スキップしてメイン コンテンツに移動

AC-130Jゴーストライダーが初の実戦投入。ガンシップは新時代に突入。

AC-130J Ghostrider Gunships Have Flown Their Very First Combat Missions AC-130Jゴーストライダーガンシップ機が初の実戦投入

The AC-130J's arrival in Afghanistan marks a historic changing of the guard as older AC-130Us have now finished their last scheduled deployment AC-130Jがアフガニスタンに到着し、旧型AC-130Uと交代し歴史の新しいページが開かれた

.

BY JOSEPH TREVITHICKJULY 10, 2019
USAF
空軍が導入したAC-130Jゴーストライダーがアフガニスタンで2019年6月に初めて実戦投入された。同機はAC-130UスプーキーIIからガンシップ任務を引き継ぎ、スプーキーII部隊は米本国へ帰還した。
Northwest Florida Daily News紙がいち早く2019年6月28日に報じたのはAC-130Jが初の戦闘ミッションをアフガニスタンで実施したというもので、フロリダ州にあるハールバートフィールドでの米空軍特殊軍団(AFSOC)の司令官交代式典で詳細があきらかになった。
「AC-130Jが海外出初の戦闘任務に投入されたことをお伝えでき嬉しく思う」と米空軍のキーヴィー・レイク大尉AFSOC広報官がThe War Zoneにメールで2019年7月10日に伝えてきた。「AC-130Jの初投入は2019年6月末のことでAC-130Uの任務が解かれ、同型機はハーバートフィールドに2019年7月8日に帰投している」
空軍はAC-130Jの初期作戦任務能力を2017年末に宣言しており、2018年にハーバートフィールドの73特殊作戦飛行隊が同型の初の実用飛行隊になった。同隊がアフガニスタンで同型機を運用中
USAF
73特殊作戦飛行隊のAC-130Jがエストニアでの2018年演習に投入された。 

73隊のゴーストライダー初投入について多くは不明だが、AFSOCのAC-130は夜間飛行が主で地上の特殊部隊を支援すべく、近接航空支援または監視飛行をしている。アフガニスタンでの米特殊部隊の活動は依然活発でタリバンはじめ戦闘員多数との交戦が続いている。
以前はAC-130を投入して特定人物への攻撃を行い、極秘の共同特殊作戦部隊を支援したこともある。第4特殊作戦飛行隊のAC-130Uが国境なき医師団の病院があるアフガニスタン・クンドゥスを2015年に誤射した事件は有名だ。その後の調査で機器故障と人的ミスが重なり悲劇につながったと判明した。
U型運行は第4飛行隊が最後となった。今後も同型は緊急時に備え一部を温存するがAC-130Jの納入で完全に交代する。ゴーストライダー納入は2019年3月に始まったばかりだ。
Embedded video
The AC-130U has been working hard for more than 20 years, haunting the night skies above the enemy. Now it's time for the AC-130J Ghostrider to pick up where the Spooky left off.

ゴーストライダーの引渡しは2021年に終了予定で最終的に37機が空軍に揃うと残るAC-130U、AC-130WスティンガーIIガンシップが用途廃止となる。2019年3月時点でAFSOCはU型10機、W型12機を退役させていた。AC-130Hスペクターは2016年に全機退役となっていた。
AC-130J投入でAC-130Uの戦闘任務投入が終了するとAFSOCのガンシップ運用が大きく変わる。スプーキーIIは1995年に就役し、空軍に残る旧型AC-130ガンシップの最後の存在だった。五連装25mmGAU-12/Uガトリング砲、単装40mmボフォース砲、105mm榴弾砲各一で武装していた。
各機はヴィエトナム戦時代のAC-130の直系で、AC-130Uは第二次大戦時の40mmボフォース砲搭載の最後の機体だった。同砲は効果は大きいが運用と保守管理が大変で空軍は世界各地で部品集めに駆けずり回ったほどである。結果として1940年代の40mm弾を再生産して装備運用を続けていた。
CLEMENS VASTERS VIA WIKIMEDIA
40mmボフォース砲(左)と105mm榴弾砲(右)を搭載したAC-130Hスペクターガンシップ。AC-130Uは同様の兵装を搭載する。

