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Skunk Works' Exotic Fusion Reactor Program Moves Forward With Larger, More Powerful Design
スカンクワークスによる核融合炉開発が進展し、大型かつ高出力化に向かっている
This will be the company's fifth major design iteration as it pushes ahead toward building a potentially revolutionary practical prototype.
同社の融合炉5号機は革命的な試作型製造につながる
BY JOSEPH TREVITHICKJULY 19, 2019
LOCKHEED MARTIN
小型核融合炉CFRの開発を進めるロッキード・マーティンのスカンクワークスが新型かつ高性能の試験反応炉の製造に取り掛かっている。当初予想より進展が遅れているものの同社は依然として意味のある結果が生まれると自信たっぷりだ。実現すれば軍用民生用両面で発電方式を根本から変える効果が生まれる。
CFRの進展についてはAviation Weekが7月19日に報じ、ロッキード・マーティンは最新の試験反応炉T5を建造中とある。カリフォーニアに拠点をおく同社の伝説的なスカンクワークスは高度技術開発を担当し、CFRでも同様に開発に当たりこれまで四種類の反応炉を製造している。事業は2014年に開始されたと一般に信じられている。
「これまでの作業で当社がめざす物理理論の正しさが証明された」とスカンクワークス副社長ジェフ・バビオンがAviation Weekに語っている。「今年は反応炉T5の製造に取り組みT4より大型かつ高出力となります」.
T5の大きな役割はスカンクワークスの反応炉基本設計のままで内部に生まれる高エネルギープラズマの高温高圧に耐えられるかの実証にある。核融合反応ではガス状燃料の温度を上げ圧力を高めて原子構造を崩し粒子を融合し重い核に変える。この過程で大量のエナジーが放出されるので火力発電と同じ原理で発電する。
LOCKHEED MARTIN VIA STEPHEN TRIMBLE
2017年にスカンクワークスが発表sたCFR事業の説明資料より。T5はじめ実験反応炉をもとに実用型の先鞭を切る「TX」試作炉につなげるとある。
「現在の予定では年末までにT5を稼働させます。これにより当社コンセプトで使う物理面の実証が一歩前進します」(バビオン).
CFRの基本原理は同社の特許技術を中心とし、超電導コイルで磁場を形成し熱と圧力を封じ込めたまま反応を進めるもの。ロッキード・マーティンは1920年代に原理が提唱されながら実現を妨げてきた課題が克服できると見ている。
LOCKHEED MARTIN
ロッキード・マーティンのCFRの基本構造図。
数カ国で核融合反応路の建造が試みられているが、いずれも大型で非効率かつ非経済的な結果に終わっている。中国が実験高性能超電導トカマク(EAST)の建造で進展が生まれたと宣伝しているが、2階建てビルでないと収まらない大きさだ。各国共同事業で国際熱核融合実験炉が進められておりフランスで2021年に稼働予定だが重量は23千トンに及ぶ。
反応を封じ込め、しかも持続させるのが最大の難関だ。核融合反応で生まれる高温は華氏数億度に達し、同時に反応炉内部は極度の高圧状態となる。融合反応で生まれるエナジーは水爆に利用している。
強力な磁場の利用が封じ込めの有効手段となっている。トカマク型のEASTやITERは1950年代にソ連で生まれた構想を原型に、核融合研究の主流だが効率は低い。中国はEASTで100秒間封じ込めに成功したと主張している。フランスのトレ・スープラもトカマク型でプラズマ放電封じ込めで6分を超えた程度が世界記録だ。
2014年にAviation WeekがCFR事業統括のトーマス・マクガイヤ博士に取材しスカンクワークスの取り組みを報じていた。
「トカマク型の問題は『プラズマの保持がわずかしかできないことでこれをベータリミットと呼んでいる』とマクガイヤは述べる。プラズマ圧力と磁力圧力を対比するとベータリミットはトカマクで『封じ込め圧力比で5%程度』だという。自転車のタイヤにたとえてマクガイヤは『空気を入れすぎるとタイヤは最終的に破裂します。安全運転のためにはどうしても圧力を近づけられないのです』と述べた。
CFRではこの問題の回避策としてプラズマ封じ込めを画期的な方法にした。チューブ状の輪の中にプラズマを封じ込めるのではなく、超電導コイルを連続で配置し磁場の重心を作りプラズマを反応炉内チャンバーに封じ込める。超電導磁石をコイル内に配置し磁場をチャンバー外部に発生させる。『これまでのところ自転車のタイヤに空気をいれるのではなく、チューブを拡大し強い壁にしているというところです』(マクガイヤ)
システム制御には自律調整型のフィードバック機構を使い、プラズマが多く生まれれば磁場を強めて封じ込める。CFRのペータリミットは1.0となる見込みだ。『100%以上も夢ではない』とマクガイヤは述べた」
ロッキード・マーティンによればCFRはコンテナ内に収まる程度の小型化が可能でニミッツ級空母あるいは80千戸家庭の発電に十分な出力となるという。同社の特許資料によればさらに小型化すれば大型航空機の動力となる。
核分裂を利用する現在の原子力発電所の原子炉で必要な核燃料の数分の一歯科必要としない一方で長期間に渡り核廃棄物は大幅に減る。燃料は精製の必要はなく、取扱に危険は減る。
言うまでもなくこの新技術で既成の電力業界は大きく影響を受けることになり、軍民両面で広く活用されるはずだ。War Zoneでは米軍が求める戦場発電のニーズに適用できると考察している。米軍では小型移動式核分裂炉を実用化してエナジー確保を検討している。CFRが実用化されれば遥かに安全かつ効率がよい代替手段が生まれる。
残念ながらスカンクワークスで進展があったとはいえ、多くの疑問点がのこったままで新型反応炉構想で技術課題が満足させられるのか不明だ。ロッキード・マーティンは実用に耐える試作型が今年あるいは来年には実現すると当初は述べていた。
だが2017年に入り工程表に変更が入り、2020年代中頃に変わった。今回のAviation Week取材でもバビオンは同社がTXと呼ぶ実用炉の予想時期を明らかにしていない。
LOCKHEED MARTIN
スカンクワークスでCFRチームが実験炉制作にあたる。
スカンクワーク最大の難関は「小型化」の実現だ。バビオンも実用水準まで性能を引き上げれば物理的に大きくなることを認めている。
「高出力化をめざし都市一個分の発電需要に応えるのが課題です。簡単な課題ではないのですが可能性が広がってきました」(バビオン)
いまわかっているのはロッキード・マーティンがテスト用反応炉を製造中で、発電の概念を根本的に変える可能性を秘めた同事業に全力で取り組んでいることだ。■
Contact the author: joe@thedrive.com
コメント 2014年からのスタートだったのかわかりませんが、開発には苦労しているようです。世界の常識を破る技術だけにその去就が注目されますが、成功すればロッキードは将来エナジー企業として一挙に世界のトップに躍り出ることもありえます。日本では原子力アレルギーが定着しており、核分裂と核融合の区別もできないまま、世界の趨勢から取り残される可能性もありとても心配です。発電容量に制約がなければ一挙に電動航空機の大型化もありうるでしょう。
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