Opinion: Has The U.S. Army Thought Through Future Vertical Lift?
The coming rotorcraft non-revolution
銀行や国防案件、さらには国家財政再建など「巨大だからこそ倒産させられない」と言う文言がまた出てくると、肩をすくめ、無力感にさいなまれることが多い。多くは巨大すぎるからではなく、行動をとるのが遅すぎたことが問題なのだ。
- 米陸軍の次期垂直輸送機 Future Vertical Lift (FVL) がこの例で誇大宣伝と裏腹にそもそもの目標がしっかりしていない。
- まず、回転翼機の概念を再構築し、新型の推進手段を付与するコンセプトだ。
- そして、FVLは垂直輸送機の産業基盤そのものを変革し、採択される一社あるいは二社が市場を取り、不採択企業はもう参入できなくなるだろう
- それでもFVLが次期戦闘航空システムズ Future Combat Systems につながる可能性は高い。同システムも過剰なほど野心的で巨大すぎてつぶせない陸軍の構想だ。まず、陸軍が飛行速度を上げるために多額の予算を支出する気があるのかが疑問だ。この半世紀でヘリコプターの最高巡航速度は 150 kt だが、FVLはその前身の共用多用途技術実証機 Joint Multi-Role Technology Demonstrator (JMR-TD) の競作を通じ、 230 kt で飛行可能な新しい回転翼機を生むことをめざしている。
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- 残念なことに新技術により調達コスト運航コストは現在よりも 40から70%も高くなりそうだ。V-22ティルトローター機では現行機の2倍だ。海兵隊と特殊作戦本部がこれを無視できるのは特殊作戦に同機の飛行距離と速度が大きな効果を上げているからだ。
- だが陸軍はペイロード重視のはずだ。調達経費が固定と仮定し、陸軍が5割高くても高速な機材を調達すると、機数は現行の三分の二程度になる。
- 陸軍が高価格を許容しても、海外の顧客は同じだろうか。ハイエンド機に特化すれば回転翼機市場を失うことにならないか。
- 二番目に垂直輸送機そのものの改革に充てる時間が非現実的に短い。JMR-TDでは各種の技術応用を検討し、ティルトローター以外にも同軸ローターも試している。陸軍はJMR技術開発をベルヘリコプター、シコルスキー航空機、AVX航空機およびカレム航空機に委託している。これから数か月でこのうち2社2機種が選考に残り、試作機製作に移行する。フライトテストは2017年より開始となる。調達は2019年より開始見込みだ。
- だが過去40年で高速ヘリ開発で誤ったスタートが多く見られた。V-22は成功例としてももっと多くの失敗例がある。新型回転翼機を目指す正しい道筋が見えてくるのにまだあと5年はかかりそうだ。
- 三番目に現行各機種とFVLの間のギャップにより陸軍航空部隊へ、さらに産業基盤に大きな影響が出そうだ。現行各機種の生産はすでにピークを過ぎており、 AH-64E, CH-47F/G, UH-60M, MH-60R/S、V-22各機種の調達は2018年には2011年の半分程度になる見込みだ。2020年代には現行機種の大部分は生産終了となる。では陸軍はFVLが就役可能となるまでのつなぎをどの機種で行うのか。
- FVLはRAH-66偵察攻撃ヘリを思い起こさせる。陸軍は同機に数十億ドル単位で予算を投入したが、結局ものにならなかった。だが開発中止の余波で、既存機種の改良に力が入れられ、性能も向上してきた。この関係で1960年代70年代に軍が精力的に機材調達を行ってきた野はこれが理由だ。2020年代までに今よりも優れたターボシャフトエンジン、コックピット計器、センサー類、自己防衛システムが利用可能となっているはずだ。各要素を既存機種に盛り込めば最小の投資ではるかに優れた性能が手に入るので、FVLよりも効果が高い。
- JMR-TDで回転翼機の技術を進歩させるのは数億ドル単位の予算に見合っているとはいえ、FVLではさらに数十億ドルが必要となる。他の大きすぎて廃止できない構想と同様に、FVLでも代替策は想定していないので、FVLに投じる巨額の予算は無駄になってしまう。
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本記事の著者リチャード・アバウラフィアはTeal Groupで分析担当の副社長。
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