これに対しAC-130Jは全く違う存在で105mm榴弾砲は搭載するが、小型の30mmGAU-23/Aブッシュマスター砲に切り替えている。同時にゴーストライダーは当初から精密誘導兵器の運用を前提とし、AGM-114ヘルファイヤーミサイルやGBU-39/B小口径爆弾(SDB)、GBU-44/Bヴァイパー打撃誘導爆弾、AGM-176グリフィン(推進式ミサイル、無動力誘導爆弾のいずれでも運用可)を搭載する。AC-130WはC-130H輸送機を改装し、全く同じ装備を運用する。
空軍はAC-130JやAC-130Wには105mm榴弾砲の搭載は想定していなかったが最終的に方針を変更。AFSOCはブロック20仕様のAC-130Jに榴弾砲を搭載して2016年に初受領した。ゴーストライダーの30mmGAU-23/Aの性能には懸念があったが、その後解決したとペンタゴンの作戦試験評価部門が認めている。
精密誘導兵器の性能によりガンシップの戦力に新しい次元が開けた。スタンドオフ攻撃が可能となり、複数目標を同時攻撃できるようになった。今後導入される兵装のGBU-53/Bストームブレイカー(旧称SDBII)、GBU-69/B小型誘導弾はともに複合モードの誘導兵器でAC-130Jの作戦柔軟性が増す。30mm、105mm砲により以前同様に極めて精密な直接火力支援を提供できる。
AC-130Jではセンサー、データリンク、通信装備、他の性能向上もはかられている。最新のブロック30のゴーストライダーの受領が2019年3月に始まっており、ブロック20からの改良が見られる。その一つがセンサータレットに高精度の電子光学赤外線フルモーションビデオカメラがつき、ブロードバンド衛星通信用の「ハンプ」が機体上部に着いたのが特徴だ。
USAF
第4特殊作戦飛行隊がブロック30仕様のAC-130Jを検分中

空軍はガンシップ各機の残存性を今後の戦闘環境でも維持すべく改良を加えようとしており、GPSジャミング対策もそのひとつだ。2018年に米陸軍のレイモンド・トーマス大将(米特殊作戦司令部総司令官、当時)は国名こそ特定しなかったがロシアあるいはロシア支援を受ける部隊がシリア上空のガンシップに電子攻撃を試みていると発言していた。
新規装備もゴーストライダーに今後導入されるはずで、AFSOCは高出力レーザー兵器の実証を2022年に予定している。
.AC-130Uの運用予定がなく、AC-130Jが戦闘ミッションに投入される中、空軍はガンシップ作戦の新時代に突入したと言える。■
Contact the author: joe@thedrive.com

コメント 航空自衛隊にもC-130Hが14機ありますが、ガンシップへ改装したらすごい戦力になりますね。ただし、運用する場所は国外になってしまいそうですが。ガンシップは制空権が確保されているのが前提なので今後の世界では運用がむずかしくなるのかもしれません。ロシアが今からAnt輸送機を改装してガンシップにするというのは出遅れの観があるのですが

コメント

  1. 日本列島の防衛に限定するなら、地上部隊(上陸部隊)の殲滅は艦砲射撃に任せた方が得策かもね。

    返信削除
  2. そもそもガンシップは敵地を奇襲攻撃するための兵器なので防衛には激しく向いていません。日本での導入は無理があるかと思います。
    空対空ミサイルにはほとんど無力といっても差し支えないです。
    日本の自衛隊が想定する防衛シチュエーションでは制空権を十分に確保していない状況が考えられますので、制空権を争っている状況でガンシップが出撃することは自殺行為です。
    アメリカがこの種の兵器を導入しているのは対抗する相手が中東の非正規軍など十分な制空能力を持たないからです。
    40mm砲+105mm榴弾砲→30mm砲の懸念は火力が低下するということですが、実戦において前者は命中精度がいささか劣り、歩兵1人に10発以上も射撃してほとんど当たらないような状況だったので、A-10などで実績のある30mm砲弾と新しい火器管制に換装するのは理にかなっていると思います。

