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2030年に米国と中国が戦闘突入したらどうなるのか

 


Welcome to the U.S.-China War of 20302030年に米中が開戦したらこうなる



June 1, 2018

国(PRC)と米国が貿易戦争の一歩前にきたようだ。この戦争は両国経済だけでなくグローバル経済も大きく影響受けかねない。だが今のところ爆弾やミサイルの応酬にならないようだ。米中両国には対立の種が多数あるが、いずれも開戦の理由になっていない。
だが状況は10年間で変化する。今は可能性が薄く見える対立も時がたつと現実のものになる。中国の相対的国力が伸びればとるに足らない対立が大きく進展する事態に米国が直面することになる。一方で中国に機会が訪れる。米国の装備品調達サイクルから米軍の実力が低下する事態がやってくるからだ。
2030年の力のバランスならびに戦略地図は現在と大きく変っているだろう。では2030年に発生する米中両国間の戦争はどんな様相になるのか。
開戦の形は
対立の核心は今と同じだ。中国と米国は「トゥキディティスの罠」に落ちる。中国の国力がさらに伸びる一方、米国が世界秩序を支配する構図が続く。だが古代ギリシアでアテネの国力が伸びてスパルタが挑発されことがペロポネソス戦争につながったように、米中両国の対立は全世界を火に包む。PRCも米国もとるに足らない事象を理由に開戦に進むことはないはずだが。
米同盟各国に対する脅威は想像に難くない。日本、韓国、インド、台湾、フィリピンの各国だ。中国と各国の間の対立の種はすでに生れているが、実際に芽は出ないかもしれない。だがPRCと各国間の軍事衝突発生の場合、米国がいやおうなく巻き込まれるのはほぼ確実だ。インドとPRCの間の戦闘が最大のリスクで米国だけにとどまらずパキスタンやロシアまで巻き込まれる可能性がある。日中間の戦争も破滅的な結果になりかねない。今後戦略的な変化が発生する可能性として日韓関係があり軍事対立となれば中国や米国も関与せざるを得なくなる。
両軍はどんな軍事技術を展開するか
戦場がどこになるのかは紛争の原因で変わるが、予想に難くないのが東シナ海および南シナ海だ。両国とも空海双方の装備を投入を惜しまないはずだが、米陸軍、海兵隊は「マルチドメイン」戦闘で自らの役割を発揮するのに苦労するだろう。
今後12年間で軍事バランスは中国に傾く理由は多数ある。だが中国が必ずしも有利になるわけでもない。ただし人民解放軍海軍(PLAN)は米海軍(USN)を上回るペースで拡張しており、人民解放軍空軍(PLAAF)の装備近代化の進展は米空軍(USAF)をしのぐ。
ただし双方とも従来型軍事技術を大量投入するだろう。中国の空母は2030年には4隻になっているはずで、内訳は遼寧級STOBAR空母二隻と通常型CATOBAR空母が二隻だ。米国は強襲空母も含めれば空母数で上回り、戦力でも中国を凌駕するものの、中国は開戦初期では局所的に有利な展開をするはずだ。中国は全世界展開の必要がないため潜水艦、水上艦多数を一定海域に投入できるからだ。それでもUSNが有利とは言え、差はわずかしかない。
航空機に関しては米国の空軍、海軍、海兵隊はF-35を相当数展開しているはずだ。米空軍は現行の爆撃機各型に加えB-21レイダー・ステルス爆撃機を配備しているはずだ。中国はJ-10とJ-11を増備し、米F-15、F-16、F/A-18と互角に持ち込もうとするだろう。J-20も一定数稼働しているはずでPLAが導入を決めればJ-31も配備されているだろう。2030年にPLAAFが米航空戦力と同等水準になる見込みはないものの、ギャップは減り、国内基地、弾道ミサイル、巡航ミサイル、対空ミサイルが多数ある点が中国に有利となる。
2030年までに現れる最大の変化は無人装備の台頭で既存有人機と同時に投入されたり、有人機の座を奪う機材もあらわれるだろう。無人装備技術の革新は今後も急ピッチで進み近い将来に登場する高性能機の姿を想像するのは難しいが、空、水上、水中に活躍する無人機が広範な戦闘に投入され、有人装備を攻撃したり無人機同士の戦闘が発生するのではないか。無人装備は情報収集や通信の大規模システムの一部となり両陣営とも緒戦から妨害を試みるはずだ。
サイバー戦になるのか
中国と米国はともに社会、経済、軍事各方面で通信に大規模依存しそれだけサイバー接続に依存していることになる。いったん接続が断絶すれば破滅的な結果となる。だがサイバー戦専門家から米中両国がインターネット依存を高めているが実は接続の仕組みが強靭になっており妨害は受けにくくなっているとの指摘がある。類似例として20世紀のドイツ産業があり、連合国空爆で大被害を受けたが期待された崩壊は生れなかった。これは重複性を持たせた複雑な内部構造のためだった。これに対して緻密な構造でなかった日本経済へは海上封鎖と空爆が大被害を上げている。複雑性は弱点をカバーするのだが、経済体制がデジタル化されている今は攻撃は容易になっている。
だからといって戦争がサイバー領域に発展することにはならない。デジタル戦は民生部門より軍事部門が中心となろう。米中両国は情報収集と攻撃能力の接点をあぶりだし妨害を試み、敵の目をつぶそうとするだろうが、同時に敵の目を通じて状況を把握しようともするはずだ。サイバー攻撃と「リアルの」軍事作戦を統合調整することに成功した陣営が勝利するだろう。
どんな結末になるのか
米中戦が終結の姿については多数の著述があるが、2030年の戦役の具体的開戦理由が不明のままでは両陣営の動きを予想できない。2030年時点でも米国の産業基盤や政治決定能力を恒常的に脅かす通常兵力を中国が整備しているとはきわめて考えにくい。他方で米国が一方的にPRCを圧倒するシナリオも考えにくく、仮にそうなっても政治面での危機状態は永く残るはずだ。勝利は展開中の軍事力を先に破壊することにかかっており、効果的な強襲作戦か消耗戦のいずれかになろう。
封鎖作戦も決定打にならない。中国のエネルギー消費は2030年には今より増えているだろうが、この戦略的弱点を補強する動きも強まっているはずだ。ロシアからのパイプライン増設や代替エネルギー開発でPRCは米国との対決に耐える力を入手するだろう。トランプ政権による貿易戦争で世界経済に悪影響が発生しなくても対外貿易が弱体化すれば中国にとって最大の経済試練となる。
いずれにせよ2030年の米中戦争では慎重な外交が必要となり、戦闘は21世紀通じた対立の第一歩に過ぎなくなるのかもしれない。
結論
専門家多数が米国とソ連間の戦争は不可避とほぼ40年にわたり指摘してきた。いくつか危機があったが実際に大戦は発生しなかった。米中両国が再度武力衝突する可能性もないのかもれしれない。とはいえ両国間の軍事力バランスが今後どう変わっていくかを考えることに価値がありそうだし、双方にどんな機会が生まれるかも想定できる。幸運と腕に恵まれれば両国は2030年でも開戦を回避できるだろうが、両国の立案部門は戦闘勃発の可能性を真剣にとらえておく必要がありそうだ。■
Robert Farley, a frequent contributor to the National Interest, is author of The Battleship Book. He serves as a Senior Lecturer at the Patterson School of Diplomacy and International Commerce at the University of Kentucky. His work includes military doctrine, national security, and maritime affairs. He blogs at Lawyers, Guns and Money and Information Dissemination and The Diplomat.

Image: Flickr

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