スキップしてメイン コンテンツに移動

★F-35模擬空中戦報道>関連背景事情を理解しましょう



F-16との模擬空中戦で精細を欠いたF-35Aのニュースが当ブログでも話題になりましたが、根はもっと深いのです。ただし、とりあえず今回の記事でこの話題は一旦終了とさせてください。F-35が決して万能の機体ではないこと、F-35だけに依存することで防衛予算が消費されることがどれだけ危険かをご理解いただければ幸いです。

Behind That F-35 Air Combat Report

Jul 6, 2015 by Bill Sweetman in Ares

ロッキード・マーティンF-35共用打撃戦闘機(JSF)のテストパイロットによる報告書がリークされたが、以前にも同様事例があった。2008年の事例ではRAND研究所がF-35をスホイSu-35その他機体と比較した資料がリークされていた。
「米空軍による解析を引用しつつ、チャールス・デイビス中将’ Maj. Gen. Charles Davis 当時JSF推進責任者)はF-35は少なくとも空対空戦でスホイ含む各国の最新鋭戦闘機よりも少なくとも400%優秀だ。
「ロッキード・マーティンによればF-35の3型式でそれぞれ動力性能はいかなる第四世代戦闘機を凌駕しているという。比較の対象は遷音速加速性能で空対空装備のユーロファイター・タイフーンに対し、また高迎え角での戦闘能力でボーイングのスーパーホーネットにそれぞれ優越しているというもの。「F-35は空対空戦の各性能ですべて既存機を上回ている』とロッキード・マーティン社テストパイロット、ビル・フリンが語っている」
以上もあり今回はF-35がエネルギー機動性でブロック40のF-16に劣るとの報道が話題になったのだろう。F-16がタイフーンと飛行速度で同等だと思う人はいないはずだし、スーパーホーネットの高迎え角性能でも同等だとは思わない。あるいはSu-35がこの両者を実現していることも承知のはずだ。F-35推進派の反応も注視に値する。
まず出てきたのはロッキード・マーティンが資金を援助するレキシントン研究所のダン・グア Dan Goure による「F-35がドッグファイトをこなせないって? いいではないか」との記事だ。グアは航空戦闘の機体制御をすべてドッグファイトと関連付けているが、搭載銃による撃墜事例全数を調べた戦略予算評価センターのジョン・ステリィオン John Stillion による報告書を引用してセンサー、ネットワーク、武装の組み合わせが空中機動性を無意味にしたと断言している。「結論としてF-35はそんなに悪い機体ではない」とグアはまとめ、「一方で既存第四世代機はどんどん陳腐化している」とした。
英空軍の要求水準ではF-35Bに航空戦ミッションすべてを行わせ空母航空隊に編入する。F-35Bの空虚重量はF-35Aより3,200ポンドも重いので機動性で不利だ。ロッキード・マーティン重役で RAFでトーネードを操縦していたアンドリュー・リンステッドAndrew Linstead がデイリー・テレグラフ紙にF-35の状況認識能力を評価し、空中戦も変化していると語っている。「慣れ親しんだ方法論にしがみつく人は感情的なつながりさえ覚えるものだが、違う角度から考える必要がある。戦場の状況は二者択一の選択を求めてくる。敵を避けるか、必ず勝てる状況で対決するかだ」
グア、リンステッド、フリンの三人は論争の反対側にいるように写る。30年ほど前に戦闘機主流派がステルス至上主義者と論争したのは高性能戦術戦闘機(ATF)構想の要求性能が対象だった。当時、ステルスは潜水艦戦と同じだと主張する向きがあった。「最後に浮上して甲板の銃で戦う」のと同じだというのだ。AMRAAMミサイルが当時開発中であり、戦場ではたえず初回の 有視界外 beyond-visual-range (BVR) のミサイル交戦を生き残る機体が必ずあり、近接有視界射程within visual range (WVR)に入れば、ステルスに意味はないと主張した。
従来の主流派が勝利した。F-22ラプターは高度の機動性を備えた大型で多様な戦闘性能を実現すべく巨大な尾翼を備え、AIM-9ミサイルを機体前方ならどの方向にも発射できる機能を実現したが、代償に機内スペースを相当割いている。
