ロシア軍の装備近代化がペースを上げています。その影響は近いうちに日本周辺にも現れるでしょう。とりあえずは既存の長距離爆撃機のELINTミッションが日本列島を取り囲む形で増えていることが気がかりです。そのあとにはPAK FAことT-50ステルス戦闘機が本当に実戦化されるかが注目ですね。
Pace Of Russian Rearmament Quickens
By Maxim Pyadushkin
Source: Aviation Week & Space Technology
December 16, 2013
Credit: Sukhoi
ロシア防空装備の近代化が進行中。中でも空軍は今後10年で4.5兆ルーブル(1,360億ドル)を投入し、旧ソ連時代の装備を一新する。
- 空軍は2020年までに機材の7割を交代させ、スホイT-50(F-35に匹敵する高性能機)、ステルス長距離爆撃機を調達するほか、地対空ミサイルも新型に切り替える。しかし、構想の資金裏づけが非現実的との指摘もある。
- 今のところ資金注入は予定通り進んでいる。プーチン大統領は軍関係者、メーカー幹部による説明を受け2010年に作成した調達案を先月下旬に承認している。説明会は調達案を公開方式で検証する初の例となり、ロシア経済の低迷とは裏腹に軍備拡張が順調に進んでいることを示した。.
- プーチン大統領によれば今年の空軍は固定翼機86機、回転翼機は100機を新規調達しているという。2014年は固定翼機は120機、ヘリコプター90機になる。これに対し2011年12年の合計で263機だった。
- 空軍の目論みは2020年時点で新型機比率を全体の7割1,600機にすることだ。
- 空軍が発注しているのはスホイSu-34戦闘爆撃機、 Su-30M2/SM多用途戦闘機であり、セルゲイ・ショイグ国防相Defense Minister Sergey Shoigu によれば今年はSu-34一個連隊を編成する。ボリソグレスクの訓練基地にはヤコブレフYak-130ジェット練習機の導入が始まっている。.
- 合同航空機製造会社 United Aircraft Corp. (UAC)のトップ、ミハイル・ポゴシャンMikhail PogosyanによればスホイT-50の公式性能評価テストが空軍で2014年に始まる。第一段階は2015年に完了するという。試作型5機合計の飛行回数は450回という。ロシア国防省より次期長距離爆撃機の性能要求が同社に9月に提示されている。
- 空軍は PAK DA プログラムでステルス爆撃機の開発を期待して、現状のツボレフTu-160ブラックジャック、Tu-95ベア、Tu-22M3バックファイヤー各爆撃機と2025から2030年にかけて交代させたい意向だ。一方稼働中の爆撃機には新型エイビオニクスや空中発射兵器を搭載し性能向上を図っている。UACではTu-160およびTu-95の改修型の工場内試験を完了し、空軍による公試用に機体を引き渡している。
- また空軍の空輸能力向上も調達計画の狙いだ。UACは11月にIl-76MD-90Aの公試を完了した。同機はIl-76輸送機の近代化改修型で最大離陸重量210トン、最大着陸重量170トン。空軍は39機発注しており、改修はすべてロシア国内で行う。同機の旧型はウズベキスタンで生産されている。UACは中型輸送機開発をインドと共同で開始している。
- 他方で防空軍にはS-400(SA-21グラウラー)長距離防空、弾道ミサイル迎撃ミサイルシステムが導入されている。今年は2個部隊に供給され、来年はさらに3部隊に納入するという。メーカーのアルマズ・アンティ Almaz-Antey は次世代モデルS-500を開発中で、2014年から性能実証を始めるとプーチン大統領が発表。
- 陳腐化してきたS-300PTおよびPS(SA-10グランブル)がこれまでの防空兵器でもっとも多く配備されてきたが、S-350ヴィチャーズ Vityaz 中距離移動型SAMに更新される。同ミサイルは今年夏に存在があきらかになったばかりで、これも2014年中に性能公試を完了し、2015年か16年より納入開始となる。.
- 防空軍には早期警戒レーダー網の拡充でミサイル対応力が増える。現在運用中のボロネーズ Voronezh ・モジュラー式レーダー基地が現在の三箇所から今後5年以内に7箇所に増える。.
- ただし国防アナリストの中には軍備更新案の実施に懐疑的な向きが少なくない。「予算が十分についても完全実施はありえないだろう。というのも必要な軍事産業施設の近代化と関連法規制が追いつかないため」と言い切るのはモスクワの国防シンクタンク 戦略・技術解析センターの副所長コンスタンティン・マキネンコ Konstantin Makienko, deputy director of the Center for Analysis of Strategies and Technologiesである。
コメント
コメントを投稿
コメントをどうぞ。