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期待できそうな次期潜水艦29SSの性能について


Stealth Suprise: Is Japan's New Submarine a Game Changer? 驚異のステルス 日本の新型潜水艦は画期的な存在になるのか 

July 5, 2019  Topic: Security  Blog Brand: The Buzz  Tags: Japanese NavySubmarinesStealthMilitaryChina

2019年6月、三菱重工業が日本の次期潜水艦29SS「新型3000トン潜水艦」を発表した。
公表資料によれば29SSは開発期間が2025年から2028年の3カ年で部隊編入は2031年とある。初号艦の試験開発用となりそうで建造費は760億円でだ。
海上自衛隊は潜水艦部隊を22隻体制に拡充する予定で試験艦一隻、練習艦2隻が別に加わる。実勢増加は中国の潜水艦部隊が70隻程度あり、原子力攻撃型や弾道ミサイル潜水艦含め充実する現状への対応のようだ。
この実現にむけ日本の2019年度防衛予算に7隻残るおやしお級ディーゼル電気推進潜水艦の耐用年数延長が盛り込まれた。同級は1990年代に就航している。
一方で川崎重工業がそうりゅう級潜水艦の12号艦を建造中で、あと3隻を川崎、三菱が建造する。初期型そうりゅう級各艦とのちがいは最終建造艦の大気非依存型推進をリチウムイオン電池(LIBs)に切替え軽量化かつ高出力性能を実現している。
29SSの想像図を潜水艦アナリストH.I.サットンのサイトから下に転載した。日本国内でも新型潜水艦で搭載する技術の予測記事が出ている。https://grandfleet.info/military-trivia/japanese_submarine_new_3000/

