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DDG-1000カーク艦長に聞く 配備先はサンディエゴ


前回に続き革新的な新型駆逐艦ズムワルトの記事です。今回は艦長になったジェイムズ・カーク大佐(!)へのインタビューですが、有り余る電力を使った今後の発展性が期待されますね。また、三隻ともサンディエゴ配備というのは太平洋をにらんだ意味があるのでしょうか。

Interview: Zumwalt Commander Capt. James Kirk

USNI NEWS By: Cmdr. Daniel Dolan
Published: April 11, 2014 9:34 AM
Updated: April 11, 2014 9:34 AM
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ダニエル・ドーラン中佐が新型駆逐艦ズムワルト(DDG-1000)の艦長ジェイムズ・カーク大佐に3月31日話を聞いた。同艦は次世代駆逐艦として建造される3隻の一号艦で米海軍の建艦史上もっとも高価な艦艇である。多くの新型装備を搭載しながら、乗組員は同規模の艦艇のいずれよりも最小となっている。ドーラン中佐から同艦長に操艦、船体、命名の由来に加え、海軍大学校からの質問が向けられた。なお、インタビューは同艦の命名式典(メイン州バスのジェネラルダイナミクス・バスアイアンワークス)に先立って行われた。
kirk
Have you decided on ship’s motto yet?
艦の標語はもう決まったのですか
.
Pax Proctor Vim(力による平和)としたよ。艦の力強い外観、兵装や発電容量の規模にぴったりだ。同じ標語はUSS Dewey (DLG-41)も採用していて、ここバスで建造されており、当時中佐だったエルモ・ズムワルトが命名している。ズムワルト家には代々受け継がれている家訓があるんだ。話はズムワルト大将が海軍作戦部長時代に実施した改革に対する批判が渦巻いていたときのことだ。提督は「どうやればいいのか」との質問に「学習しつづけるのみ」と答えている。こちらの砕けた表現の方が就役前の乗員にぴったりだと思う。仕事が多く、どうやって実現するかを自問すれば、前向きに学ぶことをつづけるだけとわかるからね。

ズムワルト提督は多くの面で先駆者でした。ひとつには海軍で初めて雇用機会の均等化を実現したことが知られていますね。その名前をとった本艦の乗員とともに艦長はこの伝統をどうまもりますか。

本艦の乗員を見れば、これまで40年間になかったタイプだとわかるよ。だれもが機会を利用できる社会になったことの反映だ。本艦の役割はズムワルト提督と同じように国の求める結果を出すことであり、艦の文化としてズムワルト提督が提唱したのと同じように同じ機会を提供することだ。提督の偉業として機会均等を実現したことがあり、本艦の紋章の周りの綱にねじりが66個入っているがこれは提督の通告Z-Gram第66号、有名な「機会均等」のメッセージに由来している。

人員配備については本艦とLCSを比較してあれこれ批判がでていますが、LCSの教訓とはなんだったのでしょうか。

海軍全体としては教訓は反映されていると思う。たとえばLCSでは保守管理のために乗艦してくる要員があるが、もともとの乗員が保守管理を手伝わないということではない。乗員は適正な契約企業が正しい作業を実施していることを確認する責務があるが、本艦はLCSよりはるかに複雑であり、今後に得られる教訓は数多く出てくるだろうと思う。今後二年間は本艦の設計と能力を試されることになるだろうね。

乗組員わずか130名で艦の安全が保てるのでしょうか。

簡単に言えば「うまくできるはず」だ。艦の防護のために停泊中、航海中ともに確実に行う必要があり、海兵隊予備役部隊との訓練も開始している。海兵隊の考え方で各兵士がライフルマンであるように各水兵が防護の達人である必要がある。艦の被害対策をしっかり理解し、医療対応なども理解させる。

喫水線から上にいくほど狭まるタンブルホーム構造の船体で外洋での操船に疑問を呈する向きがありますが。

海軍水上戦センターの波形プールへ行き、テストをみせてもらったが、結論としてどの艦にも操艦で癖があるもので、操艦上望ましくない状況や波形があるのは確かだが、それが理解できて来たと思う。乗組員には十分な指導をして本艦をどんな状況でも安全に操艦できるようにしつつあるところだ。

操艦に関して、固定ピッチのプロペラが電動推進方式になじむのかと疑問を呈する向きもありますが。

電動推進で固定ピッチプロペラは英海軍のタイプ45駆逐艦でこの数年間運用中だ。本艦ではモーターをタンデム上に配置しているので若干違うところがある。これは公試中に実際に会場で試さないといけない。操艦に関しては「獲物のウサギのちょっと先を狙って射撃する」と一定いることになると思う。操艦の手順は蒸気機関の時代に戻る形になるのではないか。ガスタービン推進で制御可能で逆転できるピッチプロペラとはやはりちがうだろうね。

DDG-1000で実現した技術革新は全く新しい戦術や作戦行動につながるのでしょうか。あるいは乗組員は従来型の艦船での経験をいったん忘れてもう一度やり直すべきでしょうか。

そんなことはない。従来からの水上艦戦闘戦術はそのまま使える。システムが新しいので新しい技術や手順を組まねばならないが、戦術に関する限りは今ある指導書で十分だ。一つ例外は砲術で射程63海里で一定量を精密に砲撃する能力があるので、これは戦術を新たに組む必要がある。火器管制もこの砲を使う対空射撃ではトマホークを発射するのとは手順が変わってくる。そういう意味で大部分ではご質問に対してはノーだが新システムでは若干追加作業が必要となりますね。