    返信削除

コメントを投稿

コメントをどうぞ。

このブログの人気の投稿

フィリピンのFA-50がF-22を「撃墜」した最近の米比演習での真実はこうだ......

  Wikimedia Commons フィリピン空軍のかわいい軽戦闘機FA-50が米空軍の獰猛なF-22を演習で仕留めたとの報道が出ていますが、真相は....The Nationa lnterest記事からのご紹介です。 フ ィリピン空軍(PAF)は、7月に行われた空戦演習で、FA-50軽攻撃機の1機が、アメリカの制空権チャンピオンF-22ラプターを想定外のキルに成功したと発表した。この発表は、FA-50のガンカメラが捉えた画像とともに発表されたもので、パイロットが赤外線誘導(ヒートシーキング)ミサイルでステルス機をロックオンした際、フィリピンの戦闘機の照準にラプターが映っていた。  「この事件は、軍事史に重大な展開をもたらした。フィリピンの主力戦闘機は、ルソン島上空でコープ・サンダー演習の一環として行われた模擬空戦で、第5世代戦闘機に勝利した」とPAFの声明には書かれている。  しかし、この快挙は確かにフィリピン空軍にとって祝福に値するが、画像をよく見ると、3800万ドルの練習機から攻撃機になった航空機が、なぜ3億5000万ドル以上のラプターに勝つことができたのか、多くの価値あるヒントが得られる。  そして、ここでネタバレがある: この種の演習ではよくあることだが、F-22は片翼を後ろ手に縛って飛んでいるように見える。  フィリピンとアメリカの戦闘機の模擬交戦は、7月2日から21日にかけてフィリピンで行われた一連の二国間戦闘機訓練と専門家交流であるコープ・サンダー23-2で行われた。米空軍は、F-16とF-22を中心とする15機の航空機と500人以上の航空兵を派遣し、地上攻撃型のFA-50、A-29、AS-211を運用する同数のフィリピン空軍要員とともに訓練に参加した。  しかし、約3週間にわたって何十機もの航空機が何十回もの出撃をしたにもかかわらず、この訓練で世界の注目を集めたのは、空軍のパイロットが無線で「フォックス2!右旋回でラプターを1機撃墜!」と伝え得てきたときだった。 戦闘訓練はフェアな戦いではない コープサンダー23-2のような戦闘演習は、それを報道するメディアによってしばしば誤解される(誤解は報道機関の偏った姿勢に起因することもある)。たとえば、航空機同士の交戦は、あたかも2機のジェット機が単に空中で無差別級ケージマッチを行ったかのように、脈絡な

