スキップしてメイン コンテンツに移動

☆ エンジン開発から見えてきた第六世代戦闘機の性能要求水準



Next Generation Engine Work Points to Future U.S. Fighter Designs

USNI News By: Dave Majumdar
Published: June 23, 2014 10:51 AM
Updated: June 23, 2014 10:51 AM
A Boeing artist's conception of a potential design for F/A-XX. Boeing Photo
ボーイングが企画中のF/A-XX. Boeing Photo
.
米海軍と米空軍はそれぞれ次世代戦闘機の要求性能水準の作成を開始したばかりだが、推進力となるエンジンは先行開発が進んでおり、第六世代戦闘機の性能の一部が見えてきた。
  1. 海軍のF/A-XX と空軍のF-X 用のエンジンで、ペンタゴンは開発をすでに始めている。エンジンメーカーノプラット&ホイットニー、ジェネラルエレクトリックの関係者からUSNI Newsはそれぞれの開発コンセプトを聞く機会を得た。
  2. 「第六世代機を定義するのはエンジン含む推進系だ」と話すのはダン・マコーミックDan McCormick(GEの適応サイクルエンジン事業部長)「推進系システムは機体設計工程に統合されるべきです」
  3. 両社が革新的な適応サイクルジェットエンジンadaptive-cycle jet engines を開発中でこれがボーイング F/A-18E/F スーパーホーネットやロッキード・マーティンF-22ラプターの後継機に搭載されることになる。
  4. These advanced engines would be able to vary their bypass ratios for optimum efficiency at any combination of speed and altitude within the aircraft’s operating range unlike today’s engines that are at their best at a single point in the flight envelope.
  5. 新型エンジンの特長はパイパス比を調整し、速度・高度に合わせた最適な効率を実現することになる。これに対し現行のエンジンは飛行条件の一点で最高性能を発揮するものだ。
  6. エンジン開発が機体開発より先行するのは1970年代に空軍がF-15A、海軍がF-14Aをそれぞれ開発する中でエンジンで深刻な問題に直面した苦い経験のためだ。.
  7. 次世代戦闘機に求められる基本性能は空軍研究所 Air Force Research Laboratory と海軍研究室 Office of Naval Researchがそれぞれおこなう研究開発内容から推察することができる。
  8. 空軍は適応型多用途エンジン技術Adaptive Versatile Engine Technology (ADVENT)をF-Xに応用する目論見で、海軍は変動サイクル高性能エンジン技術 Variable Cycle Advanced Technology (VCAT)を海軍の用途に合わせて採用する考えだ。
  9. GEで第六世代戦闘機用エンジンの専門家のジェフ・マーティンJeff Martinによれば推定される要求性能として現行機を上回るより長い航続距離があるという。さらに高速飛行、高加速力、亜音速巡航時での高効率飛行がある。
  10. 「変動サイクルエンジンがないとこれだけの要求にこたえられなく、とてつもない巨大機になってしまいます」(マーティン).
  11. 変動サイクルエンジンは超音速飛行時はターボジェットと同様に作動し、旅客機と同様の速度では高バイパスターボファンのように高効率で飛行できる。このことから新型機はスーパークルーズ性能が重視されるのではないかと思われる。