これに対しJSF推進派は機動性を重視しないが立案者はBVRで勝利をおさめることは可能と主張した。それはステル性と状況認識能力によるものであり、WVRでは360度標的捕捉能力と分散型開口システムDistributed Aperture System (DAS) で対空ミサイルを発射できると見ていた。
ここで語られていないのは実は同機は両方とも実施できないことだ。F-22や成都J-20やスホイT-50のような機体側部兵装庫がなく、AAMをレイルから発射できない。F-35 ではAIM-9 を外部搭載するとステルス性はなくなるとロッキード・マーティンは認めている。
これは偶然ではなく、事業の実施で実現したことでもない。F-35は「空対地攻撃に7割、空対空戦に3割」という構想で始まった機体だ。これは共用高性能攻撃機技術 Joint Advanced Strike Technology (JAST)と呼ばれていた1995年時点に責任者ジョージ・ミューリナー George Muellner,が使っていたことばだ。F-117ナイトホークは第一次湾岸戦争のヒーローになったが、3つの制約があった。自機で目標を補足できず、移動目標は攻撃できず、状況認識能力も昼間の生存に必要な装甲もなかった。そこでJASTはすべての任務をこなした上で外部兵装搭載ポイントもつけ、防衛網を破壊したあとの第二陣攻撃に投入されるF-16の役割も果たそうとしたのだった。
1995年当時の空軍は F-22を442機調達しいかなる敵戦闘機にも対応させる構想で、短距離離陸垂直着陸機にはAAM搭載用の機体側部装備は大きさと重量の問題からそぐわないと判断された。Stovlには機体重量と主翼の大きさ、さらに機体全長で制約があった。
ATF正統派がまちがっていたらどうなるか。グアとリンステッドがこの点を指摘しているようだ。またWVR戦闘を避けることができるか。グアがスティリオン報告書を引用したことに2つの皮肉な効果がある。まず、スティリオンは前出のRAND報告の共同執筆者であり、二番目にスティリオンによるCSBA研究成果によれば将来の空中戦に勝ち残るためにはF-35もF-22も不要であり、高度ステルス無人航空機からAAMを発射すべきだという。無人機の制御は長距離打撃爆撃機のような機体から行えば良いとする。高性能な戦闘機はどうしても短距離しか飛行できず、それ自体は強力としても給油機は脆弱なままだ。(中国のJ-20が給油機等支援機材を直接狙う機体と考えるのは筆者だけではない)
この航空戦の捉え方の裏付けに航空戦の実績を広く研究したスティルトンの成果がある。機銃から短距離AAR、さらにBVR用AAMへの変遷がある。しかし、ここでちょっと待てとの疑義が出し、。これとは違う流れを見る向きもあろう。MBDAメテオ事業の関係者はBVR戦闘には今以上の機体操縦を高速度で行う必要があると見ている。歴史は確かに何かを教えてくれるが、それで全てが決まるわけではない。
注目すべきは空対空戦ではこの30年間でバランスが欠けていることだ。 米国および同盟国側が装備面で大きく有利な形で交戦してきた。西側にはスホイ高性能戦闘機との交戦経験はないし、ロシア製新型戦闘機と対戦しているが、ほとんどが初期型のMiG-29で、短距離しか飛べず、ソ連時代の地上管制による指示を受けて飛行していた。訓練と経験では西側が大きく有利だった。また空中早期警戒機の支援も西側にあり、その他情報収集機や電子妨害機の支援もあった。
交戦事例からBVRが生まれたのは驚くに値しないが、WVR交戦に持ち込むのは危険だとの認識が敵側にも生まれている。だが、このような均衡を欠いた状態がいつまでも続くはずがない。ダン・グアはF-35の機動性欠如を問題視していないようだが、本人は戦闘に参加しないのだ。■


コメント

  1. うーん、よんでもF-35の致命的欠点とか、根深い問題とか読み取れないんだけど。

    調達もさっそく量産効果出てきてるし、少なくとも陸自のアパッチよりははるかにお買い得な機体になったと思う。

    根深い問題って何?

