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イラン攻撃を睨んだF-22の中東展開ほか米中央軍の最新状況


U.S. Air Force Stealth F-22 Raptors Are Now In Position To Attack Iran

米空軍F-22ラプターがイラン攻撃可能な位置に配備された
by David Axe 
June 29, 2019  Topic: Security  Blog Brand: The Buzz  Tags: QatarF-22MilitaryTechnologyWorldStealthAir Force

空軍が2019年6月27日、F-22ラプターステルス戦闘機部隊をはじめてカタールに展開しイランとの衝突に備えた戦力増強の一部とした。
米空軍はカタールに何機移動したか述べていないが、「FF」のテイルコードの機体12機を視認したとのカメラマン報告がある。FFはラングレー空軍基地(ヴァージニア)の第一戦闘航空団を意味する。
アラブ首長国連邦に今年4月から展開済みのF-35とともにF-22が投入可能となる。
ラプターはUAEからペルシア湾上空を飛行しシリア、イラクへ展開したことがある。だが2019年3月に発生した即応体制危機で全機を一旦米本国へ戻していた。
F-22は2005年に実戦化したが平均稼働率はやっと5割といったところで米戦闘機機材中で最低を記録している。複雑な機内システムやレーダー波吸収塗料のデリケートな取扱のため大掛かりな整備を必要としている。
ハリケーン・ミッチェルもあった。2018年10月の暴風雨でティンダル空軍基地のあるフロリダは大被害を受けた。ティンダルに飛行隊2個55機のF-22が展開していたが暴風雨前に移動できたラプターは38機にとどまり、残る17機はハンガー内に残り一部に損傷が発生した。
全部で187機のF-22ではジム・マティス前国防長官が求めた即応体制8割の目標が達成できていない。.
マティスは空軍、海軍、海兵隊のF-15、F-16、F/A-18、F-22、F-35の各飛行隊にミッション実行可能状態80%を2019年9月末までに達成するよう求めた。
2019年3月に当時の空軍長官ヘザー・ウィルソンからF-22で目標実現が困難との注意喚起が出た。三ヶ月後にヒース・コリンズ准将(空軍の戦闘機爆撃機の運用担当責任者)がこの事実を公表した。
即応体制に疑問が残るもののF-22は配備を確実にこなしてきた。第三航空団はアラスカでの演習で2019年3月に配備中の48機中24機とE-3レーダー機材、C-17輸送機を迅速に発進させている。
エルメンドーフ空軍基地で「エレファントウォーク」が見られた。演習では前方配備能力や圧倒的な戦闘空軍力の展開能力を実証した。
カタール配備のF-22はイラン攻撃可能な位置にある。ペンタゴンは2019年のタンカー数隻への攻撃はイランの関与と断言している。2019年6月19日にイラン軍が海軍の偵察無人機をホルムズ海峡上空で撃墜した。
トランプ大統領は報復のため空爆とミサイル攻撃を命じたが突如取り消した。大統領としてはイラン攻撃の可能性は残しておきたかったのだろう。トランプはFox Businessでのインタビューで「このまま長くは続かない。断言できる」と述べていた。「地上部隊の投入は言及していない。百万名も部隊派遣はないが何かは起こる。まもなくだろう」
すでに大規模な部隊展開が短期間のうちに進んでいる。2019年3月にB-52爆撃機4機がカタールに派遣され現地でF-35等の部隊に加わった。
F-35はイラクで戦闘任務に投入されている。B-52はイラン付近で示威飛行を行っている。トランプ大統領からイラン攻撃の命令が下ればB-52は巡航ミサイルを安全な距離から発射し、F-35は近距離でGPS誘導、レーサー誘導爆弾を投下するだろう。.B-2ステルス爆撃機はミズーリ州から大西洋横断し空爆作戦に投入されるはずだ。.
空母USSエイブラハム・リンカンは2019年6月26日時点でペルシア湾にあり護衛に巡洋艦一隻、駆逐艦4隻を伴っている。リンカン搭載のF/A-18E/F40機がイラン空爆に加わるとしてもステルス性がないためイラン防衛軍に位置を露呈するだろう。
リンカン戦闘群の護衛艦艇はトマホーク巡航ミサイルを搭載している。トランプはこれまで2回シリアの化学兵器生産施設に限定ミサイル攻撃を命じたが、毎回水上艦からの発射だった。
イランも米空爆に無防備な状態ではなく、海軍無人機撃墜ですでに能力を実証している。イラン軍と革命防衛隊の民兵組織はロシア製のS-200、S-300対空ミサイルを運用し、戦闘機には1970年代に米国から取得したF-14を近代化した機材も含む。

F-22にシリア、イラクと同様の任務をイランで実行させた場合、他の機材向けに防御態勢をしきながらGPS誘導爆弾で敵防空体制に穴を開けるのが役目となろう。■

コメント

  1. ぼたんのちから2019年7月2日 11:30

    米国のネオコンの残党が、イランとの戦争を画策しているとの記事が出ているが、全面戦争を起こすほどの力は米国に無い。もちろんイランもそのような愚かな行動に走らないだろう。
    せいぜいこの記事で書かれているような米軍による限定的、報復的攻撃が起きる可能性がある。イランは、イスラム指導部の同意の下、革命防衛隊(IRGC)が挑発的・限定的攻撃を再度起こすかもしれない。そしてイランがこのような瀬戸際政策を起こす背景にやはり核武装の追求があるのかもしれない。
    最近のトランプは、再選のための国民受けを意識してか、劇場型行動を好むようだ。イラン攻撃直前の停止命令、日米同盟の破棄意見のリークや北朝鮮の金とのサプライズ(?)会見がそれであり、実質的効果が薄いにも関わらず、効果的にメディアを使って脅迫的・欺瞞的な影響を与えている。
    このように見てみると、現在の国際政治はさらに流動化しており、相手国の意図を誤認すると大規模な戦争が起きる可能性さえあり、その状態はしばらく続くと推測する。世界を見渡すといまのところ日本が一番安定しているように見えるが、将来は多くの困難が伴うことは間違いないと思われる。

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