  12. 「海軍から聞いているのは空母を発艦する迎撃ミッションで、すぐ飛び出して数百カイリ先に高速で進出するというものです」(マーティン)このミッションはF-14を思い起こさせるものだ。ソ連機が巡航ミサイルを発射する前に迎撃するのがF-14のコンセプトだったが、ソ連崩壊とともにその必要がなくなったとはいえ、中国の急速な台頭が米空母部隊に同様の脅威を与えることになりそうだ。
  13. 「スーパークルーズが要求の柱なのか不明ですが、機体の縦横比から見て超音速機となるのは間違いありません。それで変動サイクルエンジンを搭載すればスーパークルーズは可能ですが、実際にそうなるかは別問題です。燃料消費が大きくなりますから」(マーティン)
  14. 海軍と空軍で別個の機体開発となるが、空軍によると海軍と密接に作業しているという。「エンジン開発部門は非常にまとまりのよい集団で、海軍とは完璧な透明性を維持している」とAFRLがUSNI Newsに文書で回答してきた。
  15. 「相互に技術検討を行っている。技術的見地から非常に参考になる情報を得ている」
  16. マーティンから海軍の開発内容がわかってきた。「VCAT開発がAFRLにも非常に役立っています」
  17. VCAT開発は非常に有益だと判明しているという。具体的なサイクルの情報が得られたこと以外にエンジンと機体を全体として扱う必要が理解されたという。
  18. プラット&ホイットニーにとってはVCATはエンジン開発を別の側面から考察する機会になっている。可変式なのはファンだけではない、とジェイムズ・ケニオン James Kenyon(同社次世代戦闘機用エンジン開発部長)は語る。「変動の範囲はもっと大きく、柔軟度が高いものです」
  19. 空軍のめざすのはエンジンの技術成熟度としてマイルストーンA判定を2018年に下し、F-Xの技術開発段階に進むことだ。.
  20. しかし、生産型エンジンではマイルストーンBが達成されないと生産開発段階に進めない。「マイルストーンBはTRL(技術即応性)が6と同等といわれます」(マーティン)
  21. With adaptive engine technology already set to hit the TRL-6 milestone before the end of the year, a production engine could be ready by 2021 if necessary.
  22. 予定通りなら生産機用エンジンは2021年に利用可能となる。
  23. 適応サイクルエンジンの中核技術は適応型ファンで、これによりエンジンはバイパス比を自由に変えることができる。
  24. 超音速飛行ではマッハ2.2以上の性能が出しにくくなるのは空気取り入れ口の形状に制約を受けるからだ。
  25. そこで適応型サイクルエンジンを搭載した戦闘機は低バイパスに切り替えてバイパスする気流そのものが少ない離陸時や超音速飛行時に必要な推力を確保する。
  26. ただし低バイパスで高推力を得る際の気流速度が高くなると推進効率が低くなり、巡航速度の確保には悪影響だ。そこで適応型ファンによりエンジンは高バイパスモードに切り替え、推進効率を補う。
  27. 将来の適合サイクルエンジンの効率性を確保するのは適応型ファン以外に新素材の採用による高温高圧運転への耐久性だ。
  28. 変動サイクルエンジンで戦闘機用に製作されたのは1990年代初期のジェネラルエレクトリックYF120 エンジンが初だが、これはプラット&ホイットニーF119の前に不採用となった。F119はロッキード・マーティンF-22ラプターに搭載された。「YF120は適応型サイクルエンジンでしたが、狙いが今とは違っていました。ADVENTとAETDのねらいは燃料消費効率で、AETDでは確かに推力の追加もありますが、熱管理でも改善がされています。これに対してYF120はスーパークルーズの要求にこたえることが主眼でした」(マコーミック)

