スキップしてメイン コンテンツに移動

F-35 韓国の導入決定で喜ぶのは誰か


South Korea Order Would Drive F-35 Per-plane Cost Lower

By Andrea Shalal-Esa/Reuters
November 27, 2013
Credit: Lockheed Martin
韓国が40機のロッキード・マーティン製F-35 を予定通り調達すると機体製造単価が低くなることで総額20億ドルの効果が米軍にもたらされるほか、最大1万人の雇用創出につながる期待が出てきた。
  1. .韓国が同機導入を決めれば強制予算削減の下にある米空軍と海軍は今後5年間で最大54機の発注を先送りにできるようになるとアナリスト陣は見る。実際には韓国の正式決定には国防相を座長とする内部委員会の承認が必要だ。
  2. レキシントン研究所 Lexington Institute の最高業務責任者であるローレン・トンプソンLoren Thompson によれば韓国の同機導入でF-35全体に弾みがつくという。「日本および韓国向けのF-35売却が成立すれば、米国にとって北東アジアでの2大工業国家の同盟国が導入することでF-35が西太平洋の戦術航空機材として標準となることになります。」
  3. .シンガポールがこの後に続きそうで、さらにマレーシア、ニュージーランドも導入の可能性があるという。
  4. 米軍は3,920億ドルと最優先課題のF-35開発配備計画を守り抜くとしつつ、議会が国防予算削減の流れを覆せなければ一部の米国向け発注を先送りする必要が出てくると認めている。
  5. 最悪のシナリオでは空軍は今後5年間で24機、海軍は34機をそれぞれ発注先送りにする可能性があるという。
  6. .米国の予算状況に不確かなところがある中で最終決定は下りていないとしているが米軍は予定していたF-35増産が勢いをそがれることを想定している。現在の年産30機を第9生産ロットで90機にする予定となっていた。
  7. 今やペンタゴン史上最大の調達計画規模となっているF-35は遅延の繰り返しに加え当初の見積もりから70%の上昇になったいる。海外から同機を求める動きにより同機への信頼も高まるとの期待がある。
  8. .ロッキードが開発中なのは米空軍、海軍、海兵隊向けの三型式であり、開発資金を拠出した8カ国(英国、オーストラリア、カナダ、デンマーク、トルコ、イタリア、オランダ、ノルウェー)向けの機体だ。
  9. 9月にはオランダが同機導入を確約する7番目の国になったところで、先行する英国、イタリア、オーストラリア、ノルウェー、イスラエル、日本に加わる。
  10. 英国からは来月にも追加発注の発表があるものと期待され、1月にはトルコが8番目の購入国になりそうで100機の確定発注をするだろう。
  11. .日本とイスラエルからは追加発注があると期待されており、シンガポールとベルギーも導入を検討中だ。
  12. 米軍および業界筋は湾岸諸国がF-35に強い関心を有していると見ており、同機をどの時点で該当各国に提供できるか時期を見計らっている。イスラエルが一号機を受領する2016年から5年先になると見られる。
  13. .そこでソウルが正式に同機導入をペンタゴンに通知してくると、購入する機数が米軍および同盟各国の予定購入機数に加わり、機体単価の試算の根拠となる。
  14. ペンタゴンでは2019年までに機体単価が85百万ドルになり、既存機種の単価とそん色ない範囲になると予測している。
  15. 韓国の発注でロッキード社内と協力企業に1万人分の雇用が生まれるという。
  16. 業界筋によると今回発表のコスト節減効果と雇用創出効果は2011年12月に日本から42機導入が発表された際の試算結果とほぼ同じだという。■

コメント

このブログの人気の投稿

漁船で大挙押し寄せる中国海上民兵は第三の海上武力組織で要注意

目的のため手段を択ばない中国の思考がここにもあらわれていますが、非常に厄介な存在になります。下手に武力行使をすれば民間人への攻撃と騒ぐでしょう。放置すれば乱暴狼藉の限りを尽くすので、手に負えません。国際法の遵守と程遠い中国の姿勢がよく表れています。尖閣諸島への上陸など不測の事態に海上保安庁も準備は万端であるとよいですね。 Pentagon reveals covert Chinese fleet disguised as fishing boats  漁船に偽装する中国軍事組織の存在をペンタゴンが暴露   By Ryan Pickrell Daily Caller News Foundation Jun. 7, 3:30 PM http://www.wearethemighty.com/articles/pentagon-reveals-covert-chinese-fleet-disguised-as-fishing-boats ペンタゴンはこのたび発表した報告書で中国が海洋支配を目指し戦力を増強中であることに警鐘を鳴らしている。 中国海上民兵(CMM)は準軍事組織だが漁民に偽装して侵攻を行う組織として長年にわたり活動中だ。人民解放軍海軍が「灰色」、中国海警が「白」の船体で知られるがCMMは「青」船体として中国の三番目の海上兵力の位置づけだ。 CMMが「低密度海上紛争での実力行使」に関与していると国防総省報告書は指摘する。 ペンタゴン報告書では中国が漁船に偽装した部隊で南シナ海の「灰色領域」で騒乱を起こすと指摘。(US Navy photo) 「中国は法執行機関艦船や海上民兵を使った高圧的な戦術をたびたび行使しており、自国の権益のため武力衝突に発展する前にとどめるという計算づくの方法を海上展開している」と同報告書は説明。例としてヘイグの国際仲裁法廷が中国の南シナ海領有主張を昨年7月に退けたが、北京はCMMを中国が支配を望む地帯に派遣している。 「中国は国家管理で漁船団を整備し海上民兵に南シナ海で使わせるつもりだ」(報告書) 中国はCMMはあくまでも民間漁船団と主張する。「誤解のないように、国家により組織し、整備し、管理する部隊であり軍事指揮命令系統の下で活動している」とアンドリュー・エリク...

