スキップしてメイン コンテンツに移動

米空軍の重点技術開発分野は量子、サイバー、無人機 



技術優位性の回復、維持で差をつけたい第三の相殺戦略の中、国防予算でも技術開発は重視されているようです。公開した情報ではこれだけしかわかりませんが、Black 予算でもっととんでもない技術開発が進んでいるかもしれませんね。今後に期待しましょう。

US Air Force Launches Trio of Tech Studies

By Aaron Mehta10:59 a.m. EST January 31, 2015
WASHINGTON —米空軍の目指すべき将来技術はなにか。
空軍関係者はこの質問を何度も考えてきた。日常的に大々的な作戦を展開する一方で将来戦力を構築するというバランス感覚を空軍は求められている。
【SABとは】 米空軍の科学審議会 Scientific Advisory Board (SAB)がこの問題で諮問する立場だ。審議会は政府独立組織で50名の科学技術者が委員として在籍し、空軍の課題を掘り下げて毎年検討している。
SAB委員長はワーナー・ダームWerner Dahm(前空軍主任科学者)で、審議会の役割はどの技術が投資に値する現実的なものかを空軍に対して助言しつつ、長期的におお化けしそうな技術も指摘している。
「正しい技術を推薦するのは本来業務ではない。工程表がしっかりした事実に基づいているがを確かめるのが仕事だ」
1月27日に委員が集合し、今年は三分野を特化対象にした。量子、無人機、サイバーの各分野。検討結果は7月に空軍トップに説明され、年末までに公表される。
【量子】 最初の話題は空軍における量子システムの活用方法だが、ダーム委員長からは量子コンピュータだけを考察することのないよう釘を差している。「この分野の研究はもっと広範」とし、量子力学の応用システムがあれば空軍ははるかに迅速に暗号解読ができ、高性能電子光学・赤外線センサーや通信の暗号化、精密時計(フェムト秒単位で計測可能)が実現するという。
【サイバー】 2番目の注目分野はサイバー上の脆弱性で航空機や宇宙システム上の組み込みシステムに焦点を絞る。飛行制御用の機体内部のコンピューターやレーダーでインターネットと接続していがサイバー攻撃に脆弱なものが対象だ。
脆弱性問題は認識されており、研究では問題に決定打解決策の確立をめざすが、このために問題ごとに技術開発するのは避け、費用対効果に優れた方法を模索するという。
【無人機】 三番目の研究分野は無人機で激戦環境での生き残り可能性をどれだけあげられるかが課題だ。これも新しい課題ではない。.
研究ではどの選択肢で現実的に無人機の生存性を引き上げられるかを掘り下げて検討し、ステルス性能の向上から無人機間での協同運用、あるいは無人機の単価を引き下げて生存性自体を無視できるようにする可能性も取り上げる。
「これら次世代、次次世代の技術が既知の内容であれば、当方の研究は大きな意味がなくなる。思考プロセスを明らかにすることに審議会の存在意義があるのであり、何をすべきか、何をしたらよいかを示す」
【空軍の期待】 基調講演をしたラリー・スペンサー大将Gen. Larry Spencer(空軍副総司令官)は率直な発言をしている。
「みなさんの助けが必要です。突破口を見つけてください。なぜなら空軍は現状の方法にどっぷりつかっており、『これはできない』だの『これはうまくいかない』でがんじがらめになっているからです」
スペンサー大将はSABに対して実施可能な仮説の提示を求めている。「机上の世界から現実に利用可能な段階に移るべく皆さんにご助力願いたい」
新規発想や技術内容の出処はSABだけではない。2016年度予算案では空軍を未来に導く技術内容を重視しているとペンタゴン関係者のコメントが出ている。
1月28日には新アメリカ安全保障センターが主催したイベントでボブ・ワーク副長官がまもなく提出の予算案に言及し、「有望な新技術、新性能として無人潜水機、海中機雷、高速打撃兵器、高性能新型ジェットエンジン、レイルガン、高エネルギーレーザー」への予算確保にとりくんでいると発言があったばかりだ。
同日に調達を取り仕切るフランク・ケンドール副長官が下院聴聞会で次世代戦闘機として空軍向け海軍向けの開発予算を2016年度予算に盛り込むと発言している。
【強制予算削減で研究開発はどんな影響を受けているか】 ケンドールと平行して、上院は予算強制削減の影響について四軍司令官を質問攻めにしていた。空軍参謀総長マーク・ウェルシュ大将からは強制削減で技術開発能力が犠牲になっていると発言があった。
「強制削減で空軍の科学技術関連予算は2.23億ドルが16年度に削減され、その後はおよそ10.8億ドル減額の見込み」とウェルシュは意見書を提出している。「このためおよそ100分野で契約中止や取り消しが発生する。契約内容には制空技術、指向性エネルギー、製造技術、人的システム各種、弾薬、推進装置、機体構造研究、サイバー、センサーおよび宇宙技術が含まれる。」
このことはSAB審議委員も意識しており、財政が厳しい中で中国の台頭に対応して技術開発のニーズを両立させるべきかとのスペンサー大将の問題提起に多数の質問を投げかけている。
「相手の動きに反応する立場になってはいけないと思う。反応する人材がほしい。」とスペンサー大将は発言。「予算縮小の中で難易度が高いのは承知しているが、脅威は減少していないのだ」
「現時点の要求と将来の要求の間でバランスを取るのがジレンマであり、同時に実現を迫られるのもジレンマだ」とスペンサー大将は付け加えた。
SABは空軍の研究機能の一部であるが、予算を意識して活動を展開している。
「相対コストが重要度を上げてきている。実現の可能性がない非現実的な解決方法では負担は不可能だ。当方は予算関連組織ではないが、空軍が同じ予算で最大効果を得られるように考えているつもりだ」■

コメント

このブログの人気の投稿

フィリピンのFA-50がF-22を「撃墜」した最近の米比演習での真実はこうだ......