ADVENT (ADaptive Versatile ENgine Technology) engine core in its test cell at GE facilities in Evendale, Ohio. GE Aviation System Photo
ADVENT (ADaptive Versatile ENgine Technology) engine core in its test cell at GE facilities in Evendale, Ohio. GE Aviation System Photo

  1. 空軍が第六世代機向けの変動サイクルエンジン開発を開始したのは2007年で空軍研究所による適応型万能エンジン技術’ADVENT)としてであった。当時の目標は次世代技術を技術成熟度はTRL-6まで、製造成熟度はMRL-6まで持っていき、実証機材の生産を可能とすることだった。
  2. ジェネラルエレクトリックとロールス-ロイスに6か年契約が交付され、実証用エンジンの製作をすることになった。プラット&ホイットニー案は不採用となったが、同社は自己資金で技術開発を続け、その後に期待をつないだ。
  3. プラット&ホイットニーはロッキードF-35用のF135エンジンのファン改良を中心にしたとケニオンは話す。同社は適応型ファンの実証を行っている。「気流の制御が可能であることを証明できました」とケニオンはいい、自社資金投入の効果が出たという。

  1. 一方でジェネラルエレクトリックは6年間の開発期間を経てADVENT実証エンジンを2013年11月よりテスト運転している。テストは今年中に完了する。
  2. 「当社は実寸大適応型サイクル技術実証エンジンをオハイオ州エヴェンデールに設置しております。そこで技術を成熟させていきます」(マコーミック)
  3. GEのADVENTエンジンには適応型ファン、超高圧コンプレッサー、新型燃焼システム、各種新素材(セラミックマトリックス複合材含む)、冷却技術が投入されているという。.
  4. テストではエンジンコア部分が想定よりも130度Fも上昇した。同社によればジェットエンジンの複合コンプレッサー・タービン温度としてAFRLによる認定も受けた最高記録を樹立したという。
  5. Further, McCormick said that the ADVENT demonstrator engine is actually exceeding expectations in many cases including for fuel burn. The fuel efficiency target for ADVENT was to reduce fuel-burn by 25 percent.
  6. またマコーミックによればADVENT実証エンジンは燃料消費、など多くの点で予想を上回る性能を発揮している。なお、ADVENTの燃料消費目標は25%の効率アップである。
  7. 空軍研究所の次の研究課題が適応型エンジン技術開発 Adaptive Engine Technology Development (AETD)でそのねらいはADVENTで開発した技術で実際に飛行をジ失することにある。ただし、飛行に重点がおかれ、エンジンの大きさ、重量などは考慮に入れていない。
  8. 「AETDはADVENTが実現した技術で成熟したものを取り入れ、ひとつにまとめて航空機に搭載できるかを見極めるものです」(マコーミック)
  9. ただしAETDはADVENTをそのまま延長したものではない。空軍は再度公募をかけ、ジェネラルエレクトリックとプラット&ホイットニーが採択されたが、ロールスロイスは選外となった。AETDはエンジンを完成させない点でADVENTと違う。


This is a Lockheed Martin concept for a sixth-generation concept aircraft to replace the F-22 Raptor. The Air Force released a request to arm its next generation fighters with offensive lasers. Lockheed Martin Illustration
ロッキード・マーティンによる第六世代機のコンセプト図。
空軍は第六世代機に攻撃用レーザー兵器の搭載を求めている。
Lockheed Martin Illustration

  1. ただし両社はエンジン設計を完成させ、予備設計審査 preliminary design review (PDR)に持ち込むことが求められている。PDRは当初は2014年11月実施の予定だったが、空軍により2015年2月への延期が認められた。.
  2. この日程変更の理由は二つ考えられる。ひとつはAETDの流れをくむ次世代技術の開始が2016年度になることだ。
  3. もうひとつはAFRLが二社の設計審査へ向けた進展を見ながら日程を調整した点だ。
  4. AETDの後に空軍の次期戦闘機NexGenが来る。今年初めに国防長チャック・ヘイゲルから高性能エンジンを量産するため10億ドルを投資しているとの発表があった。しかし、いまのところ開発がどこまで進んでいるのか詳細はほとんどわからない状態だ。■


コメント

このブログの人気の投稿

★★★★北朝鮮ミサイルが中国衛星で誘導されている可能性

中国も北朝鮮関連では叩けば埃がどんどん出そうですね。北京が見切りをつければ平壌の現政権など簡単に転覆させるでしょうが、中国国内にある北朝鮮とのしがらみ(おそらく共産党内部の派閥争い)と東北部の軍の非合法ビジネスの問題があり、米国といったん話がついても実施が難しいのでしょう。そのうちにしびれを切らした米国が単独行動に出るかもしれません。
Record China Is North Korea Using China's Satellites to Guide Its Missiles? 北朝鮮は中国衛星を使ってミサイル誘導をしているのか
Peter J. Brown May 23, 2017 http://nationalinterest.org/blog/the-buzz/north-korea-using-chinas-satellites-guide-its-missiles-20810?page=show

北朝鮮がミサイル発射を繰り返し米本土を狙うICBM開発に走る中、ひとつ見落とされている点がある。ミサイルに衛星誘導を使っているのではないか。北朝鮮に衛星航法ネットワークはないため、中国衛星を利用しているとの観測がある。 2014年報道で北朝鮮技術者が中国国内で北斗Beidou衛星航法システムの運用を研修中とある。同年の別の記事で中国軍専門官から中国は北朝鮮による北斗の軍事利用を止められないと発言している。 北斗以外に北朝鮮の選択肢として米露両国のGPSがあり、ロシアはグロナスGlonasと呼んでいる。 「グロナスの可能性もありますが、ミサイル誘導に北斗を利用している可能性の方が高い」と小泉 悠(未来工学研究所特別研究員、ロシア安全保障問題)がメールで述べており、ロシアは北の核実験後に武器および軍事関連技術の北朝鮮向け禁輸措置を取っているがグロナスが対象かは不明と小泉は述べる。 北斗衛星群打ち上げは1994年に始まり、現在は東アジア以遠まで展開している。北斗は民生商業用途と軍用の両面で利用され、軍用では妨害を受けず正確にデータが利用できる。 北朝鮮が北斗の軍用機能を利用しているか不明だが、民生用機能で精密誘導兵器を運用しているとは考えにくい。というのは北斗の民生機能は日米韓の電子妨害に弱く有事の際に北朝鮮が利用するのは困難になるためだ。 「特別のチップならびに中国の協力がな…

