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ペンタゴン報告書に見る 米国が注目している中国の軍事装備はこれ


Chinese Weapons That Worry the Pentagon

USNI News By: Sam LaGrone and Dave Majumdar
Published: June 9, 2014 11:24 AM
Updated: June 9, 2014 11:24 AM


ペンタゴンが議会に提出した2014年版の中華人民共和国の軍事力についての報告書が公表された。同報告書は2010年から提出が義務付けられており、中国の軍事技術上の進展や人民解放軍(PLA)の各軍による訓練状況や使用技術を包括している。
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同報告書を見れば国防総省がどこに懸念を感じているかがわかる。そこで同報告書で取り上げている中国の軍事装備について解説する。


1.空母
China's carrier Liaoning, PLAN Photo
China’s carrier Liaoning, PLAN Photo

この10年間で中国初の航空母艦遼寧ほど米国で関心を集めた軍事装備はなかった。排水量55千トンの同艦はウクライナで建造された旧ソ連時代の艦艇であり、空母運用技術の習得が主要任務だ。

「同艦は局所的とはいえ広範囲に運用され、艦上訓練、艦載機運用、空母部隊編成の習得に今後3年ないし4年使われるだろう。昨年11月には東シナ海および南シナ海で作戦運用を行っており、今後は必要に応じ別種ミッションにも投入されるだろう」と報告書はまとめている。

遼寧は空母国産化に先立つ訓練艦とみられる。「中国初の国産空母は2020年代初めには実用化されるだろう。空母戦闘群を編成すれば中国海軍PLANは広範囲の制海任務および武力投射の作戦実施が可能となり、長距離作戦能力も向上する」

ただ軍事的な見地での同艦の有用性にはまだ議論の余地がある。.「遼寧は海軍力上の脅威というよりも政治発言の文脈の存在であり、合衆国や同盟国に与える作戦上の危険はわずかであり、地域内の小国各国にとっても同じだ」との見方が海軍専門家にある。


2.ステルス戦闘機
Changes between prototypes of China's stealth fighter prototypes.
Changes between prototypes of China’s stealth fighter prototypes.

双発の成都J-20第五世代ステルス戦闘機の開発が続いており、ペンタゴン報告書では同機が戦力化するのは2018年以降だという。同機は多任務機として報告書は扱っており、ロッキード・マーティンF-22 ラプターと同様の制空戦闘機ではないという。報告書では中国の課題は多く、特に高性能ジェットエンジンが難題だとする。

並行して小型双発の瀋陽J-31第五世代戦闘機の開発も進めており、この機体はロッキードF-35に酷似している。報告書では人民解放軍のどの空軍あるいは海軍が同機を実際に運用するか不明とし、輸出の可能性も不明としている。


3.新型艦載機Flying Shark

An undated photo of Chinese J-15 fighter in tests aboard Liaoning. PLAN Photo
An undated photo of Chinese J-15 fighter in tests aboard Liaoning. PLAN Photo

中国海軍は空母運用で新型瀋陽J-15フライングシャークを投入している。同機はスホイSu-33フランカーを勝手に改修したもの。報告書によればPLANパイロットは武装を満載して同機を遼寧から飛行させているという。「J-15は陸上運用で戦闘半径が1,200Kmだが、空母運用では武装搭載量、飛行距離が制限を受けるのは、スキージャンプ式発艦では発艦速度が低いため」としている。


4.大型機各種
Xian Y-20 airlifter. CCTV Screengrab
Xian Y-20 airlifter. CCTV Screengrab

西安Y-20大型戦略輸送機の開発が続いている。同機は昨年初頭に初飛行している。「Y-20には空中早期警戒管制システム (AWACS) や空中給油機としての用途も加えられるだろう」と報告書は伝えている。

旧式Tu-16バジャーから派生した西安H-6爆撃機も近代化改装を受けており、米空母部隊と太平洋各地の米軍基地にとっては脅威となっている。改装したH-6Gのハードポイントでは対艦巡航ミサイル4発を搭載できる。さらに新しいH-6Kではエンジンを新型ターボファンに換装しており、対艦ミサイルあるいは陸上攻撃ミサイル6発を搭載できる。「H-6を近代化して巡航ミサイル母機にすることでPLA空軍に長距離スタンドオフ攻撃能力が精密誘導弾とともに備わることになる」(同報告書)


