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グローバルホーク撃墜後もISR活動は続けると強気の米軍だが、非ステルス無人機による飛行には限界があるのではないか


Drone Shoot-Down Won’t Stop U.S. Patrols Near Iran


by David Axe 
July 1, 2019  Topic: Security  Region: Middle East  Blog Brand: The Buzz  Tags: IranMilitaryTechnologyWorld


ランが米海軍所属のグローバルホーク偵察無人機をホルムズ海峡上空で2019年6月20日に撃墜したが、米軍は戦略的に重要な同海峡付近の監視偵察を止めるわけにはいかないと関係者が口をそろえて述べている
空軍退役中将デイビッド・デプチュラは空軍協会のミッチェル研究所長を務めており自分だったらグローバルホークを「全く同じ飛行経路に」追加投入するとAir Forceマガジンに述べている。「恐れおののいてはだめだ」という。
ノースロップは2008年から広域海洋監視偵察実証機(BAMS-D)をグローバルホークを原型に4機生産した。米海軍はうち2機をアラブ首長国連邦に展開し、完全仕様のMQ-4C海軍用機材の2019年からの納入に備えていた。
BAMS-Dは最大65千フィートを飛行し大半の防空装備では手が出ない空域を飛ぶが亜音速でステルス性が欠如しているため強力な地対空ミサイルの前に餌食となる。イラン軍はブクM1移動式SAMの一種でBAMS-Dを撃墜したと主張している。イランにはこの他S-300防空装備もある。
空軍参謀総長デイヴィッド・ゴールドフェイン大将はおなじくAir Force誌に、米軍機材は今後もペルシア湾のパトロールを継続すると2019年6月26日に述べている。
「必要な場所への飛行は続ける。必要とあればあらゆるシナリオを実施する」とゴールドフェインは述べている。「国際空域ならいかなる場所でも同じ主張をする。全世界が共有するグローバルコモンズは今後も守る。必要ならいかなる場所で活動する」
デプチュラはペンタゴンは「戦闘機、爆撃機、ISR機材と高度脅威空域での活用を念頭に開発されてきた旧思想下の装備」は近代化が避けて通れないと指摘。
「航空優勢が確立している空域でしか活動できない性能はこれまでは当たり前と見られてきたが今回の撃墜で二流国の軍事力でもこうなることが判明した」(デプチュラ)
米軍には極秘機材もあるがこれを除けば低速、非ステルスの有人無人機に情報収集開始偵察(ISR)任務を大幅に依存している。こうしたISR機材はイラン、中国、ロシアの防空体制の近代化の前に脆弱になっている。
米空軍のU-2有人スパイ機、RC-135有人電子偵察機、E-3有人レーダー機材、RQ-4、MQ-9の各無人機、ここに海軍のMQ-4やP-8哨戒機を加えると数百機が軍事用語では「非突破」機材つまり全てハイエンド防空体制の前に無力だ。
敵防空網を突破可能な米ISR機材には亜音速RQ-170とRQ-180の両ステルス無人機が少数あるのみと判明している。有人機材で唯一突破可能だったSR-71は1990年代後半に空軍から退役している。
空軍もこの問題は意識しているようで2018年末に新ISR戦略を発表し、残存性の高い機材の必要性を訴えていた。
「ISR機材の構成でバランスをとり、高度の脅威環境への対応できる能力が必要だ」とダッシュ・ジェイムソン中将が米空軍のISR担当参謀次席として述べていた。「将来はマルチドメインでマルチ情報収集の世界になるので、政府と民間業界が連携して新しい情報収集のインフラを作る。それは復元力があり、一貫性があり敵領空への侵入が可能となり、紛争時に各種の選択肢を提供してくれるはずだ」
生存性への懸念から空軍は2018年中頃に70億ドル規模のE-8対地監視機の後継有人機の模索を中止している。そこで大型で低速の非ステルス機のかわりに空軍は高性能戦場管理システムと呼ぶ機能を消耗品扱いの無人機や超音速ステルス戦闘機に実現させる。
2019年初頭にワシントンDCのシンクタンク戦略予算評価センターが空軍に提案しており、内容は偵察飛行隊を現状の40隊から33に削減し、旧型非ステルス機材を新型突破可能ISR120機に置き換えるもので大部分が無人機だった。■

David Axe serves as Defense Editor of the National Interest. He is the author of the graphic novels  War Fix, War Is Boring and Machete Squad.

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