  Wikimedia Commons フィリピン空軍のかわいい軽戦闘機FA-50が米空軍の獰猛なF-22を演習で仕留めたとの報道が出ていますが、真相は....The Nationa lnterest記事からのご紹介です。 フ ィリピン空軍(PAF)は、7月に行われた空戦演習で、FA-50軽攻撃機の1機が、アメリカの制空権チャンピオンF-22ラプターを想定外のキルに成功したと発表した。この発表は、FA-50のガンカメラが捉えた画像とともに発表されたもので、パイロットが赤外線誘導(ヒートシーキング)ミサイルでステルス機をロックオンした際、フィリピンの戦闘機の照準にラプターが映っていた。  「この事件は、軍事史に重大な展開をもたらした。フィリピンの主力戦闘機は、ルソン島上空でコープ・サンダー演習の一環として行われた模擬空戦で、第5世代戦闘機に勝利した」とPAFの声明には書かれている。  しかし、この快挙は確かにフィリピン空軍にとって祝福に値するが、画像をよく見ると、3800万ドルの練習機から攻撃機になった航空機が、なぜ3億5000万ドル以上のラプターに勝つことができたのか、多くの価値あるヒントが得られる。  そして、ここでネタバレがある: この種の演習ではよくあることだが、F-22は片翼を後ろ手に縛って飛んでいるように見える。  フィリピンとアメリカの戦闘機の模擬交戦は、7月2日から21日にかけてフィリピンで行われた一連の二国間戦闘機訓練と専門家交流であるコープ・サンダー23-2で行われた。米空軍は、F-16とF-22を中心とする15機の航空機と500人以上の航空兵を派遣し、地上攻撃型のFA-50、A-29、AS-211を運用する同数のフィリピン空軍要員とともに訓練に参加した。  しかし、約3週間にわたって何十機もの航空機が何十回もの出撃をしたにもかかわらず、この訓練で世界の注目を集めたのは、空軍のパイロットが無線で「フォックス2!右旋回でラプターを1機撃墜!」と伝え得てきたときだった。 戦闘訓練はフェアな戦いではない コープサンダー23-2のような戦闘演習は、それを報道するメディアによってしばしば誤解される(誤解は報道機関の偏った姿勢に起因することもある)。たとえば、航空機同士の交戦は、あたかも2機のジェット機が単に空中で無差別級ケージマッチを行ったかのように、脈絡な

主張:台湾の軍事力、防衛体制、情報収集能力にはこれだけの欠陥がある。近代化が遅れている台湾軍が共同運営能力を獲得するまで危険な状態が続く。

iStock illustration 台 湾の防衛力強化は、米国にとり急務だ。台湾軍の訓練教官として台湾に配備した人員を、現状の 30 人から 4 倍の 100 人から 200 人にする計画が伝えられている。 議会は 12 月に 2023 年国防権限法を可決し、台湾の兵器調達のために、 5 年間で 100 億ドルの融資と助成を予算化した。 さらに、下院中国特別委員会の委員長であるマイク・ギャラガー議員(ウィスコンシン州選出)は最近、中国の侵略を抑止するため「台湾を徹底的に武装させる」と宣言している。マクマスター前国家安全保障顧問は、台湾への武器供与の加速を推進している。ワシントンでは、台湾の自衛を支援することが急務であることが明らかである。 台湾軍の近代化は大幅に遅れている こうした約束にもかかわらず、台湾は近代的な戦闘力への転換を図るため必要な軍事改革に難色を示したままである。外部からの支援が効果的であるためには、プロ意識、敗北主義、中国のナショナリズムという 3 つの無形でどこにでもある問題に取り組まなければならない。 サミュエル・ P ・ハンチントンは著書『兵士と国家』で、軍のプロフェッショナリズムの定義として、専門性、責任、企業性という 3 つを挙げている。責任感は、 " 暴力の管理はするが、暴力行為そのものはしない " という「特異な技能」と関連する。 台湾の軍事的プロフェッショナリズムを専門知識と技能で低評価になる。例えば、国防部は武器調達の前にシステム分析と運用要件を要求しているが、そのプロセスは決定後の場当たり的なチェックマークにすぎない。その結果、参謀本部は実務の本質を理解し、技術を習得することができない。 国防部には、政策と訓練カリキュラムの更新が切実に必要だ。蔡英文総統の国防大臣数名が、時代遅れの銃剣突撃訓練の復活を提唱した。この技術は 200 年前のフランスで生まれたもので、スタンドオフ精密弾の時代には、効果はごくわずかでしかないだろう。一方、台湾が新たに入手した武器の多くは武器庫や倉庫に保管されたままで、兵士の訓練用具がほとんどない。 かろうじて徴兵期間を 4 カ月から 1 年に延長することは、適切と思われるが、同省は、兵士に直立歩行訓練を義務付けるというわけのわからない計画を立てている。直立歩行は 18 世紀にプロ