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★★F-35>ドッグファイト結果からパイロットの役割を考えよう



さすがに元空軍士官だけに問題の本質をパイロットの観点から整理しなおしています。このままではF-35が空軍の成り立ちを根本から変えるのは必至ですね 結局はパイロットの腕にかかってくるのですね。当面今回のドッグファイト試験の余波はつづきそうですね

What the F-35 vs F-16 Dogfight Really Means: Think Pilots

By DAN WARD on July 08, 2015 at 4:01 AM
  1. 共用打撃戦闘機にドッグファイターとして欠陥ありとの報道が出るや、JSF推進派の反応は迅速かつ予想通りだった。多くがF-35はそのまま容認できるとし、中にはもともと空対空戦の想定はないのだから問題無いと言う向きまであらわれた。ただこの見解は長くは持ちそうもない。そもそもなぜ米空軍がこの段階になってF-16との模擬空中戦を実施したのか。おそらく空軍参謀総長マーク・ウェルシュ大将が2013年12月に説明しているように、「F-35はF-22を補完して空中優越性の確立のため実戦投入する」からだろう。言い換えれば米空軍にはF-35がドッグファイターとして必要なのだ。
  2. この他にも擁護派の説明では今回の想定は単なるテストで、リークされた報告書は実態をよく理解していない者が抜粋したものだとする。だから機体の価値を本件だけで判断すべきでないという。JSFの開発契約が1996年に成立してからはじめて今回基本戦闘機操縦テストに投入されたわけだが、(量産型機は2020年までこのテストに使われない)、だれも急いで結論を出そうとしていない。ただ軍用機のテストでそれなりの経験と一家言を持つ筆者として、一回のテストでも十分に意味のある性能データを得ることが可能だと断言できる。F-35支持派も逆にドッグファイトに勝利していたら同じ事を言っていただろう。
  3. ただ筆者はこれとは違う擁護派の発言に注目している。FighterSweep http://fightersweep.com/2548/f-35-v-f-16-article-garbage/ で発表された記事では今回の報道を「ゴミ」だと一蹴している。C.W.レモイン C. W. Lemoine が指摘するのはF-35がドッグファイトに負けた真の理由は技術的な欠陥などではなく、パイロットの技量不足だというのだ。レモイン自身はF-16とF/A-18の操縦経験があり、こう言っている。
  4. 「100時間ほどのF-35操縦経験しかないパイロットが1,500時間超のヴァイパーパイロットに対決したのだ。千時間超のF-16パイロットが複座D型で完成したばかりの単座ジェットに勝った例を見ている。コックピットでは経験の長さがものをいうのだ
  5. 「完成された戦術に長けたパイロットの手でF-35が同等の経験を有する対抗側にウェポンズスクールの模擬演習に臨んだらどうなるだろうか」
  6. 挑発的な言葉遣いと飛行時間の件はおいても、このレモインは重要な点を提示している。戦闘結果で決定的なのは「コックピットの中で何時間すごしたのか」だ。レモインの主張はF-35パイロットが経験を積むまで結論を保留すべきだとするが、技能不足そのものは重要なデータポイントだと思う。この点こそF-35が決定的に弱い点であり、今後相当長くそのままであろう。
  7. 効果的な戦術を開発し、うまく活用できるパイロットの養成には相当の飛行時間の蓄積が必要だ。しかし、F-35のパイロット陣には大きな障壁がある。パイロットは必要な経験が積めず、効果的な戦術の実証、開発もできないままである。想定される戦闘ミッション全般でも同様で、ドッグファイトも例外ではない。
  8. 機体価格が上昇の一途で、開発が恒常的に遅れいている実態からペンタゴンの調達機数が削減されるのは必至で受領も予定より遅れる。十分な数の機体がそろわなければパイロット養成もままならない。とくにF-35では飛行時間あたり費用が高いことが一番の問題だ。このため操縦時間が制約を受け、訓練時間が増やせない。更に予算環境が厳しいのが昨今だ。これらをあわせると実機の操縦体験を多く確保することは困難となり、レモインがいみじくも言うように飛行時間が短いパイロットが長く飛んでいる敵に勝てるはずがないのだ。
  9. ここに機体の複雑さが加わる。これは筆者の専門分野だが、複雑な機体はそれだけ学ぶのが難しくなり、テストも難しく、点検保守も難しくなる。F-35は疑いもなく史上最高に複雑な機体だ。たとえば、コンピュータコードは830万行あり、F-22の4倍以上だ。複雑性をすべて制御管理するため費用は高くなり、開発が遅くなり、テストでは飛行時間を確保できない
  10. 純粋に技術的な観点からは複雑性は信頼性を犠牲にすることになる。たとえば故障現象の種類が増えるとともに、故障箇所も増える。このためあちこちが不良を引き起こし、問題をひとつひとつ解明し対策を講ずるのに長時間が必要だ。保守点検が遅れれば機体がその間利用できなくなる。結論として複雑になる分だけ操縦時間が確保できなくなる。
  11. 故ジョン・ボイド大佐の不朽の発言にあるように、機械は戦闘を行わない。操縦者が行うのだ。ここに今回の事例の本質がある。F-16はドッグファイトでF-35に買ったわけではない。F-16を操縦した経験豊かなパイロットがF-35に乗る経験の浅いパイロットを負かしたのだ。この結果が将来に再発しないようにする唯一の方法は経験を積んだF-35パイロットを多数養成し、新戦術をマスターすることだが、現在のままではこれはとても困難だ。
  12. ということでF-35に近接空中戦の実施を期待できるのかという問題は忘れよう。また今回のテスト報告書が重要な意味を含んでいるのかという問題でも同様だ。JSFが優秀な機体になるとしたら、ドッグファイト他で真のプロフェッショナルな人材が必要なのだ。つまり「戦術開発に長けた」人材だ。つまりパイロットはコックピットで経験を重ねるべきであり、巨額の経費を考えると、遅延が重なっていることもあり、機体のとんでもない複雑さも考慮すると、F-35に経験豊かなパイロットを確保することは当面期待できない。■


コメント

匿名 さんのコメント…
この記事は見ようによってはF-35の用語にも使える論法だよね。

開発が遅れているからパイロットの技術が向上しない、というのは、開発が進めばパイロットの技術を向上しうる、ということにほかならない訳だから。あくまで、しうる、だけどね。

少なくともA型の量産は進んでいるわけだし、各国に引き渡されれば各国の運用思想のもとで空戦技術・戦術を磨くことになる。

F-35が欠陥かどうかはその国の運用思想とマッチするかどうかだから、格闘戦だけみてどうこう言うのはポイントずれてるんじゃないかなぁ。

個人的には、ステルス性を持って敵陣深く切り込んで威力偵察、電子戦、ネットワーク中継できる航空機が100億なら安いと思うけどな。

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