スキップしてメイン コンテンツに移動

特報 RQ-180ステルスISR無人機登場

Where Does RQ-180 Fit In Stealthy UAS History?

By Amy Butler abutler@aviationweek.com, Bill Sweetman william.sweetman@aviationweek.com
Source: AWIN

aviationweek.com December 06, 2013

イランが自国に侵入した米無人機を捕獲したと国営テレビで誇らしく宣伝したのは2011年12月のことで、その機体はロッキド・ーマーティンRQ-170センティネルで、米空軍がその二年前に存在を公表していた。
  1. だがRQ-170の存在は完全に秘匿されておらず、アフガニスタンからパキスタン、イラン上空に向けて飛行していたことが知られており、2008年にはカンダハール空軍基地で写真が撮影されている。さらに2011年のオサマ・ビン・ラディン殺害作戦にも同機が関与している。
  2. 同機が捕獲された事件にペンタゴンは黙殺を通した。その理由がいま明らかになった。国防関係、情報関係筋によればセンティネルは特定のミッションを意識し迅速に機体を開発プロジェクトの成果でそもそも長期間の運航は想定していなかったという。だが新型UASの存在があきらかになった。ノースロップ・グラマンRQ-180である。
  3. 同機のなりたちを理解するためには米空軍の描く無人機ファミリー開発計画を理解する必要がある。その一角に長距離攻撃ならびに情報収集監視偵察(ISR)用機材が含まれている。
  4. RQ-180の公表で空軍は次世代爆撃機(NGB)で想定されていた要求性能水準を引き下げることが可能となる。NGBは高コストが理由で2009年に中止され、その後を継いだ長距離打撃爆撃機(LRS-B)はコスト切り下げを目的に開発中でRQ-180初めとする無人機ファミリーと共通運用が想定する構想がある。
  5. ノースロップが同機開発契約を交付されたのは2008年であったと思われる。米空軍は当時の国防長官ロバート・ゲイツからイラク・アフガニスタン作戦でのISR機能の不足を指摘されていた。一方では防護が堅い北朝鮮やイランで情報不足が国防関係、情報機関で痛感されていた。
  6. 同時に空軍と海軍の間で共通ステルスUASを開発し、ISR任務と攻撃任務を陸上発進、艦上運用させる構想が挫折している。この構想は共通無人戦闘航空機システム(J-UCAS)と呼ばれ2005年に放棄された。海軍は独自に空母搭載型ISR機材を求めX-47BとしてUCAS実証機を完成させ、現在はその発展形として無人艦載情報収集攻撃機(Uclass)としてが開発中である。空軍は独自に極秘計画を進めており、その一端がRQ-180なのだろう。
  7. 現在は国防支出へ厳しい注文がついているが、RQ-180は順調に開発が進んでいる。極秘プロジェクト予算の削減はその他公表済み計画ととの比較では同じ率だと空軍長官代理エリック・ファニングは説明してる。「空軍入りしてはじめて極秘開発機を近くで見る機会隣、これまでの投資がうまく成果をあげていることがわかった。公表ずみ機材で削減した予算を極秘機開発に利用している」.
  8. イラク・アフガニスタンでは同盟側空軍部隊には地上からのたいした脅威は存在せず、米く群はISR機材にはステルス性を必要とせずビーチクラフトキングエアを回想したMC-12Wプロジェクトリバティやブルーデビル1情報収集機材で十分だった。
  9. 米空軍空中戦闘軍団司令官マイケル・ホステッジ大将は「信じられないほどのISR能力の機材を開発した」と9月に発言している。従来機とはちがい、強固な防衛体制をかいくぐる能力が必要となったのだという。
  10. マッハ3飛行ができるSR-71が1998年に現役を退くとペンタゴンには防衛体制が整備された敵上空を飛行して情報収集できる機材がなくなった。対空兵器の射程距離が長くなり、防空体制が統合される傾向の中で、高コストのブラックバードが博物館入りしている。1999年はRQ-3ダークスターUAS開発中止の年となっている。同機はロッキード・マーティンとボーイングが共同で開発していたが飛行安定性で問題が見つかったため防空体制が整備された空域での長時間作戦は実施で機体と判断されたのだ。
  11. 衛星により敵地の状況を探ることができるとはいえ、滞空して柔軟に運航できる航空機の能力はない。航空機の場合は飛行経路を変更して衛星の欠点である視覚の傾斜をある程度緩和できる。また敵側は衛星の通過時間を予測して偽装を行うことが可能だ。
  12. 超高速飛行が可能な機材の開発はロッキード・マーティンのSR-72含め開発が続いているが、調達の誤算や高リスク技術の導入には政策立案サイドはもううんざしている。
  13. そこでRQ-180がまもなく実戦配備になれば空軍がノースロップグラマン製グローバルホークで突如方針を変更した理由に根拠を与えることになる。同機は空軍のISR機材開発の中心的存在と一時は見られていたが、ブロック30が有人型U-2の後継機種と注目をされていた。U-2の7万フィートに匹敵する高高度飛行はできないが、グローバルホークは数日間滞空することが可能でパイロットの健康を心配する必要がない。実際に同機はアフガニスタンで支援作戦に投入されている。.
  14. ところが空軍はそのブロック30の調達中止を提示し、同機の運航コストを理由にあげているが、以前は高コストでも運用が必要と主張していた。同時にブロック30の電子光学レーダーセンサー装備の作動水準が低いことも理由に挙げているが、これについても以前は実用に耐えると主張していた。
  15. これはとりもなおさずグローバルホークの性能を上回るRQ-180が運用可能となったためだ。空軍はU-2を改修し今後もスタンドオフ情報収集機材として運用を続け、RQ-180に敵地侵入ミッションを担当させる。
  16. 各軍のミッション・機能検討の結果、米空軍は陸上配備型のステルス長距離飛行可能機材の開発の権限を与えられ、海軍はUclassで高性能ステルス性能と引き換えに高コストをどう回避するか苦労しているところだ。空軍がRQ-180の運用をすれば、海軍はUclassのコスト削減策でオプションが生まれる。
  17. おそらくこの内部検討の影響で海軍はUclassの要求性能、設計両面で遠慮がちだ。国防長官官房と統合参謀本部はUclassの想定運用を「紛争中」空域(ペンタゴン用語で防空体制があるものの最新式防空兵器は配備されていない空域のこと)のみとしているが、海軍はペンタゴンと異なり同機をもっと防空体制が重い空域でも十分生存できる設計を当然コストが高くなるとしても希望している。また、空軍はMQ-1プレデターおよびMQ-9リーパーの運用を今後も継続し、防空体制が未整備あるいは軽微な空域に投入する。いわゆるMQ-Xとのリーパー後継機は空軍の2012年度長期整備計画から姿を消しているが、これもRQ-180を中心に機体開発を整理しようしていることの証だろう。
  18. RQ-180で空軍が求めてきた高高度侵入能力が実証されれば、次の課題はプレデター/リーパー部隊の再編成および後継機種の開発に移るだろう。■

