難航してきたKC-46Aですがまず18機の納入でめどがつきました。残りの機材は別途契約ですが、全機そろうのに相当時間がかかりそうです。技術の向上でKC-135のようなはらばいのクルーによるブーム操作の職人芸は不要となり、コックピットから給油を操作できるのはすごいですね。気になる自衛隊向け機材ですが経費負担が想定外のボーイングはいったい日本向け価格をどうはじいてくるのでしょうか。高い買い物にならなければいいのですが.....
USAF, Boeing Agree To KC-46A Tanker Delivery Schedule 米空軍、ボーイングがKC-46A給油機引渡し日程で合意形成
Jun 20, 2018Jen DiMascio | Aerospace Daily & Defense Report
KC-46A: Boeing
米空軍とボーイングはKC-46A給油機の引渡し開始時期を2018年10月とすることで合意した。
この合意で次はアイゼンハワー時代のKC-135給油機に交代する機体が二十年を経て登場することになる。
ここまで来るまでこと自体が同機事業の特徴そのものだ。単純と思われたにもかかわらずもっと困難だと判明したのは民生用に大量生産生産された機体に給油能力を付与することだった。
米政府は2001年9月11日にペンタゴンや世界貿易センターへのテロ攻撃直後に新型給油機導入を表明。だが35億ドルで18機を生産する契約がボーイングに交付されたのは2011年のことだった。
「空軍はボーイングのKC-46Aチームと共同で作業し第一期分18機の納入予定で合意に至りました。運用型KC-46A一号機は2018年10月に納入され、残る17機は2019年4月までに納入を完了します」と空軍次官マシュー・ドノヴァン Matthew Donovan が発表。「KC-46Aのフライトテストはほぼ完了していますが重要な仕事が残っています。空軍はKC-46Aの納入開始に期待しつつボーイングと事業の加速化を図ります」
ボーイングも同じ感触だ。同社はKC-46約30機の生産に入っており、納入開始を待つ状態だ。
「当社も引き渡しに非常に興奮している」とボーイング・ディフェンススペースアンドセキュリティ社長リーアン・カレット Leanne Caret が述べている。
毎月三機の納入ペースは空軍想定とほぼ同じだ。
だがここまでの道は険しかった。ボーイングは税引き前30億ドルを自社負担をしている。固定価格制契約で政府に超過支出を発生させない仕組みのためだ。それでも日程遅れの発生は止められなかった。米会計検査院によれば当初の開発契約でボーイングはこの18機を2017年8月納期で引き渡すはずだった。
日程遅延に加えボーイングと空軍は技術をめぐり対立し、遠隔画像装備のセンサーで操縦席から給油を行うのだがこれも対立の種となった。空軍は給油ブームが一定の飛行条件で被給油機の機体表面に接触し削る現象に憂慮した。ボーイングは軍の要求水準に合致と主張。4月になりボーイングは初号機納入までにソフトウェア改良すると合意した。
作業は進行中でボーイングと空軍担当事務局は欠陥解消を目指している。「ボーイング開発の遠隔画像視認システムのソフトウェア改良作業は開始されたところでボーイングとKC-46A推進室は追加飛行テストで現在の設計内容が軍用用途に耐えるかを見極める」と空軍は述べている。「ボーイングの研究部門によるテストでは機体中央のドローグシステム改良も続けている。改良内容の飛行テストでの検証は2018年9月開始となる」
今回の教訓を尋ねられたカレットは「双方に明らかな教訓が生まれた」と述べ、ここまで複雑な内容のため関係者全員が同じ内容を理解する必要があると述べた。
「ここまで難易度の高い事業を進めると時間経過とともに関係者間の関係が気まずくなることがあります。とくに今回は長期にわたる事業となりました」とカレットは述べ、「ボーイングだけでなくほかの事業者にとってもこのような事態は異例ではありません。単純に困難な内容でした。双方がこの機体を戦闘部門が使う事態を想定し思いを共有しました。そして困難な要素を除去して行ってはじめて視野が広がったのです。そこまでが大変でしたがその後は解決はずっと楽になりました」■
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