    返信削除
  2.  たとえば,米陸軍が歩兵部隊の5.56mmの自動小銃を全廃して,代わりに歩兵全員に高性能センサーと12.7mm対物ライフルを装備させれば最強の歩兵部隊になると主張したらどうなるでしょう? 市街戦においてもセンサーが壁越しに敵兵の姿を探知できるので壁を貫通して部屋の中の敵兵を殺す事ができるから,敵と直接接触せずに安全な距離を保ち続けることができる。だから問題ないと主張したらどうでしょうか。確かにそういう一面もありますが,それだけで全てと考えて良いのでしょうか? これと似たようなものがあるように思えます。
     とはいえ,F35に何もかもを求めるのは無理というものです。ブログ主さんの言わんとすることも全体の戦力構成やバランスの観点から何らかの戦術的冗長性の担保もまた必要ではないか?という問いかけではないかと私は理解しました。
     F-22もF-35も従来の戦闘機とは異なる次元のカテゴリーに属する戦闘用航空機であり,既存の戦闘機や攻撃機の上にアドオンとして使えば絶大な総合力と統合力をもたらすが,既存機すべてを置き換えて更新するところまでいくと戦力構成に隙ができる。そして,敵は多くの場合,その隙を狙って想定外の攻撃をかけてくる。それが戦争というものです。
     貴ブログ15日の記事「★米新軍事戦略が想定する考えたくない危険な可能性」も踏まえて読むと米軍当事者たちの危機感は一般の私たちよりも深刻なような気がします。
     持ち株会社を作って統合するのは良いが,じゃあ持ち株会社だけで全ての業務ができるのか?といえば無理。だから,できない部分は子会社化・外注・委託・下請けに任せるから問題なしという流れになっていくのと若干似ているような。
     自分がアメリカだったら現有の第四世代機の生産ラインを維持しリーズナブルな価格と性能で現地の同盟国に提供していくでしょうし,自軍内においても,予算との兼ね合いからF-35の調達数をある程度減らしても州軍保有も含めてF-15とF-16の戦力をなんらかの規模で,かなり長期にわたって高いレベルで維持し続けようとするでしょう。

    返信削除
  3. BVRしか起こらないならF-35に空中戦をさせる意味がなくなる
    それでもF-35を戦闘機として買うのか
    WVRが起こるならF-35はシステムにも戦術開発にもまだまだ金と時間がかかる
    それまで各国の既存機材と財政は持つのか

    と読めたが

    返信削除
  4. > BVRしか起こらないならF-35に空中戦をさせる意味がなくなる
    > それでもF-35を戦闘機として買うのか

     ご指摘の通り,F35は戦闘機ではなく,対地攻撃が主任務の多機能な「対空攻撃機」でしかないのだと思います。

     対地攻撃が主任務だからこそ,対地攻撃時における主たるエアカバーは空対空も含めて特化した制空戦闘機に任せ,空対空戦闘脅威下にある空域では表には出てこずに,空対空戦闘に特化した制空戦闘機の陰に隠れて,陰に隠れながらも効果的な空対空戦闘の支援攻撃をしつつ,速やかに当該空域からは離脱して安全な空域に占位し,その状態で空対空戦闘が行われている空域の友軍機に対して,さらなる情報ネットワーク支援のためのノードに徹するのだと。これならば相手がステルスっぽい敵機であっても,第四世代の制空戦闘機が情報ネットワークの支援で十分な能力を発揮できると。

     エアカバーを担当する空対空戦闘にも特化した制空戦闘機と,そうではないF35。制空戦闘機がステルスであれば,なお好都合であり,米空軍であればF-22がその役割を果たすのでしょう。同時に将来戦においてはF35を導入した国は米空軍のF-22のエアカバー無しには戦うことのできない局面も想定されると。しかし,そのような局面は当面の間はロシアや未来の中国との戦争状態ぐらいだろうと。