ram

コメント

このブログの人気の投稿

漁船で大挙押し寄せる中国海上民兵は第三の海上武力組織で要注意

目的のため手段を択ばない中国の思考がここにもあらわれていますが、非常に厄介な存在になります。下手に武力行使をすれば民間人への攻撃と騒ぐでしょう。放置すれば乱暴狼藉の限りを尽くすので、手に負えません。国際法の遵守と程遠い中国の姿勢がよく表れています。尖閣諸島への上陸など不測の事態に海上保安庁も準備は万端であるとよいですね。 Pentagon reveals covert Chinese fleet disguised as fishing boats  漁船に偽装する中国軍事組織の存在をペンタゴンが暴露   By Ryan Pickrell Daily Caller News Foundation Jun. 7, 3:30 PM http://www.wearethemighty.com/articles/pentagon-reveals-covert-chinese-fleet-disguised-as-fishing-boats ペンタゴンはこのたび発表した報告書で中国が海洋支配を目指し戦力を増強中であることに警鐘を鳴らしている。 中国海上民兵(CMM)は準軍事組織だが漁民に偽装して侵攻を行う組織として長年にわたり活動中だ。人民解放軍海軍が「灰色」、中国海警が「白」の船体で知られるがCMMは「青」船体として中国の三番目の海上兵力の位置づけだ。 CMMが「低密度海上紛争での実力行使」に関与していると国防総省報告書は指摘する。 ペンタゴン報告書では中国が漁船に偽装した部隊で南シナ海の「灰色領域」で騒乱を起こすと指摘。(US Navy photo) 「中国は法執行機関艦船や海上民兵を使った高圧的な戦術をたびたび行使しており、自国の権益のため武力衝突に発展する前にとどめるという計算づくの方法を海上展開している」と同報告書は説明。例としてヘイグの国際仲裁法廷が中国の南シナ海領有主張を昨年7月に退けたが、北京はCMMを中国が支配を望む地帯に派遣している。 「中国は国家管理で漁船団を整備し海上民兵に南シナ海で使わせるつもりだ」(報告書) 中国はCMMはあくまでも民間漁船団と主張する。「誤解のないように、国家により組織し、整備し、管理する部隊であり軍事指揮命令系統の下で活動している」とアンドリュー・エリク...

