スキップしてメイン コンテンツに移動

F-35は現代によみがえったF-4になれるのか---ステルス機の想定する空戦とは

 


Could the F-35 Stealth Fighter Be the 'New' F-4 Phantom? F-35ステルス戦闘機は現代版F-4になれるか




June 2, 2018


矛盾する洞察が一般通念から生まれることがある。私たちは過去を忘れた挙句再び過去を繰り返す運命なのか。それとも次の戦争の姿を理解できずに前回の戦争のイメージで準備をするのが常なのか。

軍事戦略の視点では作戦上の経験から学ぶことがこれまでは重要とされ、将来の戦闘は過去と同じ形になるはずとされてきた。このことから米軍の三軍および少なくとも九か国が問題のある装備を大規模導入しようとしている。

多用途機材をめざしたF-35はその前に配備された第四世代機より鈍足かつ操縦性が劣る機材で、制空任務が主眼のF-22ラプター・ステルス戦闘機にも劣る。空対地攻撃に中心をおいたライトニングは機動性が優れた敵戦闘機に対して視程外距離beyond visual range (BVR)から空対空ミサイルで勝利を収める構想で視程内距離within-visual range (WVR)のドッグファイトは探知されやすく操縦性も劣るため避ける必要がある。

ただしこういうと米軍がF-4ファントムがヴィエトナム戦投入に期待した内容と同じように聞こえるという向きがあるはずだ。両機を比較するのは極めて自然なことだ。

F-4ファントムは強力なJ79ターボジェット双発の大型機でマッハ2を出し当時としては強力なレーダーを機首に搭載していた。武装は中距離AIM-7Dとスパローミサイルで単距離用にはAIM-9サイドワインダー、AIM-4Dファルコン熱追尾ミサイルがあった。

米空軍はファントムに数十マイル先で敵機を探知させ超音速移動しスパローミサイルを最大28マイル先で発射して撃墜する性能を期待していた。単距離のドッグファイル想定の訓練を行わなかったのはファントムが操縦性が優れた機体でなかったためだ。

言うまでもなく、米軍戦闘機が北ヴィエトナムのMiG-17やMiG-21と遭遇するとこの筋書き通りとならなかった。MiG-21は軽量でレーダーも低出力だったが、ソ連の軍事教義通りに地上管制官誘導で米軍機を迎撃した。また当時の米軍の交戦規定では敵機を正確に認識するまで攻撃できなかった。これは通常視程内に収めることを意味した。

米軍戦闘機部隊にも攻撃のチャンスがきたが故障しがちなファルコン、スパロー両ミサイルの撃墜成功率は1割未満だった。単距離用サイドワインダーはやや高いといっても15パーセントにすぎなかったが、有利な位置につけば熱追尾ミサイルをMiGにかますことができた。撃墜被撃墜率は2対1を割り込むまでになった。

米空軍、海軍はともにスパロー、サイドワインダーの改良型を使い、ファルコンは第一線から退けた。その後、機関砲装備のF-4Eファントムが投入されるとパイロットに近接距離戦で頼りになる選択肢が生まれた。他方で海軍はトップガンスクールを開設し海軍航空士に単距離ドッグファイトの技術を伝授した。これで海軍のファントムは空軍より撃墜率が高くなった。

新世代のF-15とF-16の製造にあたり設計部門は最初から機関砲を搭載し、操縦性とともに速度とエイビオニクスも引き上げてファントムの後継機に仕立てた。

今日のF-35は長距離ミサイル運用が前提で強力なレーダーを使う。速力は犠牲とされ(ライトニングの最高速力はマッハ1.6から1.8と相当低い)、小さなレーダー断面積で探知されにくくし、長距離センサーや兵装を運用する。このため空軍はF-35は近接戦ではSu-35に不利だと認めつつ、理論上ではSu-35を長距離で探知しミサイルを数十マイル先から発射して逃げることが可能だとする。

では将来の戦闘の姿はどうなるのか。ヴィエトナム上空の戦いと同じなのか全く違う様相になるのだろうか。

視程外距離で発射したミサイルで敵機撃墜の可能性はどのくらいあるのか

空対空ミサイルはヴィエトナム戦当時から相当の進歩した。当時のAIM-7Eのお粗末な実績と今日のAIM-120D、メテオ、R-77の各BVRミサイルの間では大きな差がある。

