Textron Unveils Scorpion Light Attack, Recce Jet
By Amy Butler
Source: Aviation Week & Space Technology
aviationweek.com September 16, 2013
Credit: Textron
ペンタゴンに対して民間会社から国防総省が要求していない性能をまったくの新規機体として提案するのは相当の勇気が必要だろう。ましてや国防予算そのものが大幅な削減を受けつつある中では。
- だがこれこそ新しく生まれた共同事業体としてテキストロンと新興企業エアランドエンタープライジスAirLand Enterprisesが行おうとしていることなのだ。テキストロンはセスナビジネス機で知られる企業であり、ベルヘリコプター事業も長年にわたる回転翼機の経験がある。そして提携先エアランドは投資家数名によりできた企業で退役国防関係者も巻き込み軽量攻撃機の新しいコンセプトを実現するべく発足した。
- 予算状況が厳しい中で同事業体は新しい機材、複座双発のスコーピオン構想の有効性を示す必要がある。自己資金による同機は9月16日の空軍協会年次総会で発表され、このたびAviation Weekは関係者から詳しい内容を独自に知らされた。
- スコーピオン実証機は米空軍が求める低価格低運行コスト機材の要望に応えるもので5時間にわたり情報収集監視偵察(ISR)任務や兵装を搭載しつつ飛行して、空軍が想定するローエンド任務(米国からの阻止行動、自然災害への緊急対応、領空パトロール)に対応する。目標は飛行時間あたり運航コストを3,000ドル以下に抑えることだ。ただし同社は機体価格の目標水準は明らかにしていない。ペンタゴンからは類似ミッションの多くをこなすF-16の時間当たり運用コストは24,899ドルと公表している。
- アフガニスタンとイラクではF-15、F-16、A-10]が引き続き近接航空支援に投入されており、まったく制空権で心配のない環境で作戦が実施中だ。これでは過剰投入との声が出ている。また各機の高速度飛行性能、高G機動操縦性もこれらの戦場では使い道がなく、単に爆弾を投下するか地上部隊に上空監視を提供するだけだ。
- 「軍はハイエンドに関心を集中させています」とF-35調達で既存機種の多くを代替させようとする米空軍の動向を表現するのがテキストロンCEOスコット・ドネリー Scott Donnelly は語り、「だから需要があるのであり、国防総省の予算がこれから削減されることがわかっており、だからこそ今がチャンスなのです」
- スコーピオンの運用コストがそのとおりとするとペンタゴンは一年で燃料費だけで10億ドルの節約になる、と元空軍長官のF・ホイッテン・ピータースF. Whitten Petersはじめとする退役軍関係者は試算しており、彼らがエアランドを創設し、スコーピオン構想を数年前に提唱したのだ。テキストロンと提携を2012年に結んで勢いが増してきた。
- テキストロンにとって今回の提携は想定外の案件であった。同社は戦闘用の固定翼機を製造した事例がない。傘下のベルヘリコプターはH-1およびV-22ファミリーで軍用機を生産し、テキストロンシステムズは軍用車両や無人機製造でペンタゴンと密接な関係にある。だがテキストロンは米空軍の契約実績トップ企業には入っていない。だがエアランドの退役将官から空軍に本案件の紹介があり、相当の営業活動があったらしい。.
- ピーターズの空軍長官在任時にハイローミックスとして双発F-22と単発F-35の組み合わせが構想された。両機種ともロッキード・マーティンが契約会社で両機種ともに技術問題と遅延で価格が大幅に上昇している。その結果、空軍の調達機数はF-22が187機となり、F-35は今のところ1,763機になりそうだ。同時に両機種ともに低視認性性能を持つことで運用コストは高くなる。
- クリストファー・ボグデン空軍中将(F-35計画主査) Air Force Lt. Gen. Christopher Bogdan, F-35 program executive officer によればF-35Aの機体単価は生産がピークに入れば80ないし90百万ドルになるというが現時点での単価は124百万ドルで、ここにエンジンおよびテストで判明した必要な供用後改修の費用を含む。
- そこでスコーピオンは空軍で大部分を占める上空監視ミッションを担うローエンド機材となる。そしてはるかに経済的にそのミッションを実施できるとピータースは語る。
- ただし空軍からはそのような機材が必要との声は出ていない。調達は通常は長い工程を経て、提案競争により決定される。これに対しテキストロンはジェネラルアトミックスの例を期待するだろう。同社のプレデター、リーパーは空軍の要求を待たずに納入することができた。その理由として議会の一枚岩の支援があったからだ。
- スコーピオンはタンデム構成の複座機だがパイロット単独でも運用可能だ。設計では 3,000 lb.の兵装あるいは情報収集機材を機内搭載するほか、ハードポイント6箇所を準備する。エンジンはハネウェルTF731双発で十分な推力のほかISR機材の冷却に必要な出力も得る。
- コックピットにはコバム Cobham を選定し、フラットパネルディスプレイを多用する。スコーピオンはフライバイワイヤ機構を選択せず、コストを下げ、構造を簡略化している。同機の無人機版が将来実現する可能性があるとドネリーは認めている。
- エアランドは複合材料性機体で経験のあるものをビジネスジェット機分野やF-22から集め、機体を設計した。機体製造はテキストロンのウィチタ工場で行われ、今後の国際市場での需要規模を考えると複合材料の採用で機体寿命は相当の長さになると見られ、太平洋諸国や中東市場で苛酷環境に耐えるものとして注目をあびるだろうとドネリーは見ている。
- 両社は空軍が購入を決めるまで座って待つつもりはなく、海外向けに営業を開始する構えだ。ただしドネリーは空軍による調達決定は海外販売の可能性を引き上げる可能性があると認めている。
- またスコーピオンで両社は当初の目標ミッションである軽攻撃,高速ISRがすきま需要であることで営業に拍車をかけるだろう。現状は双発ターボプロップ機としてMC-12プロジェクトリバティがこなしているミッション、T-38後継機、ハイエンドステルス戦闘機のすき間になるという認識だ。
- 同盟各国でターボプロップ武装攻撃機を導入する動きがあり、ペンタゴンはエンブラエルA-29スーパートゥカーノをアフガニスタン作戦用に調達する。また練習機を軽攻撃ミッションに転用する傾向も各国で見られる。
- これに対しスコーピオンは双発ターボプロップ各機より速度ですぐれ、練習機より機構が簡略化される。練習機はF-22やF-35パイロット養成用に高G対応の設計となるからだ。またプレデター、リーパーといったUAVを国境監視用に使用しようとする国が今後出てくるが、国内航空交通領域の大部分で無人機は締め出されテイルのが現状だ。
- スコーピオンの機体組立は最終段階に入っており、初飛行は今年末までに実施が予定されている。■
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