     そういう意味では,既存の第四世代機とF35の組み合わせで,かなりの高レベルの局面を含めて,ほとんどの局面については対処できるだろうと。もちろんF35を導入している同盟国に対しては,アメリカも必要に応じて情報・ネットワーク・指揮統制システムなどでバックアップ・支援ができるから,導入したF35だけで戦うということはないし,それ以上の局面とは世界規模の大規模な戦争ぐらいであろうと。

     こういう風に有機的にジョイント(統合)されているのかな?と。

    返信削除

コメントを投稿

コメントをどうぞ。

このブログの人気の投稿

漁船で大挙押し寄せる中国海上民兵は第三の海上武力組織で要注意

目的のため手段を択ばない中国の思考がここにもあらわれていますが、非常に厄介な存在になります。下手に武力行使をすれば民間人への攻撃と騒ぐでしょう。放置すれば乱暴狼藉の限りを尽くすので、手に負えません。国際法の遵守と程遠い中国の姿勢がよく表れています。尖閣諸島への上陸など不測の事態に海上保安庁も準備は万端であるとよいですね。 Pentagon reveals covert Chinese fleet disguised as fishing boats  漁船に偽装する中国軍事組織の存在をペンタゴンが暴露   By Ryan Pickrell Daily Caller News Foundation Jun. 7, 3:30 PM http://www.wearethemighty.com/articles/pentagon-reveals-covert-chinese-fleet-disguised-as-fishing-boats ペンタゴンはこのたび発表した報告書で中国が海洋支配を目指し戦力を増強中であることに警鐘を鳴らしている。 中国海上民兵(CMM)は準軍事組織だが漁民に偽装して侵攻を行う組織として長年にわたり活動中だ。人民解放軍海軍が「灰色」、中国海警が「白」の船体で知られるがCMMは「青」船体として中国の三番目の海上兵力の位置づけだ。 CMMが「低密度海上紛争での実力行使」に関与していると国防総省報告書は指摘する。 ペンタゴン報告書では中国が漁船に偽装した部隊で南シナ海の「灰色領域」で騒乱を起こすと指摘。(US Navy photo) 「中国は法執行機関艦船や海上民兵を使った高圧的な戦術をたびたび行使しており、自国の権益のため武力衝突に発展する前にとどめるという計算づくの方法を海上展開している」と同報告書は説明。例としてヘイグの国際仲裁法廷が中国の南シナ海領有主張を昨年7月に退けたが、北京はCMMを中国が支配を望む地帯に派遣している。 「中国は国家管理で漁船団を整備し海上民兵に南シナ海で使わせるつもりだ」(報告書) 中国はCMMはあくまでも民間漁船団と主張する。「誤解のないように、国家により組織し、整備し、管理する部隊であり軍事指揮命令系統の下で活動している」とアンドリュー・エリク...