ただし今日のBVRミサイルテスト結果をみると命中率は高い(およそ5割)が、以前のミサイルのテスト中の実績と大差ない。もっと重要なのは新型BVRミサイルの射程距離が相当伸びているが、1970年以降の撃墜事例の大部分は視程内距離で短距離ミサイルや中距離ミサイルを使ったものだ。BVRの実戦成功事例の多くは訓練も装備も劣る敵相手のものでレーダー警報受信機の装備もなく飛来するミサイルに無防備な敵が大部分だった。今日の大国同士の戦闘でこの状況は期待できない。

ミサイルの公式最大射程は実戦で効果が生まれる距離より長くなっており、高速かつ敏捷に動く敵機相手を確実に撃墜できる距離も実際より長く宣伝されているのが事実だ。つまるところ標的機は飛来するミサイルをすり抜ける可能性がある。そうなるとAIM-120Dで110マイルの射程があるといってもF-35はもっと近くまで忍び寄って確実な撃墜をめざすのではないか。ここに重要な疑問が出てくる。

ステルス戦闘機はどこまで接近すれば探知されるのか。

ステルス戦闘機といっても完全に目に見えないわけではない。単に探知が難しいだけだ。そうなると敵のセンサーに見つかるまでどこまで接近できるのか。

まず、今日の新型戦闘機の多くで長距離赤外線探知追尾(IRST)装備や電子光学式センサーが搭載され、有効探知距離は50マイルないし100マイルとされる。もちろん設計部門はステルス機の熱放出特性を減らそうと知恵をこらしているが、ジェットエンジンから出る膨大な熱源にマスクをかけているに過ぎない。他方で熱追尾型ミサイルは短距離性能が多い。赤外線はステルス機のアキレス腱なのだ。

ステルス機探知には低帯域レーダーを使えばよい。これだとステルス機の大まかな位置をつかめるが兵器誘導用の精密さに欠ける。地上配備の低帯域レーダーがステルス機の存在を探知すれば高速戦闘機編隊が誘導されIRSTで接近できるはずだ。あるいはXバンドの照準レーダーは短距離で有効だろう。

このシナリオではステルス機が第四世代迎撃機に対し先に砲火を開く想定だが、数の上で敵が有利だ。F-35が第四世代戦闘機ほとんどより低速であることを考えると離脱にはリスクがある。他方でレーダー有効範囲から姿を消すのは容易なはずだ。

では短距離視程外対応ミサイルの時代にドッグファイトに意味があるのか。

米軍の軍事教義ではエネルギー(速力、高度)が操縦性より重要とする。高エネルギー状態の戦闘機は敵との交戦あるいは離脱でともに有利となり、飛来するミサイルもかわすことができるとされる。他方で細かく操縦すれば飛来するミサイルも回避できるが、逆にエネルギーを使い切り機体はその後の攻撃で格好の標的となる。

短距離兵器の威力が強力となり、ドッグファイト中の機体操縦性にさほど意味がなくなったと評価する向きがある。ここでは新技術二点が関係する。一つはヘルメット搭載の視野表示技術でパイロットは敵機をヘルメット上で示せばよい。もう一つが高度操縦性の高度視程外(HOBS)ミサイルで敵機方向に機体が向いていなくても発射できる装備だ。

最初に配備したのはロシアで米国はその後AIM-9Xミサイルとして採用しているが、敵より高い操縦性がなくても兵装を相手に発射できることになる。戦闘機が敵機に方向を向けると速力が加わりミサイルの相対飛行速度もあがるため命中の確率が上がるものだ。

新型短距離ミサイルの命中精度はWVR交戦の場合で8割から9割程度とみられる。つまり同様装備を備えた二機がそれぞれ相手機の存在を認識していれば両機が撃墜される可能性があることを示唆する。この事態を避けるべく、戦闘機パイロットはミサイルを長距離発射しても敵機に探知されずに接近する戦法をとるはずだ。

交戦規則は短距離交戦を困難にしているのか

ファントムがヴィエトナム上空で迫られた状況ではBVR対応ミサイルの利点が生かせず、むしろ交戦規則では肉眼確認を通例としていた。

これは民間旅客機を誤って撃墜することがないようにしたものであり、同時に両陣営の戦闘機が全面戦争一歩前のあやふやな状況で対峙しており、接近してやっと交戦許可が下りるの状態であった。たとえばシリアのSu-22が2017年に米海軍FA-18スーパーホーネットにより撃墜された事例やF-14トムキャットとリビアのSu-22、MiG-23がそれぞれ1981年と1989年に対峙した事例を思い起こしてもらいたい。