すでに戦術教本はできているんですか、あるいは乗組員がこれから編纂するのでしょうか。

戦術教本の原稿はある。乗組員は勉強を始めているよ。艦隊に編入されるまでに完成させる。乗組員は当地に半年前に到着しているが、ほとんどが座学の状態だ。今後は艦上で実地訓練をふやし、システムや艦内スペースに慣熟させて、パワーポインンではなく実際に運用できるようにする。、

本艦の母港はきまったのですか。
.
DDG-1000級三隻はサンディエゴに配備される。各艦が戦力化するまではどこであれ海軍の指示により移動するだろう。

海軍大学校教授ジム・ホームズは著書 Red Star Over the Pacific で「単価40億ドルの艦を投入するだけの理由がある緊急事態があるだろうか」と疑問を呈していますが。

指揮官としてみる限り、Phase-II作戦段階に入れば、本艦を投入する意義はたくさんあると思う。艦隊に編入されれば、本艦はPhase-I段階で有効な抑止力となり、Phase-0でも有益な手段になる。本艦の能力はけんかになれば十分に頼りになるものと重宝がられるだろう。

アジア関連の著名な専門家トシ・ヨシハラ教授はこう言っています。「DDG-1000がアジアへの兵力再配備に適合するだろうか」

本艦と同時に乗組員の対応体制を整えるのが第一の仕事だが、もし私が文官あるいは武官の上位者に助言をするとしたら、DDG-1000を太平洋に配置することは公約した政策を実施していると示す良い方法だと言うだろう。USSズムワルトを太平洋で運用するのは目で見てわかる有効なアクションであり、我が国のアジア重視を示す方法になるだろう。

その点をさらにつづけると現在のアジア情勢で懸念で考えることはありませんか。

ある。戦略レベルで領土対立や一触即発の敵視が歴史上の行為をめぐって存在するのは地域内の安定を一気にくずしかねない。毎週毎週毎月毎月地域の大国間で摩擦が発生し、相互作用が繰り返されているようだ。戦術作戦レベルでは技術の進歩と普及により海洋領有権がこれまでよりも対立要素になっている。西太平洋部隊で経験をつんできた小官としては1990年代の冷戦末期が参考になると思う。当時は海洋環境を適切に評価し、我が国の戦力投射能力を再配備しているのはFrom the Sea 、さらに後日Forward, From the Seaで示された非常に知的な視点を現実にしている。その後数年間にわたり、振り子は逆に振ってきて、「海に戻る」必要が我々の思考に生まれ、投資もそれに応じるべきだろうと思う。

Neptune’s Infernoやヒュー大佐のFleet Tactics and Coastal Combat は愛読書で制海権の確保がどうして必要なのかを教えてくれるからだが、航空部隊は有効な右フックを提供してくれるし、他より優れたリーチが可能で大きな可能性を見せてくれる。潜水艦部隊はアッパーカットで接近戦で有効だ。だが制海権の確保にはジャブや敵のパンチをかわすパーリも必要だ。

ボクサーならジャブとパーリが両方必要だ。バーリは向かってくる投打の効果を鈍らせ、ジャブは敵を損失させるもの。

水上艦部隊は敵に連続して対抗し、敵を危険に陥れることが可能だ。とくに敵の交戦が我が国を目標としていない場合や場所で有効だ。もし敵が先に手を出せば、わが方には防衛しつつ迅速に反撃する能力が必要だ。敵の攻撃を防ぎ迅速に敵を攻撃することこそ絶対不可欠だ。部隊にリスクがあっても防衛行動が必要なら、水上部隊こそこのミッションを実施できる唯一の存在となる。

最後に制海権をめぐり、艦長はマハン派あるいはコーベット派ですか、つまり海上優越性をあらゆる箇所で常時確保すべきか、それとも必要な場所と必要な時に確保すればよいと考えますか。

必要な事態で必要な個所で確保すればよいと思う。海上優越性は都合の良い考えだと思うね。任意の場所と時間で海洋を制圧できる力があり、敵の自由にさせない力があればエスカレーションの防止が可能だ。海上支配ができればいっぺんにエスカレーションすることが防げる。ツキディデスの言葉を借りれば敵を海上で敗り、敵の名誉、利益に損害を与え、恐怖を植え付けることだが、支配権を守ることにもなり、地上兵力を上陸させ、重要な施設を攻撃し、敵の沿岸地域へ侵攻し、わが方の意図に住民を従わせること。もし交戦の結果が敵を撃破することが海空軍力を撃滅しつつ敵領土への損害を制約すれば、複雑かつ危険度の高い地政学的状況においては極めて有益な国家政策の実現手段になりうると思う。その意味で制海権には大きな戦略的意義がある。海を舞台に戦術的な交戦で勝利を収める手段があれば、防衛的な姿勢を戦略上もとりつつ、政治上の目的を限定つきでも達成する方法としてはとても有益だと思う。同時にエスカレーションの危険も押さえれば。たくさんの国家が人類を全滅させる能力を有している状況では恐ろしい損害を解き放す能力は恐怖、名誉、権益が混ざり合った状態で実際にその手段の実行に余儀なくなる状況に追いやられるので、優れた制海権の確保が可能な手段を持つことがこれに対する保険の役割を果たすと思う。■k

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