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ロシア機へ警告射撃してしまった韓国空軍の行為は正しかったのか

Warning Shots Fired At Russian A-50 AEW Aircraft That Allegedly Violated South Korea’s Airspace

韓国領空を侵犯したロシアA-50AEW機に警告弾を発射


A file photo of a Beriev A-50 Mainstay. (Image credit: Aktug Ates via Wiki)


シア空軍と韓国空軍(ROKAF)間できわめて緊張の高い「接近遭遇」が本日発生した。

7月23日、ロシア空軍のA-50メインステイ空中早期警戒機が日本海上空で韓国領空を2回にわたり侵犯した。ROKAFはジェット戦闘機をスクランブル発進させ侵入機に警告弾280発を発射したと韓国統合参謀本部(JCS)が発表した。

発生場所は韓国が実効占拠する独島(竹島)付近で韓国領空を侵犯した外国機へ韓国が警告射撃をした初の事例となった。

同日にはそれ以前にロシアのTu-95爆撃機2機と中国のH-6爆撃機2機が韓国防空識別圏(KADIZ)に侵入している。このうちロシア爆撃機編隊は午後にも事前通告なく再度KADIZに侵入している。

ロシアは領空侵犯の事実を否定しており、逆に韓国パイロットが無謀な行為に走ったと非難している。

ただし領空とADIZには大きな違いがある。

ADIZは一国の領土を取り巻く空域であり、陸地上空または海上を飛行する航空機は所属、位置、意図を安全保障上の要求に応じ明らかにする必要がある。逆に言えば許可なくこうした空域を飛行すればQRA(迅速対応警戒)にあたる戦闘機から正体を明らかにするよう求められる。ADIZは自国領空の周囲に広がり、国際法の規定を受けず、いかなる航空機もに侵入すれば飛行は追跡され飛行経路の連絡を求められる。軍用機で侵入の意図がないものには所属の明示は求められず、ADIZの取り決めに従う必要もないが、軍用機でADIZ内を飛行するものに迎撃機を送り正体を探知しエスコートするのは通例である。

領空は一国の主権が及ぶ空域であり領土や12カイリ領空の上空となる。

領空侵犯はADIZ侵犯より頻度がはるかに少ない。6月20日にロシア軍の2機がKADIZに侵入しその範囲内に約30分とどまった事例がある。他方でロシア爆撃機がアラスカのADIZに接近したり侵入する事例が度々報じられている。

本日発生の事案については韓国の聯合通信が以下伝えている。

シア軍早期警戒機がKADIZに09:01に侵入し8分間飛行を続けた。

空軍は直ちにF-15KやF-16Kを発進させ作戦マニュアル通りに警告メッセージを送った。だが問題の機は応答せず、空軍機は警告としてフレア弾10発、警告弾80発を発射した。とJCSが発表。

ロシア機は3分後に移動しKADIZを9:15ごろに退出した。

だが9:33ごろ、再び韓国領空に同機が侵入した。今回はより強硬な軍事行動として280発の警告射撃をしたところ、4分後に同機は空域を去り、最終的に9:56に防空識別圏から出た。

これとは別に6:44ごろ中国のH-6の2機編隊がに北西から侵入しおよそ30分間KADIZ内を飛行した。

7:49に両機は再度防空識別圏に侵入し30分間とどまった後に北方向へ離れた。

この中国機にロシアTu-50の2機が合流し、一緒に日本海上空を南方へ移動した。4機はKADIZに8:40ごろ25分間にわたり侵入した、とJCSは発表。

同日13:11ごろ、ロシア爆撃機2機編隊が再度KADIZに侵入し、27分後に離脱した。

合計でロシア機はKADIZに93分間、中国機は85分間侵犯したことになる。


韓国軍によればロシア機中国機は共同訓練を実施した模様で、極めて異例の事態だ。

ベリエルA-50メインステイがロシアのベア爆撃機の長距離パトロール飛行に随行することはよくある。アラスカでも2017年5月の事例があった。

メインステイは過小評価してはならない。フランカーやベアのはるか後方を飛行するのは意図がある。AEW機としてA-50にはESM(電子支援装備」が搭載されているはずだ。いいかえると遠隔地目標を探知したりレーダーや通信、データリンクの発信を探っているはずだ。さらにQRAで出動したラプターは外部追加タンクやリューネブルグレンズを搭載するのが「通例」で、意図的にレーダーに映るようにしている。その場合のF-22は本来の姿と異なるがメインステイは同機のレーダー発信特性をいくらかでも把握できるはずだし、戦術面を観察できる。

冷戦終結後に両国の遭遇事案が発生しているがロシアは長距離攻撃ミッションのシミュレーションとともに精密なELINT電子偵察の意図があるのはあきらかだ。フランカーやベアは「おとり」となり米側のスクランブル戦術を探り可能な限りの信号やデータを米戦闘機のスクランブルから集めるのが目的だろう。

ADIZへの侵入あるいは接近するフライトは世界各地で多数発生している。主権の及ぶ領空への侵入は稀有でありより危険だが、迎撃機の警告発射は事態をエスカレートしかねずこれも稀有な事態であった。■

コメント 今回の実弾発射事案は異常です。先回のレーダー照射事案と通じる異常な精神の片鱗が認められます。常軌を逸したというところでしょう。ロシアも中国も完全に韓国をなめてきましたので韓国パイロットは独断で実弾を発射したのでしょう。こういう事態に後方からの統制はきかないようですね。今後大きな国際問題に発展するかもしれません。なお、原文では日本海のかわりにEast Seaとありますが、個々では日本海とさせていただきました。

コメント

  1. ぼたんのちから2019年7月24日 9:51

    非武装の大型機に対し、2回も威嚇射撃を行うことは常識を疑う。韓国空軍はこのようなケースで余裕を持てなくなっているようだ。竹島のような小さな島では領空範囲も狭く、侵犯した機は短時間で通り過ぎるはずだ。
    韓国軍の余裕の無さは全軍に拡がっているようだ。昨年12月の海自P-1へのレーダー照射も異常な、通常あり得ない事態だ。韓国軍の異常事態はなぜ続くのか。
    韓国政府の北朝鮮に対する宥和政策により、韓国軍の対北朝鮮の緊張は緩むはずであるが、現実はその反対のように見える。
    P-1へのレーダー照射は、韓国の駆逐艦、巡視船と北朝鮮のスパイ船との邂逅を探知され暴露された失態の悔しさをレーダー照射で表現したものであろうが、この邂逅の目的は韓国の国家機密の「瀬取り」でなかろうか。また、なぜタイミング良くP-1が邂逅場所にあらわれたか、この事件は裏の裏がありそうだ。
    さらに気になることがもう一つ。北朝鮮は今年5月にイスカンデル短距離弾道ミサイルを発射し、このミサイルはロシア製、あるいはコピーと推測されているが、韓国にもイスカンデルのコピーがあり、簡単に見分けがつかない。
    北朝鮮ミサイルは、発射後、吊り下げ用クランプを爆薬で取り外すタイプであり、ロシアと同じであるが、ロシア製はクランプがずれない様にミサイル本体に溝があるが、北朝鮮のミサイルは溝が無いように見える。韓国製イスカンデルは、発射方式が異なるので、クランプや溝は必要ない。このことから類推するのは、韓国がミサイルを横流し、あるいは技術供与し、北朝鮮はロシア方式の発射装置でミサイルを発射し、実験したということだ。
    これらはあくまで推測であるが、このような可能性があることを念頭に置いて、最近の韓国軍の「異常さ」を理解すべきなのだろう。

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