各事例でF-35が飛行禁止区域を哨戒中に敵意ある機体に接近すれば探知されステルス機の優位性も失うかもしれない。F-15やラファールのような第四世代機の方が高速で操縦性が高くこのようなシナリオで使い勝手がよい。もちろん旧式でも有効な第四世代機を投入し、F-35はあくまでも得意な深部侵攻用や情報収集用にに保存することでこの問題は解決できる。

つまるところ、ヴィエトナム事例を当てはめるとF-35の弱点が浮かび上がるが、ライトニングを制空任務に投入した場合の想定でもともと違う種類の技術を比較しても説明にならない。カギとなる性能は長距離IRSTの有効距離であり、ステルス機が発射するミサイルの射程距離やレーダーの性能内容は秘密のままとなっていることが多く比較が困難だ。■
Sébastien Roblin holds a master’s degree in conflict resolution from Georgetown University and served as a university instructor for the Peace Corps in China. He has also worked in education, editing and refugee resettlement in France and the United States. He currently writes on security and military history for War Is Boring.

Image: Department of Defense

コメント

  1. 何が言いたいのかわからない記事ですね(言いたい事はわかる)。
    これが典型的ファイターマフィアの見解だとすれば、洋の東西を問わず戦略思考のできない抵抗勢力というのはこんなものなのかな、という落胆にもなり得る内容。
    散々JSFの弱点を論っておいて、そのまとめはあまりに弱々しい。仮定の上の推論においても、結局JSFを落とす為には極めて限定的かつ第四世代機に有利なシチュエーションが必要だという事を逆説(自白?)するような内容。
    自分はとくにJSFシリーズのファンだというわけでもないし経済的なステークホルダーでもないが、この記事に対しては「信者」のような振る舞い・指摘をせざるを得ない。

    返信削除

コメントを投稿

このブログの人気の投稿

★★★★北朝鮮ミサイルが中国衛星で誘導されている可能性

中国も北朝鮮関連では叩けば埃がどんどん出そうですね。北京が見切りをつければ平壌の現政権など簡単に転覆させるでしょうが、中国国内にある北朝鮮とのしがらみ(おそらく共産党内部の派閥争い)と東北部の軍の非合法ビジネスの問題があり、米国といったん話がついても実施が難しいのでしょう。そのうちにしびれを切らした米国が単独行動に出るかもしれません。
Record China Is North Korea Using China's Satellites to Guide Its Missiles? 北朝鮮は中国衛星を使ってミサイル誘導をしているのか
Peter J. Brown May 23, 2017 http://nationalinterest.org/blog/the-buzz/north-korea-using-chinas-satellites-guide-its-missiles-20810?page=show

北朝鮮がミサイル発射を繰り返し米本土を狙うICBM開発に走る中、ひとつ見落とされている点がある。ミサイルに衛星誘導を使っているのではないか。北朝鮮に衛星航法ネットワークはないため、中国衛星を利用しているとの観測がある。 2014年報道で北朝鮮技術者が中国国内で北斗Beidou衛星航法システムの運用を研修中とある。同年の別の記事で中国軍専門官から中国は北朝鮮による北斗の軍事利用を止められないと発言している。 北斗以外に北朝鮮の選択肢として米露両国のGPSがあり、ロシアはグロナスGlonasと呼んでいる。 「グロナスの可能性もありますが、ミサイル誘導に北斗を利用している可能性の方が高い」と小泉 悠(未来工学研究所特別研究員、ロシア安全保障問題)がメールで述べており、ロシアは北の核実験後に武器および軍事関連技術の北朝鮮向け禁輸措置を取っているがグロナスが対象かは不明と小泉は述べる。 北斗衛星群打ち上げは1994年に始まり、現在は東アジア以遠まで展開している。北斗は民生商業用途と軍用の両面で利用され、軍用では妨害を受けず正確にデータが利用できる。 北朝鮮が北斗の軍用機能を利用しているか不明だが、民生用機能で精密誘導兵器を運用しているとは考えにくい。というのは北斗の民生機能は日米韓の電子妨害に弱く有事の際に北朝鮮が利用するのは困難になるためだ。 「特別のチップならびに中国の協力がな…