より流線型に
29SSはそうりゅう級の発展形でX字形潜舵で操縦性と信頼性を増した設計を継承するようだ。艦首に傾斜角がつきテイルセイル(司令塔)は後方に移動し艦体と一体化する。
改良は流体力学効果の向上が目的のようで、結果として音響面でステルスとなり抵抗を減らしつつ速力と後続距離が増える。「流動床構造で振動とショックを減らす」ことで29SSは静粛性が増すだろう。
ポンプジェット推進.
29SSの推進方式は従来型のプロペラの代わりに大重量ポンプジェットを採用するようだ。ポンプジェットはノイズを生むキャビテーションを発生させないし、高速で静音移動できる。ある筋によれば「13枚羽」のポンプジェットはそうりゅうの7枚羽プロペラより20デシベルも静かになるという。
ただしポンプジェットは高速性能の原子力推進艦に採用するのが通常で米海軍ではヴァージニア級、ロシアはボーレイ級SSBNで採用している。ディーゼル電気推進艦では高速移動で電池を使い切ることはきわめてまれだ。
そうなるとポンプジェット採用で29SSは高速巡航速度を従来より持続する実現する狙いがあると思われる。
高性能新型ソナー
日本は高性能一体型ソナーの開発も進めている。29SSの艦首ソナーは長距離探知に特化して、浅海域沿海部に最適化しているといわれる。特に後者は朝鮮半島沖合の岩だらけの海底地形を考慮しているのだろう。北朝鮮は小型潜航艇多数を運用し探知を逃れるつもりだ。
29SSの艦側面の聴音アレイに光ファイバーソナーを採用し「音波による音の発生ではなく光の干渉作用を探知できる」といわれる。この形のソナーは電磁発信の探知にも効果をしめすはずだ。
その他曳航式ソナーアレイで長距離かつ全方向追尾をし、反転創作ソナーアレイ、ブロードバンド送信アレイも装備する。
各種ソナーの搭載で合成ソナー図が同艦の新型戦闘システムで実現し、標的の移動分析以外に発射解も示せるようになる。
新型魚雷
現時点で29SSの戦闘装備では情報がないが、魚雷発射管は最低でも6本だろう。
.ただし2012年に日本は「高速長距離長時間航行可能」な新型魚雷G-RX 6の開発を開始し標準装備の89式魚雷の後継型式とする。有線誘導も可能な新型システムは水素酸素組み合わせ式の推進機構でステルスとし、おとりと本当の標的をソナーで区別し、弾頭の爆発時間調整により深海、浅海それぞれの交戦に応じた効果を実現する。部隊配備は2030年の想定だ。
29SSに垂直発射セルでのミサイル運用の兆しは見えない。潜水艦にUGM-84ハープーンを魚雷発射管から運用することがあるが、垂直発射セルがあれば連続発射が可能で敵防空体制の圧倒が可能となる。
リチウムイオン電池、新型ディーゼルエンジン、「高性能シュノーケル」
29SSでは大容量リチウムイオン電池(LIB)の搭載を前提の設計となる。潜水艦ブログのピーター・クローツの試算だが新型艦は連続10日間の潜行巡航移動が可能となるという。
ただしスターリング方式AIP搭載の中止で失うものも出る。
LIBsにより艦運用に柔軟度がまし、電池性能を駆使すればディーゼルエンジンを止め原子力潜水艦以上の静粛性が生まれる。
だがLIBのみに依存する潜水艦がバッテリー電源を使い切ると、浮上するかシュノーケルで空気を取り入れディーゼルエンジンで走行する必要がある。この間は脆弱になる。AIP搭載潜水艦は低速なら数週間潜航できるし、原子力推進潜水艦は高速のまま無限に潜航できる。
日本の潜水艦のパトロール範囲は母港から近い場合が多く、この欠点は受容可能なのかもしれない。だが29SSでは浮上に近い位置にとどまる時間を最小限にすべく「より小型で静粛かつ強力な」「シュノーケル発電方式」で空気取り入れと発電の効果を上げるようだ。 
日本ではシュノーケル改良にそうりゅう級で取り組んでいた。LIBは充電時間が短いが29SS搭載の電池容量が大きいがシュノーケル改良でそうりゅう級の公称100分という充電時間をどこまで短縮できるかが課題だ。
.LIBとAIPの組合わせは技術的に可能であり、日本は燃料電池方式のAIPも検討したといわれる。これはそうりゅう級搭載のスターリング方式AIPより静粛性、長時間運転が可能となるのだが、防衛省は開発費用の高騰と長期化につながると判断した。
29SSでは川崎重工製12V25/31S新型長ストローク型ディーゼルエンジンを搭載し発電容量が25%増える。
.前述のコーツは高性能LIB搭載潜水艦でも中国やロシアの原子力推進潜水艦と立ち向かうのは難しいと見る。「LIBを搭載しても日豪の潜水艦では10日おきに騒々しいディーゼルエンジンの稼働が必要となり、その位置を探知されてしまう」
日本では原子力推進方式の実現は可能だが高価につく。韓国は法的制約の中で原子力推進艦の実現を目指すようだが、日本では原子力技術は政治的にも微妙な問題だ。
.今のところ日本は高価にならず高性能の通常型潜水艦の整備を目指している。西太平洋の潜在的勢力の海軍力の増強を鑑みれば海上自衛隊の潜水艦部隊が今以上のステルス性と状況把握能力の向上で対抗する必要があるのは疑いない。■

Kyle Mizokami is a writer based in San Francisco who has appeared in The Diplomat, Foreign Policy, War is Boring and The Daily Beast. In 2009 he co-founded the defense and security blog Japan Security Watch.

コメント

  1. ATLAはまったく研究していない、ポンプジェットのわけがないだろう!

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  2. リチウムイオンバッテリーの大容量化でスターリングエンジン以上のAIP能力を手に入れた、と理解してたんだが違うのかね。

    スターリングAIPで2週間くらいの連続潜航が可能らしいけど、その能力を犠牲にしてまでリチウムイオンバッテリーにするとはおもえないんだが。

    リチウムイオンバッテリーでもフル充電で2週間くらい潜れるってことだよね?

    無論、どちらとも2週間ってのはほとんど動かない待ち伏せみたいな運用で、だろうけど。

    返信削除

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