★★ロッキードが極超音速技術の完成に近づいている模様、SR-72との関連へ注目

Amid SR-72 Rumors, Skunk Works Ramps Up HypersonicsSR-72の噂と関連か、スカンクワークスの極超音速技術が加速中
Sep 27, 2017Guy Norris | Aerospace Daily & Defense Report http://aviationweek.com/technology/amid-sr-72-rumors-skunk-works-ramps-hypersonics
SR-72: Lockheed Martin FORT WORTH, Texas—ロッキード・マーティンが極超音速技術開発を加速化しており、初の実証機を目撃したとの報告もあり、スカンクワークスが進めるSR-72高速機開発との連関が注目される。 「詳細は言えませんが、スカンクワークスのあるカリフォーニア州パームデールで超高速飛行実現の動きを倍増しています」とロッキード・マーティンで航空力学執行副社長オーランド・カバルホOrlando CarvalhoがSAE 国際航空技術学会で語っている。「端的に申し上げれば米国は極超音速革命まであと一歩まで来ています」 Darpaと米空軍研究実験部門が共同で進める推進滑空兵器および極超音速空気取り入れ式兵器コンセプト研究に言及して、カバルホは「この十年で研究は大幅に進み、極超音速技術で状況が一変する意味があることが明らかになってきました。今後も研究テストを進め、極超音速飛行の実現にDarpaとのプロジェクト二件を活用します。国家安全保障ではスピードが肝心です」 SR-72への言及はなかったが、同社が極超音速機として退役済みの高速SR-71ブラックバードの後継機を提案中であることは広く知られており、カバルホの前向きな発言はロブ・ワイスRob Weiss(ロッキード・マーティンの高性能開発事業体執行副社長兼総支配人)の発言に重なる。6月にワイスはAviation Weekに選択的に有人操縦となるSR-72の前身となる飛行研究用機体(FRV)が予定通り進行中と暗に述べていた。 スカンクワークスはFRV開発を来年から始めるといわれ、初飛行予定は2020年だ。FRVはF-22ほどの機体サイズで推進力はフルスケールのコンバインドサイクルエンジン一基だ。しかし実証機に先立ち、ロッキードは各種技術の地上・飛行テスト…

★★真偽は?日本もUCAVを開発していた

日本にもブラック事業がある(あった)のでしょうか。映像公開したのは機密解除になったのか、事業がもっと先に進んでいるからでしょうか。各務原での目撃がないことから別の場所で秘密裏に開発されたのでしょうか。川崎重工関係者は口がさけても語れないと思いますが、事実なら日本もUAV-UCAVを開発していることがわかりますね。判断は読者の皆さんにおまかせします。This is the combat drone Japan has been building in secretこれが秘密裏に開発していた日本の戦闘無人機だ 川崎重工ブースのビデオでUCAV試作機の飛行状況を写していた (Photo by Harold Hutchison) By Harold HutchisonOct. 06, 05:10 AM http://www.wearethemighty.com/news/this-is-the-combat-drone-japan-has-been-building-in-secret
無人戦闘航空機、つまりUCAVはこれからの軍事航空のカギを握ると言われる。米国、ロシア、フランスが開発中と判明している。 だが本誌We Are The Mighty (以下WATM)はこのたび日本も秘密裏にUCAV開発を進めていたことを知った。 ワシントンで先ごろ開催された空軍関係のイベントでWATMは川崎重工業のブースでビデオ画像を見た。それは同社によるUCAV研究開発の様子で、画像内のUCAVはボーイングX-45やノースロップ・グラマンX-47に似ているようだった。 会場で詳しく聞こうとしたが、同社係員が日本政府の意向だとしてやんわりと断ってきた。翌日も別の係員はこの件は存じていないと答えてきた。 結局三番目に会った川崎重工の小林タクミ氏が「試験機で10年近く前のもの」とし、「防衛省予算による実験事業だった」と説明してくれた。同氏はさらにメールで「2008年ごろのプロジェクト」と述べている。 WATMが当時空軍の筆頭参謀次長として情報監視偵察分野を担当し現在は航空宇宙研究にあたるミッチェル研究所の所長をしているデイブ・デプチュラ退役空軍中将に日本がUCAV開発をしていた事実を知っているか聞いたところ、即座に「知らない」との答えが返ってきた。 このことから日本のUCAVは秘密のベールに隠されていたことがわか…