海自の次期イージス艦ASEVはここがちがう。中国の055型大型駆逐艦とともに巡洋艦の域に近づく。イージス・アショア導入を阻止した住民の意思がこの新型艦になった。

  Japanese Ministry of Defense 日本が巡洋艦に近いミサイル防衛任務に特化したマルチロール艦を建造する  弾 道ミサイル防衛(BMD)艦2隻を新たに建造する日本の防衛装備整備計画が新たな展開を見せ、関係者はマルチロール指向の巡洋艦に近い設計に焦点を当てている。実現すれば、は第二次世界大戦後で最大の日本の水上戦闘艦となる。 この種の艦船が大型になる傾向は分かっていたが、日本は柔軟性のない、専用BMD艦をこれまで建造しており、今回は船体形状から、揚陸強襲艦とも共通点が多いように見える。 この開示は、本日発表された2024年度最新防衛予算概算要求に含まれている。これはまた、日本の過去最大の529億ドルであり、ライバル、特に中国と歩調を合わせる緊急性を反映している。 防衛予算要求で優先される支出は、イージスシステム搭載艦 ( Aegis system equipped vessel, ASEV) 2隻で、それぞれ26億ドルかかると予想されている。 コンピューター画像では、「まや」級(日本の最新型イージス護衛艦)と全体構成が似ているものの、新型艦はかなり大きくなる。また、レーダーは艦橋上部に格納され、喫水線よりはるか上空に設置されるため、水平線を長く見渡せるようになる。日本は、「まや」、「あたご」、「こんごう」各級のレーダーアレイをできるだけ高い位置に取り付けることを優先してきた。しかし、今回はさらに前進させる大きな特徴となる。 防衛省によると、新型ASEVは全長約620フィート、ビーム82フィート、標準排水量12,000トンになる。これに対し、「まや」クラスの設計は、全長557フィート強、ビーム約73フィート、標準排水量約8,200トンだ。一方、米海軍のタイコンデロガ級巡洋艦は、全長567フィート、ビーム55フィート、標準排水量約9,600トン。 サイズは、タイコンデロガ級が新しいASEV設計に近いが、それでもかなり小さい。Naval News報道によると、新型艦は米海軍アーレイ・バーク級フライトIII駆逐艦の1.7倍の大きさになると指摘している。 武装に関して言えば、新型ASEVは以前の検討よりはるかに幅広い能力を持つように計画されている。 同艦の兵器システムの中心は、さまざまな脅威に対する防空・弾道ミサイル防衛用のSM-3ブロックII...

次期高性能駆逐艦13DDXの概要が明らかになった 今年度に設計開始し、2030年代初頭の就役をめざす

最新の海上安全保障情報が海外メディアを通じて日本国内に入ってくることにイライラしています。今回は新型艦13DDXについての海外会議でのプレゼン内容をNaval Newsが伝えてくれましたが、防衛省防衛装備庁は定期的にブリーフィングを報道機関に開催すべきではないでしょうか。もっとも記事となるかは各社の判断なのですが、普段から防衛問題へのインテリジェンスを上げていく行為が必要でしょう。あわせてこれまでの習慣を捨てて、Destroyerは駆逐艦と呼ぶようにしていったらどうでしょうか。(本ブログでは護衛艦などという間際らしい用語は使っていません) Early rendering of the 13DDX destroyer for the JMSDF. ATLA image. 新型防空駆逐艦13DDXの構想 日本は、2024年度に新型のハイエンド防空駆逐艦13DDXの設計作業を開始する 日 本の防衛省(MoD)高官が最近の会議で語った内容によれば、2030年代初頭に就役開始予定のこの新型艦は、就役中の駆逐艦やフリゲート艦の設計を活用し、変化する脅威に対し重層的な防空を提供するため、異なるコンセプトと能力を統合する予定である。  防衛装備庁(ATLA)の今吉真一海将(海軍システム部長)は、13DDX先進駆逐艦のコンセプトは、「あさひ」/25DD級駆逐艦と「もがみ」/30FFM級フリゲート艦の設計を参考にすると、5月下旬に英国で開催された海軍指導者会議(CNE24)で語った。  この2つの艦級は、それぞれ2018年と2022年に就役を始めている。  13DDX型は、海上自衛隊(JMSDF)が、今吉の言う「新しい戦争方法」を含む、戦略的環境の重大かつ地球規模の変化に対抗できるようにするために必要とされる。防衛省と海上自衛隊は、この戦略的環境を2つの作戦文脈で捉えている。  第一に、中国、北朝鮮、ロシアが、極超音速システムを含むミサイル技術、電子戦(EW)を含むA2/AD能力の強化など、広範な軍事能力を急速に開発している。第二に、ウクライナにおけるロシアの戦争は、弾道ミサイルや巡航ミサイルの大規模な使用、EWやサイバー戦に基づく非対称攻撃、情報空間を含むハイブリッド戦争作戦、無人システムの使用など、新たな作戦実態を露呈したと説明した。  新型駆逐艦は、敵の対接近・領域拒否(A2/A...