要は年末に連邦政府の予算がパンクし、政府機能が停止する事のないように議会と大統領で予算をさらに削りましょう、ということなのでしょうが、500億ドルというと一兆円を超え、あちこちで削りに削る構図は予算の辻褄合わせの観があり、大局的な国防のあるべき姿を誰も見ていない証拠ですね。この影響が数年間に渡りじわじわと出てくるのではないでしょうか。
Defense Bill Falls $5B To Meet Budget Deal
By Joe Gould, Lara Seligman and Jen Judson 4:15 p.m. EST November 3, 2015
WASHINGTON — 米議会は2016年度国防政策予算を50億ドル削減し、大統領との間で成立した予算合意内容に合致させる。このうち26億ドルは調達事業の「調整」用となることが判明した。
- 削減は各種事業にわたり数十億ドル相当の「痛み」が発生すると、下院軍事委員会委員長ウィリアム・「マック」・ソーンベリー議員(共、テキサス)が述べている。2016年度の国防権限法(NDAA)の総額は6,120億ドルが6,070億ドルになる。
- 予算節約は上下両院の協議で決まったとソーンベリー委員長は述べた。削減対象のリストが下院軍事委員会に非公開審議の席に提出されている。
- 国防関係の専門家筋には歳出決定関係者が協議し最終的な支出案を12月11日までに可決して政府機能の停止を避けるとの見方があるが、50億ドル分が本当に捻出できるかはっきりしない。
- 最大の節約効果が燃料費支出で発生しおよそ10億ドルが燃料価格低下により生まれる。これは16億ドルの「現状調整」の一部となり、その他契約関連の履行遅延分を含む。またおよそ110百万ドル分の燃料費節減効果はアフガニスタン治安維持軍用予算分で発生する。
- 議会両政党は特殊作戦部隊をイスラム国との戦闘用に北部シリアへ派遣するオバマ大統領案に批判的で、対テロ相互関係予算のうち250百万ドルを削減しており、シリア向け訓練装備供与事業では125百万ドルを削減している。後者はペンタゴンが事業中止を10月に発表済みだ。
- NDAAは当初の削減幅よりさらに453百万ドルを上乗せしており、国防総省全般に影響が出る。
- このうち海軍が削減の影響が一番少ない。海軍で最大の削減対象は400百万ドル増額を要求していたDDG-51駆逐艦建造が150百万ドル減額になることだ。NDAA原案では同事業には35億ドルを想定していた。
- 空軍では長距離打撃爆撃機事業で230百万ドル減額となるのが最大で、契約交付が遅れたことが理由だ。2016年度予算策定ではすでに同事業を460百万ドル削減することが先に決まっており、ここに上乗せされる。ペンタゴンはついに同事業の選定結果を先週公表し、ノースロップ・グラマンが契約企業に決まったが、LRS-B事業全体は1,000億ドル規模になる見込みだ。
- 議会はさらに20・5百万ドルを長距離スタンドオフ兵器開発事業で削減した。これはLRS-Bはじめ空軍の爆撃機全部に搭載されるべく開発中のもの。実現すれば現行の空中発射巡航ミサイルと交代し、核・非核両用で対応可能となる。
- NDAAによる削減では各軍の航空機整備事業に広範な影響が出る。MQ-9リーパーは80百万ドル、C-130改修は51百万ドル、H-1ヘリコプター改修は5百万ドル、F-15改修は10百万ドルそれぞれ減額されている。
- 陸軍では目立った削減は受けていなかったが、議会は陸軍即応体制関連予算を250百万ドル削り、かわりに192.6百万ドルを州軍即応体制予算に振り向けた。
- この予算カットは陸軍参謀総長マーク・マイリー大将が即応体制について言及した直後に決まった。大将は戦闘訓練を受けた兵員が陸軍の最大優先項目だと陸軍の規模縮小が進む中で発言していた。
- 「数も重要だが、もっと重要なのは能力であり即応体制だ」とマイリー大将は2日に公開フォーラムで発言していた。「質的な優位性を確保したい。量的な優位性ではない。両方あるのが望ましいのだが、実際の戦闘では質的優位性のほうが大きな効果を生む」.
- NDAA原案では州軍及び予備役の装備調達予算を増やしていたが、現在の法案では逆に170百万ドル削減する。それでも大統領原案よりも250百万ドル増えている。.
- 議会は通信ネットワーク関連予算をさらに削る構えだ。陸軍の分散型共通地上通信システムでは10百万ドル、携帯型戦術指揮命令通信装備では5百万ドル、中間ネットワーク車両通信では89万ドルをそれぞれ削減している。
- 陸軍のミサイル開発がNDAAの新規削減対象になった。議会筋はNDAA原案で増額していた予算を削減することとし、ペイトリオット高性能化(PAC)-3ミサイルの部分性能向上事業で100百万ドルを削減。NDAAが削減をさらに進めると共用空対地ミサイル事業でも契約交付の遅れを理由に8百万ドルが削減される。
- さらに50百万ドルが最終段階高高度地域防衛システム(THAAD)で削減される。THAAD迎撃体の生産は2015年度に予定より遅れている。ミッションコンピュータのメモリーカードで問題が発生したためで、予定より7ヶ月遅れる結果になったとミサイル防衛庁は発表している。ロッキード・マーティンは迎撃体で予定44セットのうち3セットしか納入できていない。■
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