★★★真偽は?日本もUCAVを開発していた

日本にもブラック事業がある(あった)のでしょうか。映像公開したのは機密解除になったのか、事業がもっと先に進んでいるからでしょうか。各務原での目撃がないことから別の場所で秘密裏に開発されたのでしょうか。川崎重工関係者は口がさけても語れないと思いますが、事実なら日本もUAV-UCAVを開発していることがわかりますね。判断は読者の皆さんにおまかせします。
This is the combat drone Japan has been building in secret
これが秘密裏に開発していた日本の戦闘無人機だ

川崎重工ブースのビデオでUCAV試作機の飛行状況を写していた (Photo by Harold Hutchison) By Harold HutchisonOct. 06, 05:10 AM http://www.wearethemighty.com/news/this-is-the-combat-drone-japan-has-been-building-in-secret
無人戦闘航空機、つまりUCAVはこれからの軍事航空のカギを握ると言われる。米国、ロシア、フランスが開発中と判明している。 だが本誌We Are The Mighty (以下WATM)はこのたび日本も秘密裏にUCAV開発を進めていたことを知った。 ワシントンで先ごろ開催された空軍関係のイベントでWATMは川崎重工業のブースでビデオ画像を見た。それは同社によるUCAV研究開発の様子で、画像内のUCAVはボーイングX-45やノースロップ・グラマンX-47に似ているようだった。 会場で詳しく聞こうとしたが、同社係員が日本政府の意向だとしてやんわりと断ってきた。翌日も別の係員はこの件は存じていないと答えてきた。 結局三番目に会った川崎重工の小林タクミ氏が「試験機で10年近く前のもの」とし、「防衛省予算による実験事業だった」と説明してくれた。同氏はさらにメールで「2008年ごろのプロジェクト」と述べている。 WATMが当時空軍の筆頭参謀次長として情報監視偵察分野を担当し現在は航空宇宙研究にあたるミッチェル研究所の所長をしているデイブ・デプチュラ退役空軍中将に日本がUCAV開発をしていた事実を知っているか聞いたところ、即座に「知らない」との答えが返ってきた。 このことから日本のUCAVは秘密のベールに隠されていたことがわか…

★★ロッキードが極超音速技術の完成に近づいている模様、SR-72との関連へ注目

Amid SR-72 Rumors, Skunk Works Ramps Up HypersonicsSR-72の噂と関連か、スカンクワークスの極超音速技術が加速中
Sep 27, 2017Guy Norris | Aerospace Daily & Defense Report http://aviationweek.com/technology/amid-sr-72-rumors-skunk-works-ramps-hypersonics
SR-72: Lockheed Martin FORT WORTH, Texas—ロッキード・マーティンが極超音速技術開発を加速化しており、初の実証機を目撃したとの報告もあり、スカンクワークスが進めるSR-72高速機開発との連関が注目される。 「詳細は言えませんが、スカンクワークスのあるカリフォーニア州パームデールで超高速飛行実現の動きを倍増しています」とロッキード・マーティンで航空力学執行副社長オーランド・カバルホOrlando CarvalhoがSAE 国際航空技術学会で語っている。「端的に申し上げれば米国は極超音速革命まであと一歩まで来ています」 Darpaと米空軍研究実験部門が共同で進める推進滑空兵器および極超音速空気取り入れ式兵器コンセプト研究に言及して、カバルホは「この十年で研究は大幅に進み、極超音速技術で状況が一変する意味があることが明らかになってきました。今後も研究テストを進め、極超音速飛行の実現にDarpaとのプロジェクト二件を活用します。国家安全保障ではスピードが肝心です」 SR-72への言及はなかったが、同社が極超音速機として退役済みの高速SR-71ブラックバードの後継機を提案中であることは広く知られており、カバルホの前向きな発言はロブ・ワイスRob Weiss(ロッキード・マーティンの高性能開発事業体執行副社長兼総支配人)の発言に重なる。6月にワイスはAviation Weekに選択的に有人操縦となるSR-72の前身となる飛行研究用機体(FRV)が予定通り進行中と暗に述べていた。 スカンクワークスはFRV開発を来年から始めるといわれ、初飛行予定は2020年だ。FRVはF-22ほどの機体サイズで推進力はフルスケールのコンバインドサイクルエンジン一基だ。しかし実証機に先立ち、ロッキードは各種技術の地上・飛行テスト…