5.原子力潜水艦
An undated photo of a Jin-class Type 94 nuclear ballistic missile submarine (SSBN). PLAN Photo
An undated photo of a Jin-class Type 94 nuclear ballistic missile submarine (SSBN). PLAN Photo

報告書では今年中に中国は弾道ミサイル原潜によるパトロール航海を開始するとしている。中国は実戦力となる原子力弾道ミサイル潜水艦(SSBN)を三隻保有している。

新型晋級ミサイル原潜(タイプ94、11千トン)は2000年代から開発が始まり、海洋配備型の抑止力を初めて中国にもたらす。「晋級SSBN三隻が5隻まで増加してから次世代のSSBN(タイプ96)が2020年代に登場するだろう」
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5隻から6隻まで勢力が増えれば中国の核抑止潜水艦部隊はフランス可英国なみになり、これが数年で実現すると専門家は見ている。

旧型タイプ92夏級原潜は搭載するJL-1弾道ミサイルの性能が低いこともあり退役するだろう。

6.JL-2
jl2

晋級潜水艦と一体の関係がJL-2潜水艦発射型弾道ミサイルでJL-1よりはるかに性能が高い。

推定射程距離は7,400 kmとみられ、晋級にJL-2を搭載することでPLANは初めて実戦的な核抑止力を手に入れる、と報告書は分析している。

この射程距離はアラスカないし米西海岸に到達できる規模だと海軍情報部(ONI)が今年早々に報告している。

さらに未確認筋によるとJL-2は三段ミサイルで各90キロトンの弾頭3ないし6、あるいは250から1,000キロトン弾頭1を搭載できるという。


7.防空体制
Russian S-400 SAM system.
Russian S-400 SAM system.

中国は統合防空システムをさらにステルス機や無人機対策を念頭に高度化しつつあると報告書は伝える。ロシア製SA-20(S-300 PMU1/PMU2)および国産HQ-9がその中でも注目されるが、さらに高性能のSA-X-21b(S-400)の受領は2017年以降になると報告書は記述している。並行して国産HQ-19の開発も進んでおり、S-400と同程度の性能だという。
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早期警戒システムも強化しており、空警 Konging-2000が追加生産されている。同機は長距離をカバーするとともに低空侵入機も発見できるので目標捕捉が容易になると報告書は伝える。また、偵察技術でも赤外線、複合スペクトラム、パルスドップラー、フェイズドアレイ、パッシブ探知で進歩しているという。早期警戒システムは防空体制に統合されている。


8.誘導ミサイル駆逐艦

The first of the People's Army Liberation Navy Type 052D Luyang III destroyer. PLAN Photo
The first of the People’s Army Liberation Navy Type 052D Luyang III destroyer. PLAN Photo
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米海軍や西側艦艇と見間違うばかりの水上艦艇を増強している。タイプー052D旅洋III級誘導ミサイル駆逐艦は中国の水上艦の技術を集めている。「一号艦の就役は2014年でPLANで最初に多目的垂直発射システムを取り入れ、巡航ミサイル、対空ミサイル、対潜水艦ミサイルを発射できるだろう。同型艦は12隻になり、旧式旅大駆逐艦の後継艦となる」

ただし報告書では同艦のレーダーの記述をしていない。タイプ346 AESAレーダーとタイプ518 Lバンドレーダーを搭載し、CPMIEC HQ-9B艦対空ミサイル防衛システムと一体化いており、米軍の第五世代ステルス機の探知捕捉が可能となるかもしれない。


9.中距離弾道ミサイル
DF-21D
DF-21D

この数年は中国のミサイルと言えばDF-21D通称空母キラーミサイルの話題一色だ。「数は少ないが通常弾頭搭載の中距離弾道ミサイルの配備が進んでおり、CSS-5 Mod 5(DF-21D)対艦弾道ミサイル(ASBM)もその一部だ」と報告書は伝えている。

「CSS-5 Mod 5 で人民解放軍に大型艦船を攻撃する能力が備わり、西太平洋では航空母艦も標的にできる。CSS-5 Mod 5の射程距離は1,500 km超で制御可能な弾頭を備える」

米関係者は同ミサイルをすでに作戦段階とみているが、まだ一度も発射が確認されておらず、中国が有効な情報収取・監視・偵察(ISR)手段を開発して同ミサイルを移動し続ける空母に誘導できる能力があるとの証拠はない。

また中距離ミサイル開発も進められており、台湾含む地域内がその標的だ。■



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