海自の次期イージス艦ASEVはここがちがう。中国の055型大型駆逐艦とともに巡洋艦の域に近づく。イージス・アショア導入を阻止した住民の意思がこの新型艦になった。

  Japanese Ministry of Defense 日本が巡洋艦に近いミサイル防衛任務に特化したマルチロール艦を建造する  弾 道ミサイル防衛(BMD)艦2隻を新たに建造する日本の防衛装備整備計画が新たな展開を見せ、関係者はマルチロール指向の巡洋艦に近い設計に焦点を当てている。実現すれば、は第二次世界大戦後で最大の日本の水上戦闘艦となる。 この種の艦船が大型になる傾向は分かっていたが、日本は柔軟性のない、専用BMD艦をこれまで建造しており、今回は船体形状から、揚陸強襲艦とも共通点が多いように見える。 この開示は、本日発表された2024年度最新防衛予算概算要求に含まれている。これはまた、日本の過去最大の529億ドルであり、ライバル、特に中国と歩調を合わせる緊急性を反映している。 防衛予算要求で優先される支出は、イージスシステム搭載艦 ( Aegis system equipped vessel, ASEV) 2隻で、それぞれ26億ドルかかると予想されている。 コンピューター画像では、「まや」級(日本の最新型イージス護衛艦)と全体構成が似ているものの、新型艦はかなり大きくなる。また、レーダーは艦橋上部に格納され、喫水線よりはるか上空に設置されるため、水平線を長く見渡せるようになる。日本は、「まや」、「あたご」、「こんごう」各級のレーダーアレイをできるだけ高い位置に取り付けることを優先してきた。しかし、今回はさらに前進させる大きな特徴となる。 防衛省によると、新型ASEVは全長約620フィート、ビーム82フィート、標準排水量12,000トンになる。これに対し、「まや」クラスの設計は、全長557フィート強、ビーム約73フィート、標準排水量約8,200トンだ。一方、米海軍のタイコンデロガ級巡洋艦は、全長567フィート、ビーム55フィート、標準排水量約9,600トン。 サイズは、タイコンデロガ級が新しいASEV設計に近いが、それでもかなり小さい。Naval News報道によると、新型艦は米海軍アーレイ・バーク級フライトIII駆逐艦の1.7倍の大きさになると指摘している。 武装に関して言えば、新型ASEVは以前の検討よりはるかに幅広い能力を持つように計画されている。 同艦の兵器システムの中心は、さまざまな脅威に対する防空・弾道ミサイル防衛用のSM-3ブロックII...

次期高性能駆逐艦13DDXの概要が明らかになった 今年度に設計開始し、2030年代初頭の就役をめざす

最新の海上安全保障情報が海外メディアを通じて日本国内に入ってくることにイライラしています。今回は新型艦13DDXについての海外会議でのプレゼン内容をNaval Newsが伝えてくれましたが、防衛省防衛装備庁は定期的にブリーフィングを報道機関に開催すべきではないでしょうか。もっとも記事となるかは各社の判断なのですが、普段から防衛問題へのインテリジェンスを上げていく行為が必要でしょう。あわせてこれまでの習慣を捨てて、Destroyerは駆逐艦と呼ぶようにしていったらどうでしょうか。(本ブログでは護衛艦などという間際らしい用語は使っていません) Early rendering of the 13DDX destroyer for the JMSDF. ATLA image. 新型防空駆逐艦13DDXの構想 日本は、2024年度に新型のハイエンド防空駆逐艦13DDXの設計作業を開始する 日 本の防衛省(MoD)高官が最近の会議で語った内容によれば、2030年代初頭に就役開始予定のこの新型艦は、就役中の駆逐艦やフリゲート艦の設計を活用し、変化する脅威に対し重層的な防空を提供するため、異なるコンセプトと能力を統合する予定である。  防衛装備庁(ATLA)の今吉真一海将(海軍システム部長)は、13DDX先進駆逐艦のコンセプトは、「あさひ」/25DD級駆逐艦と「もがみ」/30FFM級フリゲート艦の設計を参考にすると、5月下旬に英国で開催された海軍指導者会議(CNE24)で語った。  この2つの艦級は、それぞれ2018年と2022年に就役を始めている。  13DDX型は、海上自衛隊(JMSDF)が、今吉の言う「新しい戦争方法」を含む、戦略的環境の重大かつ地球規模の変化に対抗できるようにするために必要とされる。防衛省と海上自衛隊は、この戦略的環境を2つの作戦文脈で捉えている。  第一に、中国、北朝鮮、ロシアが、極超音速システムを含むミサイル技術、電子戦(EW)を含むA2/AD能力の強化など、広範な軍事能力を急速に開発している。第二に、ウクライナにおけるロシアの戦争は、弾道ミサイルや巡航ミサイルの大規模な使用、EWやサイバー戦に基づく非対称攻撃、情報空間を含むハイブリッド戦争作戦、無人システムの使用など、新たな作戦実態を露呈したと説明した。  新型駆逐艦は、敵の対接近・領域拒否(A2/A...