レーザーで技術革新が進むと多額の費用が必要な迎撃ミサイルが不要となる可能性がありますが、これでは攻撃用ミサイルに多額の投資をしてきた中国やロシアは困った事態になりますね。オールマイティの技術はありえないので、コレまで蓄積してきたミサイル迎撃の体制が一夜にして無駄になるとは思えませんが、パラダイムチェンジがやってくるかもしれませんね。
Are Missile Defense Lasers On The Verge Of Reality?
CRYSTAL CITY: 三年以内にレーザー兵器の試作品で300キロワット級出力が実現する可能性があり、ミサイル防衛に革命的な変化が生まれるかもしれない。ロッキード・マーティンの技術陣が明らかにした。
300キロワット級では巡航ミサイルの撃破も可能となる。これは現在ペルシア湾で実地テスト中のレーザー兵器システム(LaWS)の10倍の威力となる。LaWSは短距離内なら低速飛行中の無人機を撃墜できる。
ロッキード・マーティンは米陸軍の高出力移動式レーザー実証High Energy Laser Mobile Demonstrator (HEL MD) の性能向上事業を受注しており、10キロワットを60キロワットに引き上げようとしている。納品は来年予定だが、ロッキードの主任研究員ロブ・アフザルRob Afzal は60キロワット超の実現を目指す。
「現状のシステムでも100まで行けると見ています」とアフザルは恒例のロッキードによる報道陣への説明会で発言。「ファイバー・レーザーでは300まで可能と考えていますが、300以上も可能という意見もあります」 さらに改良を加えれば「500キロワット超も可能でしょう」
現在は「予算が足りなくて100から150キロワットがせいぜいですが、技術的に制約があるわけではありません。二三年もすれば300も視野に入ってきます。ただし、予算手当が条件ですが」
「現時点でも100キロワット級のシステムは製造可能で、LCS(沿海戦闘艦)への搭載は可能です」(アフザル) (100kwだと短距離で巡航ミサイル撃墜が可能、無人機なら長距離で攻撃可能だと戦略予算評価センターは見ている) 「陸軍車両に搭載も可能です。大型機に搭載できます。戦闘機は現時点では搭載不可能です」
効率が30%から35%という光ファイバーレーザーの上限だが、300 kw出力の実現には1メガワットほどの電源が必要だ。対照的に従来のレーザー技術では効率10%が限界で、同じ1メガワット電源で得られるレーザーは100キロワットしかなかった。残りの900kwは余熱となり無駄になる。
そこでファイバーレーザーの小型化が出てくる。ファイバーはそれぞれ最大で10kwしか生まないが、ビームを合成して出力が増える。冷却はファイバー別に行い、過熱問題を防ぐ。この過熱現象がレーザー技術で障害だった。(一旦加熱すると熱除去が急激に困難となる)
海軍のLaWSは商用の切断用レーザー6本をつなぎあわせただけで、全部を同じ対象に集中させている。ロッキードの技術はこれより進歩しており、レーザー光線全部を単一コーヒレントビームにして長距離でも焦点合わせが正確だ。
「数百本のレーザーを合成する」のはプリズムで光が分解される虹と逆の作用だ。「スペクトラル光線合成」でレーザー複数を一つのビームにすることができる。
ロッキードはこのビーム合成技術をすでに30kw級レーザーで実証済みで、完全自社開発で実施したとアフザルは述べる。課題は出力増大で、陸軍が求める60 kwをまず実現し、その先を狙うという。■
目的別に必要なレーザー出力のちがい(Courtesy Center for Strategic & Budgetary Assessments)
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