石油価格の低迷で経済が苦しいロシアとしては軍事装備ぐらいしか輸出品がないので、中国向けのスホイ輸出はなんとしても実現したいのでしょう。背に腹は代えられないとはいえ、わずか24機だけの輸出はどう見ても胡散臭く、これまでの苦い経験から今回の最新鋭Su-35には安易なコピーを防ぐ工夫があるのではないでしょうか。日本にも火の粉がかかりそうな案件で目をそらしているわけにはいきませんね。
Russia-China Su-35 Deal Raises Reverse Engineering Issue
By Wendell Minnick 8:12 p.m. EST November 20, 2015
ロシア製Su-35多任務戦闘機の初の輸出先は中国となったが、中国が同機技術をリバースエンジニアリングするのではとの懸念が出ている。前例があるためだ。
- 商談は20億ドルで24機売却でまとまったとロシア日刊紙コメルサントおよびTASS通信が伝えている。
- 中国は2006年から同機に関心を示してきたが、2012年珠海航空ショーで導入を真剣に考えているとロシア側が理解した。Su-35は2014年珠海ショーに展示され、契約成立は時間の問題と言われてきた。
- 中国は商談成立を確認していないが、政府系メディアの環球時報が契約調印を重要な一歩とみる中国航空軍事専門家の見解を紹介している。
- 実は中国向け機体の製作は正式契約調印前から始まっていると明かすのは中国軍事関係の専門家ワシリー・カシン(戦略技術分析センター)だ。
- 「引き渡しは来年遅くにはじまり、最終号機は2018年あるいは2017年遅くには納入されるだろう」とカシンは言う。契約は技術移転は含まないが、ロシア側は「中国製コックピット装備」の一部使用を認めているという。
- しかし24機しか調達しないことが逆に中国がリバースエンジニアリングで同機をコピーするとの観測を呼んでいる。Su-27Kの前例がある。1995年に中国は25億ドルを出して生産ライセンスを得てSu-27Kを200機生産することとした。同機はJ-11Aの呼称が与えられた。2006年にロシアは契約を破棄している。95機が完成した時点で中国がリバースエンジニアリングし、秘密のうちにJ-11Bとして中国製エイビオニクスと兵装を搭載して生産している。
- またSu-35が搭載する高性能エンジン、サトゥルンAL-117Sを中国がJ-20ステルス戦闘機に転用する恐れもある。なお同エンジンはロシアのステルス戦闘機T-50も搭載する。
- 「中国が24機購入する理由は技術を自分のものにするためだろう」と語るのはロジャー・クリフ(アトランティック・カウンシル主任研究員)だ。「Su-35の機体構造はSu-27やSu-30とさして変更がない。中国は両方とも導入済みだ。むしろ新技術として推力方向変更やパッシブ電子ッスキャンアレイレーダーや赤外線探知追跡システムを狙っているのでは」
- これに対しロンドンの国際戦略研究所の軍事航空担当の主任研究員ダグラス・バリーは中国がSu-35を小規模導入する理由は「比較研究をするため」だという。瀋陽J-11Dの開発が進んでおり、Su-35とほぼ同等になる見込みだ。中国空軍は両機種を逐一比較できるわけだ。
- 「エンジン技術の入手以外にも中国はSu-35の兵装技術にも触手を伸ばすだろう」(バリー)
- カシンはSu-35の内部構造に触れることは中国には大きなチャンスになると見る。Su-35はSu-27ファミリーの集大成であり、機体を改良し新型エンジン、新型エイビオニクスやレーダーを搭載する。これに対し中国のJ-11Dもアクティブ電子スキャンアレイレーダーを搭載する。
- カシンは「中期的には中国の空軍力整備には同機ファミリーの発展のほうがステルス機より重要だ」とJ-31やJ-20を念頭に発言。「Su-35飛行隊はこれからの大型戦闘機の方向性を示すものだ。どこまで国内調達でき、ロシアからの支援が必要な分野はどこかがわかるはずだ」
- クリフは新著で中国軍事力の現状と将来の評価をしており、Su-35導入で中国の技術獲得が心配されているが、一気には実現しないとみる。
- 「新技術導入の搭載例を購入しても自国で技術をものにすることにつながりません」という。その好例がAL-31エンジンでSu-27、Su-30が搭載している。
- 「中国はこのエンジン技術の研究をこの20年以上できたのに、いまだに国産高性能ターボファンエンジンを実用していません」■
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