衛星打ち上げも北朝鮮向け制裁の一部として禁じられているはずですが、この国には決議など関係ないのですね。打ち上げを強行するとしたら国際社会はどう対応すべきでしょうか。
North Korea close to completing upgrades to Sohae launch site
Nick Hansen, Stanford, California and Karl Dewey, London - IHS Jane's Defence Weekly
24 June 2015
ソハエの打ち上げ台付近に新規施設が確認された。 (CNES 2015, Distribution Airbus DS / IHS)
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北朝鮮のソハエ宇宙センターで打ち上げ台改修工事が続いており、衛星打ち上げが近づいている模様だ。
- 北朝鮮の宇宙開発機構NADA(国家航空宇宙開発局)の科学研究開発副局長Paek Chang HoがAP通信取材に5月末に応じ、新型「地球観測衛星」を開発中と認めた。ただし打ち上げ手段、打ち上げ予定、打ち上げ場所については明らかにしていない。
- 北朝鮮は技術開発を重要な政治上の期日に関連付けるのが通例であることから10月の朝鮮労働党結成70周年に打ち上げの可能性があるとの観測が広がっている。
- ソハエは東倉里Tongchang-riとも呼ばれ北朝鮮西海岸で黄海に面する位置にあり、同国の宇宙関連施設のひとつである。もうひとつはトンハエ(舞水端里Musudan-ri)で日本海沿岸に位置している。
- このうちトンハエ施設の衛星画像(2015年6月6日撮影)では大きな動きが見られない。大型打ち上げ台、組立施設、連絡道路の建設は止まったままで、Unha-2 (銀河)用の打ち上げ台は2009年に使用されたあとモスボール保存されているようだ。
- トンハエで活動が見られないことからソハエが北朝鮮の宇宙施設で中心になったとの観測の裏付けがとれた。アナリスト陣は北朝鮮がソハエを優先したのはロケット破片が日本国内に落下する場合の政治的代償を最小化するためと見ている。
- ソハエの存在が明らかになったのは2012年で、その後2回の打ち上げがあったが、いずれも成功とは言いがたい。Unha-3の打ち上げ(2012年4月)は第一段で致命的な失敗となり、同年12月のUnha-3打ち上げは成功したが、ペイロードは正しい軌道に載っていない。このペイロードは小型衛星だった。
- 失敗にめげず、ソハエは第二期拡張工事中だ。これまではUnhaロケットにより衛星打ち上げをめざす試験場だったが、2013年以降は施設が改修され、多用な打ち上げ手段の運用が可能となっている。その中に大型SLV(衛星打ち上げ手段)があり、その姿はすでに2012年4月に平壌郊外の Sanum Dong (山陰洞)開発施設でモックアップが目撃されている。
- 2015年6月3日にソハエ施設を撮影した衛星画像では大規模建設工事がほぼ完了している。打ち上げ台まわりが8月にも片付けられると、2012年のUnha-3打ち上げ2回に使用された組立施設、検査施設の様子から次回打ち上げは10月予定ということがわかる。
- ソハエでの建設工事は以下の通り。
- ガントリータワーの全高が引き上げられている。
- 打ち上げ台につながる鉄道引き込み線。線路には4メートルx20メートル大のトンネルがあり、ロケット運搬が可能。
- 三階建て建屋が打ち上げ台東側に建築され、組立施設と思われる。一番高い部分で長さ30メートル、奥行き20メートルあり、ガントリータワーに面している。また引き込み線側に幅10メートル、高さ5メートルの開口部がある。
- 長さ30メートル、奥行き20メートルの三階建第一段搬送装置を作っている。線路で移動し、ガントリータワーから引き込み線トンネルまで、さらに組立施設まで移動させるためのもの。
- 改修工事でソハエ打ち上げ施設は大型ロケット対応が可能となるが、当面はUnha型SLVを念頭に運用される可能性が高い。北朝鮮は以前からUnhaはあと6回の打ち上げが予定されていると発表している。
- さらにソハエの地上活動を隠蔽する工事も続いている。たとえば鉄道支線を覆う施設工事は外部観察をやりにくくし、今後のSLV打ち上げ活動の予測を困難にさせるためだろう。■
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