panel: ISIS ‘Stronger, Tougher and Smarter’ Than Expected
By: John Grady
June 29, 2015 1:46 PM
イラク第二の都市モスルの陥落から一年たったが、イラク・シリアのイスラム国(ISISあるいはISIL)は「今までより強く、打たれ強く、賢い」敵となり、米国の予想を超え、中核構成員を失い死傷者を多数出しても迅速な回復力を示している。
- 会場の戦略国際研究所(CSIS)でワシントン・ポストのデイビッド・イグナティウスDavid Ignatius は「ISISの作戦展開の価値観は超高速、一方米国は超低速」と評した。
- CIA元副長官スティーブン・カップスStephen Kappasからはテロリスト対策で「9.11以後の教訓を忘れている」米国には驚きを隠せないと発言があった。また米国には「以前はうまくいったのに今度は失敗する事を作る」能力があると評している。またISISはイラク、シリア両国ならびに北アフリカで「真空地帯すべてを埋め尽くした」とも発言。
- 「ISIS戦闘分子は生き残る決意が固く、実際に生き残っている」とカップスは評し、日本兵が数週間に及ぶ空襲や砲弾の雨を生き残り、海兵隊相手に太平洋各地でしぶとく戦った第二次大戦の例をあげた。
- また質疑応答の部ではカップスはイラク国内のスンニ派と米国の同盟国・協力国は今回の戦闘が「厳しい局面になろうとも米国は見放さない」と理解すべきだと回答。
- イグナティウスからは米戦略でイラクのヌーン・アル=マリキに首相職を降ろさせ、国際有志連合でイスラム過激主義の敗退を目指し、治安部隊を動員し、スンニ派を巻き込んだのは基本的に正しい戦略だったとの発言があった。
- 「現在の問題は事実だがこの戦略を否定するものではない」とし、地域内連携やイラク国内部隊の動員が例だとする。
- イグナティウスはオバマ大統領には「作戦の責任を取る人物が必要だ。ジョン・アレン(退役海兵隊大将)はその責をとったが、ホワイトハウスでは誰も取っていない」と評した。実際には国務省にポストが生まれ、中央軍を相手にスンニ派過激主義者を撃退したのはどちらか言い争っているという。
- カップスは「各国駐在大使に信を置く」とし、ライアン・クロッカー Ryan Crocker 元大使とデイヴィッド・ペトレアス将軍Gen. David Petraeus がイラクでともに戦い、目標を達成していると指摘。
- スンニ派の「地方部族は一度足らずとも」米国を助けているとカップスは指摘。ISISとの戦いに再度勝つことは8年前「に増して困難な仕事」になったという。「不信感はいったん生まれると急速に拡大する」
- ふたりともイラクが単一国家として存続できるか疑問に感じており、スンニ派が政府を信用しない限り無理だという。
- 逆にふたりとも米国が今後数年間のうちに大規模地上部隊を派兵するとは見ていないが、前線航空統制官の派遣、物資提供の拡大、訓練教官の増強はありうるという。
- 「訓練や支援とは大変難しい業務だ」とカップスは言い「一緒にいなければならない仕事」で小銃の使い方を体得させたからといって帰国できないのだという。
- ただ米国の関与が拡大していない理由についてイグナティウスは「イラクと聞くだけでアレルギー反応を示す国がひとつある。アメリカ国民よりも大統領のほうが拒絶反応を示している」
- 米国には現在もイラク国内に情報源があるが、シリアには少ない。事実は「敵のことが十分わかっていない」のだとイグナティウスは言う。
- カップスはイランまで含み多くのレベルで「交戦を確信しているCIA情報官は多い」という。ここにシリアも含み、バシャ・アル=アサドに権力の座を降りるか、カダフィのリビアのように野垂れ死にするかの選択しかないと説得できるシリア人がいるという。
- イグナティウスはイランQuds部隊がISISの攻撃下にあったイルビルに最初に到着していると指摘。イルビルはイランの代理をつとめるシーア派戦闘分子を抱えるイラクの都市だ。イランは現地にかけつけて「戦闘開始の能力』があることを見せつけ、チクリットやアンバール県でも同様だったが、それぞれスンニ派が優勢な地方で「完勝をおさめていない」と指摘している。
- カップスは「外国人戦闘員の数が2万人と言われるが、にわかに信じがたい」と発言。イラク戦争時にはアルカイダ系外国人戦闘員の推定数はISISの十分の一だったとする。
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- 今の懸念は外国人戦闘員がそれぞれ帰国したらどうなるかという点だ。「みつけだすことができるだろうか」との疑問があり、安全保障と法執行の中間で迅速さが重要だという。
- 「対テロ作戦の有効な方法は『雇用創出』だ。国内、国外問わず」とカップスは言う。働き口があれば若者をつなぎとめISISのような過激集団に加わらないようになるというのだ。■
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