海自の次期イージス艦ASEVはここがちがう。中国の055型大型駆逐艦とともに巡洋艦の域に近づく。イージス・アショア導入を阻止した住民の意思がこの新型艦になった。

  Japanese Ministry of Defense 日本が巡洋艦に近いミサイル防衛任務に特化したマルチロール艦を建造する  弾 道ミサイル防衛(BMD)艦2隻を新たに建造する日本の防衛装備整備計画が新たな展開を見せ、関係者はマルチロール指向の巡洋艦に近い設計に焦点を当てている。実現すれば、は第二次世界大戦後で最大の日本の水上戦闘艦となる。 この種の艦船が大型になる傾向は分かっていたが、日本は柔軟性のない、専用BMD艦をこれまで建造しており、今回は船体形状から、揚陸強襲艦とも共通点が多いように見える。 この開示は、本日発表された2024年度最新防衛予算概算要求に含まれている。これはまた、日本の過去最大の529億ドルであり、ライバル、特に中国と歩調を合わせる緊急性を反映している。 防衛予算要求で優先される支出は、イージスシステム搭載艦 ( Aegis system equipped vessel, ASEV) 2隻で、それぞれ26億ドルかかると予想されている。 コンピューター画像では、「まや」級(日本の最新型イージス護衛艦)と全体構成が似ているものの、新型艦はかなり大きくなる。また、レーダーは艦橋上部に格納され、喫水線よりはるか上空に設置されるため、水平線を長く見渡せるようになる。日本は、「まや」、「あたご」、「こんごう」各級のレーダーアレイをできるだけ高い位置に取り付けることを優先してきた。しかし、今回はさらに前進させる大きな特徴となる。 防衛省によると、新型ASEVは全長約620フィート、ビーム82フィート、標準排水量12,000トンになる。これに対し、「まや」クラスの設計は、全長557フィート強、ビーム約73フィート、標準排水量約8,200トンだ。一方、米海軍のタイコンデロガ級巡洋艦は、全長567フィート、ビーム55フィート、標準排水量約9,600トン。 サイズは、タイコンデロガ級が新しいASEV設計に近いが、それでもかなり小さい。Naval News報道によると、新型艦は米海軍アーレイ・バーク級フライトIII駆逐艦の1.7倍の大きさになると指摘している。 武装に関して言えば、新型ASEVは以前の検討よりはるかに幅広い能力を持つように計画されている。 同艦の兵器システムの中心は、さまざまな脅威に対する防空・弾道ミサイル防衛用のSM-3ブロックIIAとSM

たった2年で自律型兵器数千機を製造する国防総省の大胆な構想は明らかに中国との軍事対決を意識し、米国の技術優位性を活用しようとしている

  レプリケーターはわずか2年で自律型兵器数千機を製造する国防総省の大胆な構想 Repeated war gaming shows that large networked swarms of drones that can cover vast areas would be critical to winning a brawl over the Taiwan Strait. USAF/CDC レプリケーターには米軍の戦い方を大きく変える可能性があり、中国の量的優位を正面から覆そうとするもの  国 防総省は、中国の急速な軍事力整備に対抗する最新戦略を発表した。 レプリケーター Replicatorの名称で、「小型、スマート、安価、多数」を特徴とする、攻撃可能な自律型プラットフォーム「数千」機の実戦配備に重点を置く。この構想は、中国の大規模な軍に対抗する方法として、米国の技術革新を活用するもので、同時に、AIアルゴリズムの恩恵を受ける無人システムに任務を負わせようとするものでもある。 レプリケーター・プログラムは、キャスリーン・ヒックス国防副長官  Deputy Defense Secretary Kathleen Hicks が、ワシントンで開催された全米国防産業協会のエマージング・テクノロジー会議で発表した。 レプリケーターが相手にする脅威について、ヒックス副長官は「PRCの最大の利点は質と量である」とし、急速に多様化する中国の対アクセス/領域拒否能力がもたらす特別な課題にも言及した。 ヒックス副長官は、レプリケーターのアプローチには歴史的な前例があると付け加えた:「私たちが経済と製造基盤を動員するときでさえ、アメリカの戦争勝利戦略が、敵対国の船と船、あるいはショットとショットのマッチングだけに依存したことはめったにありません」とし、ロシアのウクライナへの全面侵攻に言及するかのような辛辣なコメントを付け加えた:「結局のところ、私たちは競合他社のように国民を大砲の餌にはしていません」。 対照的に、レプリケーターは、「敵国を出し抜き、敵国を戦略的に出し抜き、敵国を巧みに操ることによって、敵国を圧倒する」米国の能力を基礎とし、それを継続する。 レプリケーターが実現すれば、どのような構成になるのだろうか? ヒックスは、このプログラムが「明日の技術を習得する」こと、すなわ