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☆ 航空自衛隊>F-35導入しても戦闘機不足は避けられない見通し



F-35をセンサー機といして作戦遂行の要に当てる構想は米海軍の考えに近いですね。というか米海軍はF-35をF-18の代わりとは考えていないわけですが。一方でF-35の価格がさらに高騰していけば既存各機の改修はおろかF-3開発まで予算不足になりかねません。どちらにせよ2020年代の航空自衛隊の戦闘機材の陣容は今より小ぶりになるのは避けられないということでしょうか。

Japan's Fighter Procurement Crunch

Decisions Await on Legacy F-2, F-15s as Upgrades End
By Paul Kallender-Umezu1:36 p.m. EDT June 6, 2015

635688701501766358-DFN-Japan-F-2(Photo: Japan Air Self-Defense Force)
TOKYO — F-35導入で日本の航空自衛隊(JASDF)は次世代ISR機材を運用することになるが、一方で既存のF-2およびF-15部隊は改修を続けながら機材更新時期を2020年代後半に迎える。
  1. JASDFはF-35を42機を最終的に導入するべく、今年度はまず6機を1,032億円で調達する。さらに国内産業の生産関与に関わる初期予算として177億円を計上し、181億円は装備、訓練用に確保した。日本国内企業は24点の部材を分担生産する。
  2. 防衛省は2011年12月にF-35を80億ドルの概算費用で導入し、F-4ファントムの後継機種とした。F-35の開発遅延と費用高騰はその段階から知られており、選定には国内からも疑問が投げかけられた。
  3. ただリチャード・アブラフィア(Teal Group副社長兼アナリスト)はF-35選択で正JASDFはしい方向に向かっているという。
  4. 「F-35に対抗できる選択肢は他にない。これまでの評価基準の速度、上昇率、さらに操縦性、航続距離、ペイロードは今や最重要ではない。同機はステルス性能を実現し、センサー性能もずばぬけている。F-35が配属されればステルス性能とともに優れた通信ハブ機能が重宝されるだろう。これまでの武装一本槍の機体とは違う。センサー性能と状況把握能力がJASDFのパフォーマンスを引き上げる」
  5. F-35の大きな戦略的意義は米空軍との接続能力にあるとともに、海上自衛隊・米海軍とも接続し作戦能力を高めつつ柔軟な対応が可能になることだ、と話すのはコーリー・ウォレス Corey Wallace(ベルリンのFreie Universität東アジア研究大学院・安全保障研究)だ。
  6. 日本の防衛政策の基本構想は国土から前方の海上での防衛が主眼であり、F-35の有する高性能センサーで海上戦闘空間の状況把握を実現すればリアルタイムで情報が流れ、適切な意思決定につながる、または他の装備に情報を流して優位性が高まる。単なるドッグファイトの機体ではないというわけだ。また同機の高性能電子戦能力も魅力だ。
  7. 防衛省はF-35で第四世代戦闘機をネットワーク化するが、UAVを加えることも可能で、F-35はステルス性を活かしながら戦闘統制に投入できる、とウォレスは言う。.
  8. 「F-35で日米部隊の総合運用はさらに上がり、米国だけでなく他の同盟国とも一体運用が可能になる。ネットワーク性能でイージス艦がF-35のウィングマンになり艦のミサイルの打撃範囲が広がります」
  9. 航空自衛隊は平行して既存戦闘機の大幅改修も実施する。F-15では8機が対象で、F-2でも空対空戦闘能力を引き上げる。
  10. アブラフィアはこの改修内容に注目しているが、なんといっても改修の進展が遅く、規模も限られていると指摘する。JASDFは空中早期警戒機など支援機材をうまく調達しているが、空中給油機は数機追加しないと太平洋上空に活動範囲を広げる際に追いつかない。F-15とF-2の改修も永遠に続くものでもなく、あと10年すれば厳しい選択を迫られるだろうと見る。
  11. F-2後継機にはコストが高くなるが、国産戦闘機が想定されているが、交代時期は2020年台後半となり、F-15も耐久性があるとはいえ、その時点で老朽化するはずだ。「そうなると航空自衛隊で深刻な戦力不足が後10年で発生します」(アブラフィア).
  12. 日本在住の防衛アナリスト陣もF-2後継機種選びで厳しい選択が後10年で必要になると指摘するが、F-15ではそうならないと見る点で一致している。
  13. 「F-2はすごい実力の機体だが、モスボール保存すればF-15に予算をまわすことができる。だがF-15の代わりになる機材がない。F-22が想定されていたが、実現していたら日本はF-35の導入はしなかっただろう」
  14. 「航空自衛隊のF-15はまだ十年以上の機体寿命が残っている。予算を内部装備にまわしたらよい。現にUSAFは2040年までイーグルを運用する予定だ。日本はUSAFと共同して運用コストを下げつつ、必要な技術を共同開発できるはずだ」
  15. 日本は国内産業の参加度合いを高く求めてくることでF-35の導入継続を2020年代まで続けるはずとアブラフィアは見る。
  16. 「他の各国ではF-35が高価格のため現行機種の交代用には手がでないのが現実だが、日本はこれまで一貫して戦闘機に高い値段を払ってきた。F-35はF-15やF-2と価格的に対して変わらない」とアブラフィアは指摘している。■


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