東シナ海のみならず南シナ海での兵力投射や海上交通路確保を考えると一定の航空戦力運用能力は必要で米国型の超大型空母はともかく日本のニーズに応じた空母整備は理にかなっていると思います。ただし、F-35Bが選択肢になるのか、またそうであっても運用の知見を整備するのはそう簡単なことではなく数年かかりますし、プラットフォームのいずも級も習作におわるかもしれません。自民党の動きには野党が自動的に反発していくでしょうが、日本が抑止力を整備して困る国と同じ思考をしているのは何ともおかしなことだと思います。一方で自衛隊の中途半端な姿を放置してきたつけがまわりそうで改憲がなかなか進まないままそれより早く現実の姿を思い知らされル事態が発生するのを恐れます。「あるべき姿」に国民の意見が集約する、あるいは民意を問う決断が必要なのではないでしょうか。
Japan Wants Aircraft Carriers Armed with F-35s (And It Could Happen Fast)日本はF-35搭載空母の実現を目指す(意外に早く実現しそうだ)
June 1, 2018
日本の政権与党が日本も航空母艦運用を再開すべきと主張している。
5月25日、自民党が固定翼機運用を可能にする大型ヘリコプター駆逐艦改修を求める提言を発表したとの日本国内報道が流れた。「同党は早ければ今月末にも提言を政府に渡し、年末の防衛大綱並びに中期防衛計画改訂への反映を期待する」とある。
自民党からは今年三月にも提言で概要の発表があったばかりだ。その時点ではいずも級強襲揚陸艦二隻を「多用途防衛航空母艦」へ改装すべきとあった。これに対し党内から異論が出たのは第二次大戦時に日本が空母部隊を運用していた記憶を呼び起こすとし、表現は多用途「母艦」に変更となった。ただし、目指す姿には変更がない。
National Interestでは以前からいずも級ヘリコプター駆逐艦でのF-35B共用打撃戦闘機運用に向けた改装構想をお伝えしてきた。いずもが2013年に登場した段階でこの可能性は多くの専門家が指摘していた。一部には「偽りの空母」と評する向きさえあった。理由は想像に難くない。いずもの全長はほぼ250メートルで排水量は24千トンだ。これはその前に建造したひゅうが級のほぼ5割大きな艦容で、スペインやイタリアが保有する短距離離陸垂直離着陸 (STOVL) 型空母より大きいとの指摘もあった。いずも級には固定翼機運用格納庫もある。
にもかかわらず日本はそのような予測を一貫して否定してきた。昨年12月に日本がF-35B運用可能にするいずも級改修を検討中との報道が出ると、小野寺五典防衛相は(形ばかりの)否定声明を出した。「我が国の防衛姿勢について各種検討をしていますが、F-35B導入やいずも級護衛艦の改装について具体的検討はしておりません」と述べたと国内紙が伝えている。さらに「各種代替策の検討は常に必要」との発言もあったという。
否定したものの防衛省はいずも級の空母改装構想の検討内容をマリンユナイテッドに委託している。結果の一部が4月に公表され、予想通りカタパルト装着含む大幅手なおしせず改装の実現は可能とある。
ただしその実現には不明瞭さが残ると指摘する海上自衛隊OBがいる。朝日新聞への談話でその一人が「いずもの空母化案で内部コンセンサスができていたが大規模戦力の発艦能力は戦争放棄をうたう憲法第九条が禁じる戦力に当たるとの政府見解を海上自衛隊はおもんばかり案を公表してこなかった」と指摘している。
もちろん自民党提言はF-35B導入が前提だ。日本は今のところF-35Aのみを購入しているが、自民党提言ではいずも改装にあわせF-35B調達を求めている。F-35B導入を決めたのは今のところわずかで米海兵隊の他は英海軍、英空軍、イタリア海軍しかない。韓国、トルコもF-35Bへ関心を示しているのはそれぞれ強襲揚陸艦の空母化を目指すためだ。もし日本がいずもでF-35B運用の実現に踏み出せば、韓国、トルコへの影響は大きい。
今回の自民党提言には他にも議論の種となりそうな内容が含まれている。まずGDP1パーセントといの非公式制約の撤廃がある。自民党はNATO加盟国並みの2パーセントへの拡大を求めている。さらに提言では他国の軍事基地等の攻撃能力の実現と巡航ミサイル製造も求めている。ミサイルは攻撃手段とみなされ、専守防衛を是とする日本は攻撃能力を開発してこなかった。■
Zachary Keck (@ZacharyKeck) is a former managing editor of the National Interest.
Image: Wikimedia Commons
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