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中国二番目のステルス機J-31の素性を考える

China Unveils Second Stealth Fighter

By Bill Sweetman, Richard Fisher, Bradley Perrett
 
Source: Aviation Week & Space Technology
aviationweek.com September 24, 2012

中国が低視認性(LO)あるいはステルス性戦闘機の第二番目の機種の存在を明らかにした。瀋陽航空機工業で生産された同機はおそらくJ-31の呼称がつき、成都航空機製 J-20が2010年末に知られるようになったのとおなじ形だ。インターネット経由で同機の写真は米国防長官の北京公式訪問前日にリークしている。その メッセージはあけすけで、米国が太平洋に海空戦力を増強する政策を実行に移す中、中国は軍装備の近代化を着々と進めていることを示している。

  1. 写 真ではJ-31が先に出たJ-20とは大幅に違うことが明らかだ。J-31は小型で、J-20の三分の二程度だ。機体にはF-22との類似性も見られる が、機体寸法上はむしろF-35に近い。機体下部空気取り入れ口から後方エンジン手前は兵装格納庫になっている。J-20のような機体側面の格納庫はつい ていない。飛行制御は通常型を採用しており、方向舵と一枚構成のフラッペロンは統合されていない。
  2. J-20と同様にステルス形状の技術面ではロッキード・マーティン製 戦闘機と非常に似通っているのがわかるが、エンジンノズルは通常型だ。ノズル形状は成都JF-17戦闘機搭載のクリモフRD-93エンジンのノズルから胴 体にあわせるためについていた「首輪」をとっただけだ。推力方向制御は中国でも研究されているものの実際の飛行展示事例はない。
  3. で はJ-20とJ-31で共通するのは実験機の段階を終了しているように見える点だ。両機ともに実寸大の実証機でありながら兵装格納庫があり、両機とも既存 機種の部品を流用していない。ただし、両機とも実戦型の開発および本格生産の開始がどうなるかは不明だ。中国は非ステルス戦闘機の生産を継続しており、一 方でいつになったら発動機のロシア依存を不要にする実用的な国産エンジンの生産が始まるのかは不明だ。(JF-17全機がRD-93を搭載しており、国産 の杭州WS-13エンジンは開発が完了していない。)
  4. ステルス戦闘機二機種について中国政府からの公式情報開示はないものの、「非公式」情報がインターネット上で政府によりとびかっており、瀋陽製戦闘機についてさまざまな情報が見られる。
  5. 2011年9月、中国の航空工業集団Aviation Industries Corp. (Avic) が無人機(UAV)のモデル機コンテストにスポンサーとなったが、瀋陽航空宇宙工科大学からステルス機に見えるモデルがエントリーに参加していた。
  6. 今 年6月には実寸大の戦闘機機体が垂直尾翼を外したまま瀋陽から閻良空軍基地Yanliang Air Baseまで公道を堂堂と搬送されるのが目撃されている。同基地は中国軍のフライトテスト拠点である西安地区の航空宇宙都市近郊にある。その時点でこの機 体は同基地内で静応力試験に使うのではとの観測があった。この機体の形状はだいたい瀋陽航空宇宙工科大のモデルと類似している。
  7. 中 国国内筋の情報を総合すると瀋陽製の戦闘機には空軍が資金を全面提供していない可能性があるが、成都J-20との競作に敗れた機体を発展させたのではない かという。Avic傘下企業のひとつが成都航空機であり、瀋陽航空機も同じだ。両企業はライバル関係にあることが伝統になっている。この克服策として 同企業集団は両企業を結束させたのが2008年であるが、中国国防省が企業集約にに難色を示し、むしろ各企業への指導力を温存しつつ競争効果をあげたいと 考えている。
  8. た だし瀋陽に政府の公式なスポンサーがある可能性がある。中国海軍だ。瀋陽は海軍向け初の艦載戦闘機スホイSu-33を原型としたJ-15のメーカーでもあ る。今回のJ-31は小型でありJ-20より空母運用に適しているかもしれない。ただし、空母運用であれば主翼面積の拡大や揚力制御、推力制御などの改修 が必要であるが。それが実現すれば、J-31はJ-20より小型、安価な選択肢になりうる。■


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