海自の次期イージス艦ASEVはここがちがう。中国の055型大型駆逐艦とともに巡洋艦の域に近づく。イージス・アショア導入を阻止した住民の意思がこの新型艦になった。

  Japanese Ministry of Defense 日本が巡洋艦に近いミサイル防衛任務に特化したマルチロール艦を建造する  弾 道ミサイル防衛(BMD)艦2隻を新たに建造する日本の防衛装備整備計画が新たな展開を見せ、関係者はマルチロール指向の巡洋艦に近い設計に焦点を当てている。実現すれば、は第二次世界大戦後で最大の日本の水上戦闘艦となる。 この種の艦船が大型になる傾向は分かっていたが、日本は柔軟性のない、専用BMD艦をこれまで建造しており、今回は船体形状から、揚陸強襲艦とも共通点が多いように見える。 この開示は、本日発表された2024年度最新防衛予算概算要求に含まれている。これはまた、日本の過去最大の529億ドルであり、ライバル、特に中国と歩調を合わせる緊急性を反映している。 防衛予算要求で優先される支出は、イージスシステム搭載艦 ( Aegis system equipped vessel, ASEV) 2隻で、それぞれ26億ドルかかると予想されている。 コンピューター画像では、「まや」級(日本の最新型イージス護衛艦)と全体構成が似ているものの、新型艦はかなり大きくなる。また、レーダーは艦橋上部に格納され、喫水線よりはるか上空に設置されるため、水平線を長く見渡せるようになる。日本は、「まや」、「あたご」、「こんごう」各級のレーダーアレイをできるだけ高い位置に取り付けることを優先してきた。しかし、今回はさらに前進させる大きな特徴となる。 防衛省によると、新型ASEVは全長約620フィート、ビーム82フィート、標準排水量12,000トンになる。これに対し、「まや」クラスの設計は、全長557フィート強、ビーム約73フィート、標準排水量約8,200トンだ。一方、米海軍のタイコンデロガ級巡洋艦は、全長567フィート、ビーム55フィート、標準排水量約9,600トン。 サイズは、タイコンデロガ級が新しいASEV設計に近いが、それでもかなり小さい。Naval News報道によると、新型艦は米海軍アーレイ・バーク級フライトIII駆逐艦の1.7倍の大きさになると指摘している。 武装に関して言えば、新型ASEVは以前の検討よりはるかに幅広い能力を持つように計画されている。 同艦の兵器システムの中心は、さまざまな脅威に対する防空・弾道ミサイル防衛用のSM-3ブロックII...

次期高性能駆逐艦13DDXの概要が明らかになった 今年度に設計開始し、2030年代初頭の就役をめざす

最新の海上安全保障情報が海外メディアを通じて日本国内に入ってくることにイライラしています。今回は新型艦13DDXについての海外会議でのプレゼン内容をNaval Newsが伝えてくれましたが、防衛省防衛装備庁は定期的にブリーフィングを報道機関に開催すべきではないでしょうか。もっとも記事となるかは各社の判断なのですが、普段から防衛問題へのインテリジェンスを上げていく行為が必要でしょう。あわせてこれまでの習慣を捨てて、Destroyerは駆逐艦と呼ぶようにしていったらどうでしょうか。(本ブログでは護衛艦などという間際らしい用語は使っていません) Early rendering of the 13DDX destroyer for the JMSDF. ATLA image. 新型防空駆逐艦13DDXの構想 日本は、2024年度に新型のハイエンド防空駆逐艦13DDXの設計作業を開始する 日 本の防衛省(MoD)高官が最近の会議で語った内容によれば、2030年代初頭に就役開始予定のこの新型艦は、就役中の駆逐艦やフリゲート艦の設計を活用し、変化する脅威に対し重層的な防空を提供するため、異なるコンセプトと能力を統合する予定である。  防衛装備庁(ATLA)の今吉真一海将(海軍システム部長)は、13DDX先進駆逐艦のコンセプトは、「あさひ」/25DD級駆逐艦と「もがみ」/30FFM級フリゲート艦の設計を参考にすると、5月下旬に英国で開催された海軍指導者会議(CNE24)で語った。  この2つの艦級は、それぞれ2018年と2022年に就役を始めている。  13DDX型は、海上自衛隊(JMSDF)が、今吉の言う「新しい戦争方法」を含む、戦略的環境の重大かつ地球規模の変化に対抗できるようにするために必要とされる。防衛省と海上自衛隊は、この戦略的環境を2つの作戦文脈で捉えている。  第一に、中国、北朝鮮、ロシアが、極超音速システムを含むミサイル技術、電子戦(EW)を含むA2/AD能力の強化など、広範な軍事能力を急速に開発している。第二に、ウクライナにおけるロシアの戦争は、弾道ミサイルや巡航ミサイルの大規模な使用、EWやサイバー戦に基づく非対称攻撃、情報空間を含むハイブリッド戦争作戦、無人システムの使用など、新たな作戦実態を露呈したと説明した。  新型駆逐艦は、敵の対接近・領域拒否(A2/A...